「ベータマックス」、この名前を知られない方も多くなってきているのでは
ないでしょうか?
2002年9月にその生産が完全に打ち切られたニュースがありましたので、
そこで初めて聞いた方も多いはず。
「ベータマックス」と言うのは、家庭用ビデオが一般に普及し始めた頃、
VHS方式のビデオとその覇権をかけて争っていたビデオ方式なのです。
今から20年程前に、ビデオがようやく家庭に普及し始めた頃に、VHS方式を
採用した、松下、東芝、日立などの大手家電メーカーと、ベータ方式を
採用したソニーを中心とした新興家電メーカーとの熾烈なシェア争いが
行われていました。
その結果はと言うと、ベータ方式の完全敗北でした。
しかし、この闘い、以後にレーザーディスクや、家庭用ビデオカメラでも
同じような方式の違いによるシェア争いが行われてきましたが、これほど
ハッキリと決着が着き、一般に影響を与えたものとしては稀にみる
争いだったのではないでしょうか。
今回はこの「Β VHS戦争」について私なりの考察をしてみたいと思います。
さて、先ずはこのΒ方式のビデオとVHS方式のビデオの違いを比べてみましょう。
と言っても、私も専門的な知識を持っている訳ではありませんので、
あくまでも私がこれまで聞き齧った知識ですので、あまり信用しないで下さい。
(それでも無茶苦茶な事は書いていないと思ってはいますけど・・・、私の
書くことですからねぇ。:笑:)
先ずはその外観ですが、VHSに比べてΒのビデオデッキの方がスマートで
洗練された外観をしていたと記憶しています。
これは、機種によって色々な物がありましたので一概には言えませんが
概ねそのように思っています。
値段的には、それほどの差はなかったように思いますが、Βがやや高額でした。
次ぎにテープですが、これはΒが小型です。
VHSの80%ほどの大木差でした。
なんかΒの方が良さそうですねぇ。:笑:
次ぎは、再生能力ですが、これは断然にΒが優れていました。
スピード再生や逆再生などは、機種によっての違いがありますから、
省きますが、映像の解析能力や映像自体の美しさではΒが圧倒的にキレイに
再生していました。
これは、Βが業務用ビデオをベースに開発された事ガ影響しています。
また、細かい話しになりますが、Βではテープを入れてから録画、
再生するまでの時間が非常に短いと言う特色があります。
VHSではテープを入れるとそのままの状態で入り、再生や録画ボタンを
押してからテープを引き出し録画・再生を始めるため、ロスタイムを
生じるのですが、Βはテープを入れると、直にテープを引き出し、ドラム
(再生・録画用ヘッド)に巻きつけた状態になるため、ボタンを押してから
再生・録画が始まる時間のロスが少なかったのです。
その程度と思われるかも知れませんが、好きな番組、映画を取る時に
少しでも頭が欠けていたりすると、興醒めしてしまったりしませんか。
ただし、この場合はテープを常に引き出しているためにテープの傷みが早いと言う事の一因になっていました。
さて、録画時間ですが、これはVHSの圧勝でしょう。
ΒがΒUモード(標準)で2時間録画、これをΒVモードにして4時間30分
(多分このぐらいだったと思います。)、VHSが(今更書くまでもないですが)
標準で2時間、3倍速で6時間でした。
ここまでは、1部を除いては、Β方式のビデオの方が文句無く優れていますね。
映像がきれいに素早く録画でき、ビデオデッキの外観も良い、値段も
それほど差はない。
さて貴方ならどちらを選びますか?
もちろんΒ方式のビデオを購入しますよね。
私もきっとそうでしょう。:笑:
しかし、現実をみてみると、ほとんどの家庭にあるのはVHS(8mmは
今は外しておいて下さい。後で出てきます。)、Βはめったにお目にかかれませんね。
私も初めて買ったのはVHSでした。:笑:
では、ちょっと視線を変えて考えてみましょう。
20年前(1980年)ではΒとVHSの購買比率は4:6と言われていました。
この頃のビデオデッキの値段と言えば最も安い物でも160000円を越えていました。
当時の一般家庭では一台買おうか?と言う感じで購入できる物では
ありませんよね。
ちなみにその頃の最高級のビデオは「ピエゾ」と言う松下(だったと
思います。)の物で、これはチューナーとデッキ本体が別売りで、合わせて
360000円しました。
14インチのテレビの安い物であれば、15000〜20000円で売られていた事を
考えれば、高級電家製品だった事が伺い知れます。
そんな物を購入する時に一体何を基準にして購入するでしょう。
しかも、普及しつつあるとは言え、まだまだ未知の物だったと思うような物です。
丁度、現在初めてパソコンを購入する時の状態に似ているのではないでしょうか?
