三国史経営学vol.003
『屯田制』

 曹操の治める魏の特出すべき政策として、掲題の屯田制があります。
 これは日本でも行われたことのある制度で、日本の場合は蝦夷(北海道)の屯田兵が有名だったりします。
 日本での屯田制は蝦夷の守備および開墾を行うために兵士を移住させるといったもので、開墾を行った土地を自分のものにしていいというものでした。土地という対価を払うことでの強制労働といった感じでしょうか。この政策はその当時の政府にとって未開の地を開拓する上でも守備する上でも有効な政策でした。
 開拓をした人間がその土地をもらいまたそれを守備するのは、いわば自分の土地を自分で守っているわけで、その意気込みたるや他の兵と比べても格段に違うものでした。
 しかも政府としてみれば、もともと土地が広い割に入植率の悪い蝦夷の地だけに対価として分け与えたとしてもそれほど大きな痛手にはならないという判断だったのでしょう。 それはとてもいい取引だったのです。
 でも、実際に屯田兵としてその地に入った人達にとってはどうだったでしょうあの極寒の蝦夷の地で、今と違い暖房もろくに得られない状態での開拓の生活はそれは厳しいものだったに違いありません。それでも土地をもたない流民として生活するよりははるかに希望のある生活だったのでしょう。

 少し日本での話に偏ってしまいましたが、ここからは魏の屯田制のお話をします。
 魏の屯田制の場合は土地を与えるということではなく、農具と土地を貸すのでそこから得られた収穫物を優先的に農民に渡すという内容のものでした。税率は5公5民で、つまり半分は税金として収めなさいというかなり高い税率だったのですが、土地ももたず、食い扶持もない流民としての生活から最低限食い扶持は保障するという生活になれるのです。 それはおいしい話だったと思います。
 実際この当時は黄巾の乱から続く長い戦乱の最中であり、ほとんどの作物は取れず、農民は土地を捨てて流民になり、豪族からは5公5民どころか9公1民といった高い税をかけられるという農民にとっては口にできるものは何でも食べなければ生きていくことすらできないといった苦しい時代でした。
 また、各地に点在する豪族にとっても苦しい時代で、いくら税率を上げても税は入ってこない、土地はどんどん枯れていき、農民は流出するといった、ものすごい悪循環の中に陥っていました。実際、豪族自体も自分の兵やその家族を食べさせるために、他の豪族を襲うといった強盗などをしなければなりたたなかったのです。

 そんな状況の中、悪循環から抜け出すための政策として魏では屯田制が生み出されたのだと思います。
 他に頼ることなく、自国の中での生産力を高めるというのは流民があふれ、他者の富を奪い合うといった状況の中では誰もが見落としていて、コロンブスの卵的な策のように見えるでしょうが、仮に気がついたとしてもその当時の為政者にとってはそれを実際に行うには多大の勇気を必要としました。
 それは長い戦乱の中で荒れ果てた大地自体がちゃんとに蘇るのか、またそれはどれくらいの年月をかければ収益をあげることができるのか、当然収益を上げるまでのあいだはその民を食べさせていく必要もあります。そして、なにより、自分以外がすべて強盗といった中で他の豪族からの侵略にも抵抗しなければいけない。
 並みの為政者に出せる結論ではなかったと思います。

 長々と魏の屯田制についての話をしてきましたが、何が言いたいかというと現在の日本経済の状況と屯田制を引く前の魏の国が置かれた状況が似ているのではないでしょうか? そして、魏の国の屯田制政策を受けての政策を行うべきなのではないか? という気がしてならないのです。
 では、実際にどのようなことをするべきなのかというお話をしましょう。
 まずは人の誘致ですが、どんな人でもいいという話であれば、現在の日本では老若男女様々な人達が職にあぶれていることですし、その人達を誘致することができれば、なんとかなるかもしれません。
 実際そういう人達に何をしてもらうかというところが重要になると思いますが、地域によっては農業に人を誘致している地区もあると思います。それもまた一つの方法だと思います。そして、今私が考える日本国内で一番力を入れるべき産業として、ゴミ処理の産業ではないかと考えます。
 これはたんにゴミを焼却するということだけをさすのではなく、むしろリサイクルに重きをおいた産業に人を誘致していくことこそ、大切なのではないかと考えています。

 まったく私事ではあるのですが、私の実家は千葉県の南房総にありますが、私の実家の海は決してきれいとは言いがたいものだったりします。それは台風や高波で海からあがって来たゴミが海岸や川の入り口を汚しつづけているのです。
 今はそのゴミを地域住人のボランティアによって片付けているのですが、私がいつ実家に帰っても海が汚いことを考えるとそれほど大きな効果は出ていないのでしょう。
 私は実家の海をきれいにしたいということを考えてきましたが、今のところ何も実践できていません。
 ゴミ処理を何とか事業として成り立たせることができたときにはぜひ、実家の海をきれいにしたいと考えていたりします。


参考資料:蒼天航路


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