2004年4月7日「SMSF 四旬節セミナー」
四旬節(*1)をまえに、3月21日(日)”Lenten Recollection”と題してSMSFのユースを対象にセミナーを開きました。スピーカーにはSHIFT(*2)のスタッフGIGIを中心に若者4人に来ていただきました。踊って歌って、劇をして、子ども達には非常に分かりやすい形で神様の愛に触れることができたのではないかと思います。
下記、印象的だったいくつかのモジュールを紹介し、私の感じたことを書きたいと思います。
セミナーは全てタガログ語だったので、時々英語で訳してもらった内容と私の想像力(?!)の理解ですがご容赦ください。(笑)
(1)私たちの心 (2)完全な心(お話) (3)キリストの愛 (4)神様への手紙 (5)感想
(1)私たちの心
みんな、それぞれ心が傷ついたり、苦しんだ経験ありますよね。そのときの傷ついた”Broken Heart”は私たちの心の中でどうなっているのでしょうか。
子ども達は黄色と青のハートの形に切られた紙を渡され、黄色には自分を愛し、嬉しい気持ちにしてくれた人の名前、青には自分を傷つけたり、悲しませたりした人の名前を書きました。何人かのユースがその内容を分かち合ってくれましたが、友達からの心無い言葉や、家族からの厳しい言葉が多くの回答でした。
その青のハートはイエス・キリストの心の象徴として紙でつくられた大きな赤いハートに貼り付けられました。
(2)完全な心 (お話)

ある日、若い男が町のど真ん中で彼がこの村の中で一番”美しい心”を持っていると公言しました。沢山の人々が集まり、みんなは彼の”完全な心”を褒めたたえました。その”完全な心とは、傷や割れ目ひとつない”美しい心”でした。村の人々はこれをみて、こんなに美しい”完全な心”を見たことはないと、全員一致してこれを認めました。若い男はこれをとても自慢に思い、もっともっと大きな声で彼の傷ひとつ無い”完全な心”を自慢して歩きました。
突然、年老いた男性が大群衆の中から現れ、言いました。「なぜあなたの心は私の心のように美しくないのですか?」 群集と若い男はこの老人の心をみました。それは強く鼓動し、沢山の傷跡があり、中には、心の一部分が剥ぎ取られ、また一部分は形の違うものがはめこまれていました。彼の心はつぎはぎの心で一部は無いままでした。このつぎはぎの心をみた人々は老人をじっと見つめながら「なぜこの老人は自分の心が若者の心より美しいといえるのだろうか」と思いました。
若者は老人のつぎはぎの心をみて、「おまえは冗談をいっているのかい?」と笑いました。「俺の心とお前の心を比べたら、俺の心のほうが完全で、お前の心は傷だらけで引き裂かれているではないか」 「そうです」老人は答えました。「あなたの心は見かけは傷ひとつなく完全で美しいけれど、私はあなたの心をほしいとは思わない。みてごらんなさい。全ての傷は私が愛を与えた人をそれぞれを表しています。私は自分の心の一部を引き裂き、そして彼らに与えるのです。そして彼らは私の穴の開いた心を彼らの心で埋めてくれます。その形は決してきちんと合わないので、私の心はデコボコなのです。でも私はこのデコボコの心をとても大切にしています。なぜなら彼らは私たちが分かち合った愛を思い出させてくれるからです。」
「私の心の一部分には穴が開いたままです。それは私が心の一部を引き裂いて愛を与えても、彼らが心をを返してくれないときがあるからです。与える愛は苦しみを伴います。これらの穴はとても痛くて開いたままですが、同時に私が愛を与えた人のことを思い出させてくれます。そしていつか、彼らがこの心を彼らの心で埋めてくれることを願っているのです。”本当の美しい心”とはどういうものか分かりましたか?
若者は涙を流しながら静かに立ち上がりました。彼は自分の完全な若くて美しいっ心をの一部分を引き裂き、震える手で老人に差し出しました。老人は若者の差し出した心を受け取り、自分の心にはめこみました。そして自分のデコボコの心から一部を引き裂き、若者の傷ついた心にはめこみました。 それは完全に同じ形ではなく、デコボコで溝はありましたが、しっかりはめこまれました。若者は自分の心をみました。以前のように”完全な心”ではないけれど、老人のあふれる愛が入った前よりもずっと美しい心。
彼らはお互いに抱き合い並んで歩いていきました。
(3)キリストの愛 (劇)
SMSFユースはキリストの愛を表した短い劇を行いました。それはこんな話でした。

