ちょっと怖い体験談



第十二話:「通り道だから」



高校2年の時、同じクラスの友達に聞いた話しです。
彼女が以前に住んでいた家では、不思議なことがよくあったそうです。

彼女のお兄さんが外から帰って来て2階へ上がっていくのを台所で聞いたお母さんが、ジュースとコップをいくつか持って
お兄さんの部屋へ行ったのですが、部屋へ入ってみるとお兄さん一人しかいません。
「あれ?友達来てなかった?」
お母さんは、お兄さんに続いて何人かの足音がバタバタと2階へ上がっていくのを聞き、友達を連れて来たのだと思ったのです。

また、彼女とお母さん、お父さんの3人が1階のリビングにいた時、上でお兄さんが
「誰っ!?」
と大声を出しているのが聞こえます。
しばらくしてお兄さんが降りてきて、
「今誰か部屋まで来た?」と聞きます。
誰かが階段を上がってきて、部屋の前で足踏みするのが聞こえたらしいのですが、皆はずっとリビングにいたのです。

その家は玄関を入って正面に階段があり、階段を上がって廊下の突き当たりにお兄さんの部屋がありました。
部屋は長方形を横にした形で、左下に部屋のドアがあり、ドアを開けた向かい側に窓がありました。

はじめ、お兄さんはその部屋の右半分に縦に(ドアのある辺とは垂直に)寝ていたのですが、
ある日本棚を動かしたために狭くなり、横に布団を敷いて寝ることにしました。
ドアを入って部屋の右の方に頭を向けて寝たのですが、2日目くらいの夜、いきなり足に痛みを覚えて飛び起きました。
足首が何故か痛みます。
分けも分からずまた次の夜、今度は足の甲あたりがいきなり痛みます。
痛みはすぐに引きましたが、2回とも、まるで誰かに踏まれたようでした。

お兄さんは今度は頭と足を反対に寝てみました。
それから何日かした夜中、お兄さんは何物かに足首をつかまれ、グイっと下に引っ張られた気がしました。
びっくりして飛び起き、実際に自分が布団から下の方にずれて寝ていたのに気付き気持ち悪くなりましたが、
たんに寝相が悪くそうなったのかと思い 出来るだけ気にしないようにしていると
また何日か過ぎたある晩、お兄さんは金縛りにあいました。
そして動けないお兄さんの耳元で一言、声がしたのです。

「ジャマ・・・。」

お兄さんが本棚を元の位置に戻し、布団も前のように部屋の右半分だけに敷いて寝ると、もうそういう現象は起きなくなったそうです。
恐らく、玄関から階段を上がり、突き当たりの部屋を通って窓へ抜ける真っ直ぐの線が、何物かの通り道になっていたのでしょう。
他の友達からも、ここまでではないにしろ、時々似た話しを聞きました。
そこもひょっとして通り道なのでしょうか。

あなたの家は? 部屋は、そういう通り道になっていませんか?



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