ピンホールカメラのダンボールハウス

宮本隆司という写真家を御存じだろうか。1969年に結成された「美共闘」のメンバーであり、これまで九龍城など、様々な廃虚を撮影してきた写真家である。彼が最近発表している一連の作品に、ピンホールカメラをつかって撮影した東京の風景がある。
最初にこれらの作品を見た時、それがどうやって撮影されたものなのか、わからなかった。4枚のパネルにわたりさかさまに映された風景(図1)。しかもその空には、人間の体の部分と思われるものが写っている。「股のぞきをして撮った写真?」などと勝手に解釈してみたものの、何か違うような気がしていた。 そして、東京都現代美術館で開催されている「傾く小屋」展でやっとその謎が判明!しかもとても感動したのでここに紹介しようと思う。


図1.展示形態の模式図

実はこの写真、大きなピンホールカメラで撮影されたものだったのだ。大人1人が入れるほどの大きさで、外から見ると新宿や上野に生息している段ボールハウスのように見える。その内部に印画紙を貼り、作者自身も寝転んだり、側面を背に座ったままで露光する(図2)。


図2.撮影の様子(想像図)

なんといってもおもしろいのは、ダンボールハウスの中に外からの風景が入り込んでくる点。ダンボールハウスの内部に寝転んで、その壁にゆっくりと風景が描かれていく様子を見ながら、自分も空の一部になる。なんて素敵なんだろう。

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