ちょっと怖い体験談



第十一話:「女の子」


第十話であったことをすっかり忘れてしまって1年が過ぎていました。
小学校卒業と同時に引っ越しをして、友達も変わり、恒例の転校生イジメも一段落した中1の夏、
第一話のキャンプから帰って何日かたった日でした。

私は五歳上の兄とめずらしく話をしていました。
兄は、日頃からクラブや塾で忙しく、あまりゆっくり話しをする時間が無かった頃でしたが、
その日兄はブラブラしてて、長く話す時間が出来たのです。
たぶん私の事を気にはしてくれていたのでしょう。学校のことなど聞いてくれたりしました。
そして私がキャンプでの体験を話し、そのまま怖い話へ話題が移りました。
当然学校の七不思議の話しになり、お互いの学校の七不思議を言い合っていましたが、
「そうそう、前に行ってた小学校の女の子の話し、知ってた?」
と兄が聞いてきます。
小学校でも七不思議はみんなが色んなことを言ってましたが、兄が言う女の子の話しはあまりよく知りません。
その時、1年前に体験した不思議な事は完全に忘れてしまっていて、兄には話していませんでした。

以前通ってた小学校は創立が古く、鉄筋4階建ての新校舎と木造3階建ての旧校舎がありました。
戦後、新校舎が建て替えられたのですが、旧校舎は体育館を建てるため、近く取り壊されることになっていました。
戦時中、子供達は疎開し学校は家を焼け出された人の避難所となり、旧校舎は臨時にケガ人や病人の収容所となったそうです。
全部の子供達が疎開できたわけでもなく、疎開できる田舎や親戚を持たない子供達が何人か残っていました。
その中に、長い髪を三つ編みにした女の子がいたんだそうです。
家も親も無くし、収容された怪我人や病人の看護を手伝いながら、それでもいつも明るく校舎内を歩き回っていたのだとか。

「その子は、病気になって死んじゃったらしいんだって。それでも生きてた時みたいに、時々校舎の中を歩き回ってるって。
オレの友達が誰もいないはずなのに黒っぽい人影を見たこともあるんだ。足音がついてきたりしたって。
白い服のお下げ髪の女の子が、旧校舎にいるのを見た奴もいるし。立ち入り禁止になってる教室の窓に立ってたってさ。」

私は話しを聞きながら1年前の出来事を思い出していました。
白い服を着た三つ編みの女の子。
兄の話す、その女の子だったのでしょうか。
私はその後も、兄には何も話しませんでした。
その頃の私とよく似た女の子。きっと一緒に遊ぶ友達が欲しかったのでしょう。

その後、旧校舎は取り壊され、予定通り体育館が建てられたそうです。
今でも女の子は学校にいて、友達になってくれそうな子の後をついて行ったり、窓から手を振ってみたりしているでしょうか。


・・・この兄は 今はもういません。
ある年 事故で亡くなりました。
いつまでも癒えることの無い傷なので
皆さん、どうか兄の話は私にはしないでくださいね^^



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