*少女マーシは、学校で悪い成績をもらい、クラスのみんなの前で先生から厳しく叱られます。
先生:「マーシ、あなたはなんでこんなにできないの!」
*クラスの友達も彼女を笑います。
クラスメイト「あははははー」
*マーシの心の一部は引き裂かれます。
(上記写真のように彼女は画用紙で作った大きな赤いハートをぶら下げています。これを彼女を傷つけた人が破っていきます)
*彼女は傷ついたまま家に帰ります。
マーシ「お父さん。。今日成績をもらったの。。。」(成績をお父さんに見せる)
お父さん「なんだこの点数は!本当にお前はどうしようもないバカだなぁ!」
*マーシの心はビリビリと引き裂かれます。
マーシ「お母さん。。。今日成績をもらったの。。」(成績をお母さんに見せる)
お母さん「なんなのこれ!お父さんに見せた?あんたはホントにバカで何もできないのね!」
*マーシの心は引き裂かれます。
マーシはボーイフレンドのところに会いに行きました。
マーシ「今日こんなことがあったの。。。」
ボーイフレンド「俺達、もう別れよう。」
*彼女の心はボロボロに傷つき、引き裂かれ、泣き崩れます。
そこに、イエスキリストが現れ、彼女を抱きしめ、彼女の粉々に引き裂かれた心を一緒に拾い、つなぎ合わせます。そして彼は彼女のつなぎ合わされたボロボロの心を受け取り、自分の心を彼女に与えました。

(4)神様への手紙
最後にハートの形に切り抜かれた紙に神様への手紙をかきました。
そのハートは(1)で書いた傷ついた彼らの心を書いた青い紙の上に貼り、子ども達の傷ついた心はキリストの愛で満たされました。

(5)感想
心はどこにあるのでしょう。心は目に見えません。でも、心が傷つくと胸の辺りが締め付けられるような感覚を覚えます。”心が痛い”ってうまく説明できないれど、皆さんも経験ありますよね。深く傷つくと体も硬直して動けなくなります。ぐっと体を縮ませ、丸くなって自分を守ります。そのまま丸くなって心を表に出せなくなっている自分がいたことはありませんか?私はそういうときがありました。自分ばかりが苦しいと思い、これ以上傷つくと心が壊れてしまうと思って自分の心をいろんなもので守りました。その守る手段は時に”相手を非難すること”だったり、理屈で自分を”正当化”することだったりしました。またそのことで他の人を傷つけてきたように思います。
今回のセミナーの劇を見ながら、そんなときの自分を思い出していました。傷ついた心を共につなぎ合わせ、最後に神様が彼女の傷ついたボロボロになった心と自分の心を入れ替える場面は、イエス・キリストが私たちの痛みを共に背負い、無条件の愛を注いでくださっていることを感じ、涙がでました。
神様は私たちの生活のなかでいろんな人や出来事に姿を変えて話しかけてくださっています。時に親だったり、兄弟、姉妹、友人、先生だったり、上司だったりします。たまたま通勤、通学途中に出会ってふと笑顔で挨拶を交わした人のなかにもいらっしゃるかもしれませんね。
これまでの人生を振り返ると私が傷つき、悲しみの中にいるとき、神様はいつも私がそのときに必要とする人を送り、その人を通して助け、見守ってくださったように思います。そして沢山の喜びや嬉しさで心を満たしてもらいました。しかし、その与えてもらった愛に対して私は十分にその愛に答え、また、自分の心を裂いて愛を与えることができているでしょうか。これが今回、私自身への大きな問いかけとなりました。
昔、私は母からこんな言葉をもらったことがあります。 「そんなガラスのような心をもっていたら生きていけないわよ。もっと、もっと強くなりなさい。大丈夫、お母さんがそばにいるから。あなたなら頑張れるから」 このとき、私は自分だけが苦しいと思って泣きわめいていたけれど、母は私と一緒に傷つき、痛みを分かち合い、また引き裂かれた、私の穴の開いた心を埋めてくれました。私にとって母はどんなときも無条件に自分を愛してくれている存在です。私は今フィリピンにいますが、離れていても、家族の愛は私に力を与えてくれます。私たち家族の愛の上にはもっと大きな神様の愛が大きく腕を広げて私たちを満たしてくださっていると信じています。
SMSFの子ども達の心も大きな神様の無条件の愛で満たされますように。また、私自身をそのために使っていただけるように祈りたいと思います。
”Love one another as I have loved you.(John 15:12) ”
(私があなたがたを愛したように、あなたがたも互いに愛し合いなさい ヨハネ15:12)
今週の日曜日(4月11日)は復活祭です。イエス・キリストの受難から2000年経った今も世界中の様々なところで戦争や紛争が起こり、また私たち一人一人の心の中にも憎しみや怒りがあり、キリストの受難は今でも続いています。私たちが神様に無条件に愛されているということを再認識し、その大きな愛の中で、私たち自身が互いに愛し合うことができるように。デコボコのツギハギの美しい心を持つことができますように。。。
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*1:四旬節
カトリックではイエスキリストのご復活前の1ヶ月を四旬節という時期を迎えます
同ホームページ、「フィリピン6ヶ月滞在記」 ”Holy week”をご参考ください。
*SHIFT(Sacred Heart Institute For Transformative education)
非常に貧しい暮らしを強いられているフィリピン北サマール地方で行われている聖心会の活動の一環である、子ども達の教育のための基金です。現在、マニラに ”Sacred
Heart mission house”としてオフィスをもち、若者のボランティアを受け入れ、多くの方々に支えられながら2004年6月からサマールで行う教育プロジェクトに向けての準備を行っています。2003年12月の小林聖心のクリスマスバザーではこの基金への緊急支援としてカードの販売による募金活動を行いました。
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