世界民族音楽の旅、今回はインドの音楽です。
私にとって、全く未知の分野(行き付けのカレー専門店では、ずーっと「踊るマハラジャ」のような感じのビデオが流されていますが…。)なので、どんなものが聴けるか、とても楽しみでした。所用で演奏前のレクチャーは聞けませんでした。聞いていたらもっと興味深く音楽を楽しめたかもしれませんので残念です。
演奏開始が16:00ちょっと前、公演終了が18:00頃でしたので、約2時間の公演(休憩15分)だったのですが、なんとアンコール曲を入れて5曲でした。
特にステージトークが長かった、という訳でもなく、一曲が長いです。
ラーガ・プリヤ(日没時間帯のラーガ)
ラーガ・ジンジョディ(夜のラーガ)
第1部は2曲の演奏でしたが、実を申しますと、私、この2曲の区別がつきません。今、どちらかを聞かされて「さて、どちらでしょう?」と言われてもわからないと思います。奏者3名(シタールとタブラとタンブーラ)が舞台上に出てきても、しばらく演奏は始まりません。ちょっと時間をかけて、入念にチューニングをしていきます。
「『そんなん、開演前にやっとけ』と言いたくなりますでしょ?」と、タブラ奏者の吉見氏が、少し関西訛りのある言葉で客席に問いかけて笑いを誘います。
インドの音楽に使われる楽器は、温度・湿度・運搬などによって、すぐに音程が狂うので、その都度チューニングをするのだそうです。
ずーっと「うぉ〜ん びぉ〜ん」という感じの低い、小さい音が鳴りつづけているので、なんだろう、と思っていましたら、舞台上に小さなカセットデッキ(のように見えた)が置いてあり、そこから音がしていました。音程をとるためでしょうか。
さて、パンフレットによると、今回聴くのは北インドの「ヒンドスターニ音楽」だそうです。「ラーガ」というのはメロディーのルールだそうで、音階の特徴を押さえて、あとは奏者の即興で演奏されるようです。ラーガには、演奏される時間帯や季節などに決まりがあって、今日の公演は夕方から夜なので、「日没時間のラーガ」と「夜のラーガ」が演奏されるというわけです。(そういうわけで、日本では「夜明けのラーガ」は滅多に聞けないようです)弦楽器のシタールで旋律を、打楽器のタブラでリズムをとります。先にシタールの緩やかな独奏があり、追ってタブラの響きが加わります。タブラは「ターラ」というリズムのルールに基づいて演奏されるそうです。
曲の間に、楽器の説明がありました。
シタールは胴と棹の表面にチーク材、胴と、棹の先の方についている共鳴胴に干瓢を使った弦楽器です。胴と棹は両方、中空になっているそうです。弦は演奏弦が7本と共鳴弦が13本だそうです。左手で弦を押さえたり引っ張ったりすると、「びょ〜んん」という感じに音程が変わります。(イメージの中での「インドの音楽」ってこんな感じだ。)
タブラは、2つで1組の太鼓です。もとは長い胴の両面太鼓だったのを、真ん中で切って片面太鼓2つにしたのが始まりだそうです。奏者の右手側の太鼓は少し小ぶりで、胴は木製です。左手側の大きめの太鼓は、胴が金属(銅)でできています。両方ともヤギの皮が張ってあり、デンプン質と金属粉を練り合わせたものを一部塗りつけてあるそうです。叩く位置、叩き方によって、音程が変わります。手のひらでこするような奏法もあり、音が曲がる感じがします。タブラの演奏法を教授する時は、一定の掛け声に音を対応させるそうで、私が子どもの頃、町内の祭り太鼓の叩き方を、「テレ・シャウ・トロ・ツク」などと表現していたのを思い出しました。
タンブーラはシタールに似ている弦楽器ですが、目立つメロディーの担当ではなく、地味な伴奏を続けます。
2曲の区別は全くつかなかったのですが、インドの音楽ってこんな感じなんだ、と、なんだか嬉しかったです。タブラの演奏が入るまでの、緩やかなシタール独奏は眠くなるほど気持ちよく、タブラが入った後はノリがよくて楽しかったです。
弟橘
第2部の始まりは、南インドの舞踊「バラタナティヤム」です。
インドの神に帰依する表現の一つとして発展した舞踊だそうです。
第1部の奏者3人が舞台端に並んで演奏を始めると、鮮やかな緑と赤の、つやのある衣装をまとったダンサーが現れます。ダンサーの足についている鈴が、第2の打楽器のようです。「うわ〜、下半身が強靭な人だな」というのが第一印象です。舞踊家は、仕舞でもバレエでも足腰が強くないとダメだと思いますが、それにしてもよく動く足です。
弟橘というのは、日本武尊の妻の名前です。私もあまりよく知らないですが、ヤマトタケルノミコトとともに船で旅する途中に大嵐に遭い、オトタチバナヒメは人柱として自ら海に身を投げて、海が平安になった…という日本神話があります。その時にオトタチバナヒメの櫛が、私の生まれた町の近所の海岸に流れ着いたそうです。(…という話を、昔祖父から聞きました)
今日の舞踊は、その、オトタチバナヒメをモチーフに振りつけられたそうで、初めは「若く快活なオトタチバナ」という感じの軽快な踊りです。途中、スローな雰囲気に変わり、渦や波のような表現が入ります。その後、タブラの激しいリズムに合わせた、軽やかで激しいステップがつづきます。
楽器と舞踊がピッタリと合っていて驚きました。それと、衣装の構造がちょっと不思議で(前から見ると膝丈のスカートみたいなのに、後ろから見るとパンツになっている)あれどうなっているのかな、と、ずっと思っていました。
舞踊が終わった後、ダンサーの方が舞台に登場し、バラタナティヤムについての説明がありました。
踊りで表現するキャラクターに応じて、ポーズに法則があり、今日のオトタチバナヒメは「女神」のキャラクターで振りつけられたそうです。
踊りの稽古は、まずステップの稽古から始まり、基礎トレーニングは「かかとをつけてつま先を180゜開いた状態で膝を曲げ、背筋を伸ばして膝を外側に向けたまま足踏み」(文字で表すのが難しいです)で、これがある程度の速さで正確にできるようになって初めて、上半身の振付を教授されるそうです。どうりで足腰が強いわけです。「あれ、下半身太りに効果的だろうな」と思ったので、家に帰ってからやってみました。私はゆっくりでも50回足踏みするのがやっとです。翌日太ももとお尻が痛くなりました。続ければ引き締まるでしょう。
ドゥーン
第2部の2曲目は、アップテンポな曲です。リズム「ターラ」を、極限まで早いサイクルでやります、と演奏前にことわりがありましたが、その通り、めまぐるしく演奏されていました。お疲れ様です、という感じです。
「よくわかんない、でもすごい」というのが今日の感想です。これにつきます。インド行きたいです。
アンコールに、滅多に聴けない「夜明けのラーガ」を演奏してくれました。でも…「日没のラーガ」との区別、私にはつきませんでした。