そうです、映像が美しい、録画がロスタイムもなくできるとかは、
あまりピンと来ないと思いませんか。
それより、家にある電家製品などと同じメーカーだったり、録画時間が長く
できる物を選んだりするとおもいますよね。
テープもこの頃は一本1000円以上していました。
各社の広告戦略がどうなっていたとかは詳しくは判りませんが、Βの
中心企業のソニーが「ウォークマン」のヒットがあったとは言え、まだまだ他の
大手電気メーカーに比べれば知名度は低かったでしょう。
これはそのまま販売店舗の少なさ、商品アピール度の低さと正比例します。
なら、どちらの商品を購入するか迷っている消費者に対して、販売店が
薦める度合いはVHSが圧倒的に優位になります。
更に、友人などに聞いた場合、既に自分が持っている方式のビデオを
薦めるのではないでしょうか。
こうなってしまっては、もうΒ陣営にとっては悪循環ができあがってしまいます。
まだビデオがあまり普及していず高額だった頃は、購入するのは、収入に
余裕のある人か、マニアと言われる人がほとんどだったハズでしょう。
それなら、マニアと言われる人であれば、映像の美しさをを重点として
比較検討しての購入となり、Βを選んでいたのでしょう。
それが4:6と言う比率となっていたのです。
しかし、以降の普及し始めた頃の新規購入者は、どちらかと言えば
良く売れている方、長く録画できる方を選ぶようになるのでは。
考えてもみて下さい、一般に購入される人の目的といえば、自分の見られない
時間帯にやっているテレビ番組を見るのが目的のはずで、それを美しく
保存するのが目的として購入する人って少ないでしょう。
また、じっくりΒの映像とVHSの映像を比較して検討する
人も少ないとおもいますよね。
更にその傾向に拍車をかけたのがレンタルビデオの広がりです。
なぜ?と思われるかも知れませんが、レンタルビデオができ始めた頃は、
確かにΒとVHSが両方とも用意してあるのが当然でした。
しかし、ビデオテープの大きさといえば、あの大きさです。
レコードや音楽テープなら多数のものを陳列する事も可能でしょうが、
ビデオでは限りがあります。
それと、確認した訳ではありませんが、ハリウッド映画の日本での販売権を
VHS側企業が持っていたとか、アダルトビデオはVHSしかなかったなどとも聞きました。:笑:
そんな事で、Β陣営には逆風となっていたようです。
こうして、一般にビデオが普及すればするほど、VHSとΒとの購買比率は開いていったのです。
まとめるとΒが衰退していった原因としては、一般に対する企業の知名度、
信頼度(あくまで当時の一般的な企業名に対してのものです。)、録画時間の
短さ、、レンタルビデオの普及による3点だと考えられます。
これらの事は、一般的にもよく知られている事で、特に今更取り上げる事でも
ないでしょうね。
さて、私が注目しているのは、こんな事ではありません。
L―750、L―500、これなにか判りますか?
皆さんは「通近快足」と言う商品を知っておられますか?
これは消臭剤を含んだソックスで、大ヒットした商品です。
使われている方も多いのではないでしょうか。
この商品、最初は全く違った商品名で発売されていました。
が、その時は全く売れ行きが伸びず、商品名を変えたとたんに大ヒット
商品となった事で有名です。
このように名前1つでヒットを飛ばすものって少なくないそうです。
歌手の名前や曲名などにもこのような傾向があると聞きます。
さて、前述の「L―750、L―500」ですが、これはΒのテープの名前です。
対して「T―60、T―120」これはVHSのテープの名前です。
さてどれが何分テープかわかりますか?
