マルチホップ無線ネットワークにおける効率的なルーティング法
大槻 一晶
1.はじめに
インターネットの普及、及び無線LAN技術の進展により、高速なIP系無線ネットワ
ークへの要求が高まっています。これを安価かつ柔軟に実現するためには、マルチホッ
プ無線ネットワークの構築が有効である。本稿では無線ネットワークと有線ネットワー
クが複数のノードで接続される場合に、効率的なルーティングを実現するための手法に
ついて述べています。
2.適用対象
本稿ではマルチホップ無線ネットワークの例として、図1のようなIP系無線アクセス
システムを考える。以下本稿では基地局のように有線側と無線側の接続点である装置を
WGW。ユーザ装置のように無線リンク間のルーティングを行う装置をWN。マルチホッ
プ無線ネットワークを単に無線ネットワークと表記します。
3.課題
図2のような、無線ネットワークに複数のWGWが存在し、それらの有線側インタフ
ェースがそれぞれ異なるネットワークに接続された構成を考えます。ここで、無線ネッ
トワーク内のWNごとに有線ネットワーク内の同一ホストまでの最適なルートは異なる
ため、効率的なルーティング情報の交換が必要である。しかし、無線ネットワーク内の
全てのWNのルート情報を個別に有線側に広告すると、ルート情報が氾濫することにな
ります。
また、図2の無線ネットワーク内の通信を考えると、既存の無線アドホックルーティ
ングを利用した場合、例えばWN1とWN3の通信は有線ネットワークを利用せず、無線
リンクのマルチホップ接続を通してのみ行うこととなります。
4.提案方式
本節では3節で指摘した課題のうち、WN間の通信において、有線ネットワークも利
用した最適ルートの検索方式について述べてます。
4.1.WGWの把握
提案方式においては、各WNは立ち上げ時に無線ネットワーク内にWGW調査メッセ
―ジをフラッディングさせ、調査メッセージを受けたWGWが自身の情報を含めたリプ
ライを返します。WNが把握したWGWの情報を各WGWに通知することにより、各
WGWは同一無線ネットワークに属する他のWGWを認識することが可能となります。
4.2ルート検索
無線ネットワーク内でのルート検索時には、検索を開始するWNが検索メッセージを
ブロードキャストします。検索メッセージを受信したWN及びWGWは自身が検索の宛
先であるか、あるいは宛先へのルートを知っていれば検索元へリプライを返します。そ
うでなければ検索メッセージを再びブロードキャストします。更に、WGWが検索メッセ
ージを受信した場合、もし同一無線ネットワークに属する他のWGWが存在すれば、そ
れら他のWGWへも有線ネットワークを経由してこの検索メッセージを送信します。た
だし検索メッセージはIPパケット内にカプセル化して各WGWへユニキャストメッセー
ジとして送信します。有線経由でこの検索メッセージを受信したWGWはこれを無線側
にブロードキャストします。実際には」受信済みの検索メッセージを他ルートから再受
信した場合は破棄します。
5.評価
本節では図3で示すような、N×N個のWNが格子状に無線マルチホップ接続ネット
ワークモデルにおけるWN間の通信について、無線リンクのみを利用して行う従来方式
と提案方式の評価を行う。ただし、有線ネットワークにおける各WGW間のメトリック
は、無線リンクdwiredホップ(ここでは1)相当で全て同一です。また、無線リンクが
通信できない確率はpwired(ここでは0.1)とします。
結果は図4、5のようになります。図4より、提案方式が従来方式に比べてホップ数
を削減でき、スループットが向上したと言えます。また、図5より、提案方式は従来方
式と比べてルート構築失敗率を抑えることができてます。
6.まとめ
提案方式はホップ数及びルート構築失敗率の削減に効果があることを示した。