ちょっと怖い体験談



第九話:「窓の外の顔」


私が小学5年生から6年生に上がる春休みだったと思います。
父の友人の家に招かれ、1泊だけ泊まった時のことです。

母は、その父の友人をあまり良く思っていないようで父は私と弟だけ連れて行きました。
というのも、その人は若い頃からかなり女遊びが過ぎるというか、女グセが悪いのか、
その時も浮気が原因で離婚し、すぐに再婚した後だったからです。
前の奥さんとの間には子供もいたし、他にも結婚前に子供だけ産ませて分かれた女性がいるという話しを、父や母がしていました。
おそらく若い頃からモテて、かなりの女性を泣かせてきたことでしょう。
けれど子供心にもその人はかっこよく見えたし、優しく面白かったので、私は結構好きでした。
他にも父の友人が、5歳くらいの息子さんを一人連れて来ていました。
その家は少し山手にあり、父たちは川でアユを釣るのが目的だったのです。

家の中に入り、しばらく話しをしていて私がトイレに行こうとした時です。
トイレの横の、庭に面した大きな窓のそばを通った時、なんだかとても怖い感じがしました。
まだ昼間で明るいし何も無かったけど、なんだか怖い感じ。
でも気のせいだろうし、そんなこと皆に言えずアユ釣りに行って、帰って来た時にはすっかり忘れて楽しんでいました。

あくる日、一緒に泊まった父の友人の息子さんが元気が無いのに気付きました。
そういえば、夜中頃泣き声が聞こえていたようなので、きっとお母さんがいなくて不安になったのかなと思って、
帰る前にまたみんなで釣りに行った時にその子に「どうしたの?」と声をかけました。

するとその子は小さな声で
「窓に顔があった。」と言います。
夜トイレに起きた時、あの大きな窓の上の方に、女の人の顔を見たと言うのです。
「え、誰かのぞいてたのかな。」と言ったのですが、その子が言うのには、顔だけしか無かったって。
窓の上の方に緑色にボーッと光る顔が映っていて 部屋の中を見ていたらしいんです。

その子は、自分の父親にそれを話してバカなことを言うなと怒られ、私も父にも誰にも言いませんでした。

ただ、私がその窓になんだか怖いと感じたのは、関係あったのでしょうか。
その後、その家に行くことは無かったので何も分かりませんが・・・。



目次へ

次へ

前へ