ちょっと怖い体験談
第五話:「頭が重い」
私が中学1年の秋のある日、朝、父が「あ〜変な夢見たーー。」と言って起きてきました。
なんでも夢の中で父は、母の祖母の部屋にいたそうです。
母の祖母、私のひいおばあちゃんですが、私が小学校3年生の時に亡くなっています。
孫娘の婿である父のことを、二人がまだ結婚前から気に入り可愛がっていたそうです。
父も、自分の祖母はもういないため、「おばあちゃん、おばあちゃん」と
体が弱って動けない曾祖母の所へ行き、あれやこれやと世話したそうです。
夢の中で父は曾祖母に、いつものように「おばあちゃん、元気か〜?」と訪ねます。
すると曾祖母は顔をしかめて
「ああ、○○ちゃん〜(曾祖母は父をチャン付けで呼んでいた)よく来てくれたねえ、早速だけど、これどけて〜。」と言います。
「何?何をどけるって?」と父が見ても何も無いので、聞いてもそれからは「頭が重い、頭が重い。」と繰り返すばかり。
「頭痛か?」と聞いても枕に乗せた首を少し傾け、「頭が重い。」と言うだけです。
父が、手を曾祖母の頭の上に伸ばしたところで目が覚めたそうです。
「何だったのかなあ?」と父は首をかしげていました。
2・3日して、父がやっぱりあの夢が気になると言い出しました。
それまでおばあちゃんの夢なんか見たこと無かったし、あの頭が重いというのもなんだか気になるからと。
お彼岸も近かったし、じゃあ早めにお墓参りでもしておこうかと私達は出かけました。
お彼岸の時期になれば、お参りの人が来てお墓を掃除していきます。
でもその時はまだ少し早かったので、墓地のあちこちの草も伸び放題。
ある程度はお墓を管理している方が掃除されるけど、一つ一つのお墓の周りはあまり手入れされていません。
そしてのびた草陰から曾祖母のお墓を見て、あまりのことに私達は声も出ませんでした。
曾祖母のお墓に、隣りの墓石が倒れてもたれ掛かっていたのです。
頭が重いわけが分かりました。この墓石をどけて欲しかったんですね。
私達は、お寺の住職さんを呼び、隣りの墓石を動かすとともに周りの雑草も手入れし、曾祖母のお墓に手を合わせました。
これでまたゆっくり眠れることでしょう。
あれから曾祖母の夢を見たという話は聞いていません。
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