VHSテープは判りますよね。
T―60」は60分、「T―120」は120分です。
3倍モードでは、3時間、6時間となります。
対して、Βの「L―750」「L―500」はちょっと判りません。
これって「通勤快足」に繋がるものがあると思いませんか?
更に、現在でもそうですが、テレビ番組は、30分、60分、映画なら120分と言われています。
実際にはCMなどを考えるとそれより短いのですが、必要なのは、そのように
思われていたと言う事なのです。
そう、判りやすさと言う事ガ重要なのです。
「そんなのカバーの裏に時間が書いてあるから、見れば判るじゃん」
いえ、カバーの裏をわざわざ見なければ判らない事がダメなんです。
次ぎに、テープの形態です。
当時(1980年)には、ラジカセの普及率はかなりな物だったです。
つまり、音楽テープは一般に馴染み深いものでした。
もうお気づきですね。
そうです、Βのテープは実に左右非対象、前面から見ると、右半分が
テープ残量が判る透明な窓、左半分がラベルとなっていたのです。
対してVHSは中央がラベル、両端が透明窓でテープの状態が見える物なのです。
実に音楽テープに似ています。
と言うより、音楽テープをそのまま大きくしたような感じですよね。
人間と言う生物はどうも左右非対象な物を嫌う傾向にあるようで、
世の中の物で、ほとんどは左右対象の物が実に多くあります。
前述していますが、私が最初に買ったのはVHSです。
しかし、私の姉が買ったのはΒでした。
彼女のΒデッキはソニー製だったのですが、私のナショナルのデッキに比べ
実にカッコよく感じられました。
(購入時期に4年程の開き、値段にも差はあったようですけどね。)
それでもどうしても馴染めない物がありました。
それが、テープの外観と名前だったのです。
これを実際に感じると言うか、気が着いたのは、このΒ・VHS戦争以降に
起こったビデオカメラでのシェア争いなのです。
これは、家庭用ビデオデッキが普及を果たし、更に家庭用ビデオカメラの方式を
巡っての戦いです。
VHSで勝利を収め、そのデッキを利用して再生も行えるVHS―Cと
呼ばれるカメラと、Βで敗北を喫したソニーが開発した(開発はシャープ
だったかも・・・。)8mmビデオの争いです。
これは、言うまでもなく、8mm陣営の圧勝で終わりました。
まぁ、ちょっと比較して見ましょう。
映像の美しさでは、VHS―Cが優秀だったと思います。
特に、新開発されていたSVHSでのSVHS―Cはとってもキレイでした。
更にこれは、当時には一家に一台と言われていたVHSデッキでの再生も
可能でした。
(カートリッジにテープを入れての使用となりますが。
録画時間では、8mmが2時間(長時間モードで4時間。)、VHS―Cが
20分テープ、30分テープ(3倍モードでの録画も可能)でした。
8mmでは、最初からチューナー機能があったため(付属品として付いています。)
テレビ放送も録画可能となっていたのに対して、VHS―Cではチューナー機能は
付いていませんでした。
どうやら、VHSデッキがあるから、そちらを使えと言う事だったようですね。:笑:
更に、S―VHSで録画された映像はS―VHS機でしか再生できないと
言うのもネックだったようです。(まぁ、当たり前ですね。)
これは、シェアがどうのと言うより、8mmの独壇場でした。
さて、この時のテープを見てみると、8mmのテープは実にVHSテープ
に似ています、と言うよりそのまま小型化したものです。
反対にVHS―Cのテープはと言えば、小型化したためでしょうが
右半分が透明窓のテープ残量が判る窓。
左半面がラベル表示となっているのです。
どうですか、テープが左右非対象、録画時間が短い、映像は比べれば美しい、
そのままΒ、VHS戦争をひっくり返した状況ではないですか?
まぁそれ以外にも多くの違いはありますけどね。
確かに、これがこうだったからと一つの理由で決められるものではなく、
いろいろな要素が絡んだ結果ではありますが、ある物が一部の人の物なら
より専門的な部分が比較の対象となりますが、それが一般の人に普及する場合は
より判りやすい事柄、馴染んだ事柄が強味になってくるのではないでしょうか。