◇縦笛の寄付
フィリピンに行く前に、何を彼らに教えようか思い悩んでいました。これといって特技ががない私にとってはかなり深刻な問題でした。そんな時、友人と話していた中で「縦笛」というアイディアが浮かびました。これなら私にも教えれる。それに同級生に声をかければ昔使っていた縦笛を寄付してくれるのではないか!と思ったのです。早速同級生に声をかけました。すると同級生だけでなく、彼女達から一般の人たちにも声がかかり、あっという間に40本近くの縦笛が集まりました。
また、友人の一人から、「縦笛を贈ろうと思うけれど、ケースがかなりボロボロなの。だから試しで家にある布で作ってみたの。結構いい感じなんだけどよかったら他の笛の分も作るよ」と申し出があったのです。「でも、40本近くあるよ。。」と申し訳ないと思いながらも伝えたのですが、彼女は快く引き受けてくれたのでした。出来上がったケースはかわいらしいキルトの生地で作られ、入り口は子供が笛を落とさないようにきちんと紐で縛れるように工夫されていました。「こんなにたくさん作るの大変だったでしょう。」というと、彼女は「私達、学生時代からこの時期に釜が崎のおじさんのためにマフラーを編んだりしてたでしょう。だからそんなかんじで全然平気だったよ。」といってくれたのです。そういえば、ちょうどこの12月の最初の待降節の時期、私達は毎年こういった活動をしていたのでした。お米集めたり、マフラー作ったり、老人ホームのお年寄りのためにクリスマスカード書いたり。。。卒業して十数年経っても私達にも確実に母校、聖心のスピリットが確実に生き続けています。
このように沢山の人たちの暖かい気持ちで集まった縦笛をスーツケース一杯に詰めて出発しました。
◇フィリピンの音楽教育
実際、授業に参加した子供のほとんどが縦笛を触るのも始めてでした。どうやらフィリピンの学校では音楽の授業はオプションであり、受講してもも楽器に触れる事もなく、ただ歌を歌うぐらいのようです。楽器は彼らにとって身近な存在ではありません。ですから、指導はドレミの楽譜の読み方から始まりました。縦笛の吹き方についても、「音」に対するセンスというのが少々ずれているので、「ピーィ!」というはずれた音もお構いなし。とにかく思いっきり大きな音を出そうとします。”ハーモニー”とは完全に無縁の世界です。私は授業の前にピアノやハープの音楽を聞かせることにしました。子供達に「音を聴く」ことを教えようと思ったのです。はじめは一分と持たず、自分の縦笛を吹き出す子供もいましたが、だんだんに聴くようになってきました。
◇縦笛の授業と発表会、驚きのプレゼント
音楽の授業に参加したこどもは約20人ほどでした。しかし最初から最後まで継続して授業に参加し「ドレミの歌」を演奏できるようになった子供はたった5人でした。しかし、この5人だけでも、最後までやり通してくれたことは私にとって大きな喜びでした。この5人はSMSF
DAYに参加者の前で「ドレミの歌」を演奏しました。そして、その発表の後、私は彼らに今まで内緒にしていた縦笛のプレゼントをしたのです。その喜びようは大変なもので、「本当にわたしにくれるの?本当に?」と繰り返し、「ありがとう。嬉しい。お家に帰って家族に弾いてあげる」と大変喜んで言っていました。その言葉を聞いてこちらも嬉しくて胸がいっぱいになりました。実は、それまでに授業中に「この縦笛がほしい」と何度もいわれていたのですが、来た子供たち全てにあげていては、縦笛も足りなくなりますし、子供たちも縦笛をもらうだけで次の練習にこなくなるだろうと思い、わたしが保管して授業の時に使う、または練習したい人はいつでも修道院にきてするように。という方法を取っていたのでした。まさに今回は毎回授業に参加し、一生懸命練習して努力した人だけがもらえるご褒美となりました。本当はみんなにあげたい気持ちですが、彼らに学んでほしいのです。”継続は力なり!”そして努力したものがもらえるご褒美があるということ。それはモノだけでなく、達成感だったり、自信だったりなのだということをです。
◇縦笛に込められた思い。。縦笛を通して子供達へ。。
また、先に話した寄付していただいた縦笛の件ですが、一人一人、笛を渡す時にそれぞれの名前をテープに書いて貼り、日本の人たちがあなたたちの事を想って寄付してくれた縦笛であること、またケースは友人が手作りで作ってくれたものだと説明しました。彼らが縦笛を大切に扱う姿からこの笛を通して皆さんの気持ちが伝わっている事を感じました。彼らにとっても遠い日本で自分の事を大切に思ってくれている人がいるということ、それは本当に嬉しい事だろうと思います。わたしが帰国する直前にはSMSFのユースが集まってお別れ会を開いてくれました。贈る言葉とお祈り、そして「KEEP
SMILING,KEEP SHINING WHEREEVER YOU ARE」のステキな歌を贈ってくれました。あっという間の6ヶ月でしたが、彼らと過ごせた時間を振り返り、感謝とこの地を離れる寂しさで胸がいっぱいになりました。最後には子供たちにを持ち続けて、周りにある学ぶチャンスを大切にしっかり勉強してほしいという事、そして、わたしも、日本にいる沢山の人たちがあなた方の事を愛していることを忘れないでほしいということを話しました。
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