ハリーポッターとは何者かご存知ですか?
「ああ、子供の本ね」と思った方も多いでしょう。
確かに、ハリーポッターシリーズは、児童書です。
しかし、侮ってはいけません。
このシリーズほど、またたく間に世界中の子供から大人まで魅了した本は
ありません。
著者は、イギリスのJ.K.ローリングという女性です。
生活保護を受け、一人で子供を育てながら書いた処女作が、第1作の
「ハリーポッターと賢者の石」でした。
その後、1年ごとに出版した「ハリーポッターと秘密の部屋」、
「ハリーポッターとアズカバンの囚人」、「ハリーポッターと炎のゴブレット」は、
すべてベストセラーです。
40か国以上に翻訳され、2001年5月現在で、売り上げは全世界1億部を突破しました。
シリーズは7作までの予定です。但し、日本語版は3作目までが出版されて
おり、4作目の「ハリーポッターと炎のゴブレット」は、今年10月に、
前作までと同様、静山社から発売されます。
それでは、このシリーズがどんなお話なのか、少しご紹介しましょう。
主人公のハリーポッターは11歳の少年で、実は魔法使いなのです。
赤ん坊のときに、最も邪悪で強力な闇の魔法使い、ボルデモートに両親を
殺されました。
そのために、普通の人間の伯母一家に育てられ、いとこのダドリーに
いじめられながら、惨めな幼年時代を過ごしていました。
彼らは、その両親が魔法使いであったことなど、ハリーには一切秘密にして
いたのです。
ところが、ある日ハリーにホグワーツ魔法学校から入学許可証が送られて
きました。
信じられない気持ちで入学したハリーは、何もかも驚く事ばかり。
ハリーは魔法会では知らない人がいないほどの有名人でした。
狙ったものはすべて殺してきたボルデモートが、赤ん坊のハリーだけを
殺せなかった上、逆に力も何も失ってどこかへ逃げてしまったのですから、
世界を救った英雄と思われています。
ひたいの稲妻形の傷跡はその証しでした。
物語はハリーの学校生活を中心に展開します。
親友のロンとハーマイオニーの助けを借りて、ボルデモートと闘ったり、
クィディッチというスポーツの主力選手として大活躍したりします。
ここまでですと子供向けの冒険活劇に過ぎない感じがしますね。
それでは何がそんなに世界中の読者の心をひきつけたのでしょうか。
この本を読んだ人ならわかると思いますが、魔法界というのが本当にあって、
著者がそこを覗いてきて書いたようなリアル感があるのです。
小道具も大変凝っていて、空飛ぶほうきや架空の動物達、魔法界の新聞、
魔法薬を作るレシピ、クィディッチのルール、銀行や刑務所などの社会の
しくみ、何もかもが具体的に書かれています。
それに、細かい表現によって、音、匂い、味、温度、触れた感触などを
登場人物とともに味わうことができます。
そして、謎を解いていく楽しさ。
1作目からいくつもの伏線がしかれていて、おそらくは7作目まで読まなければ
解き明かせない謎もあるでしょう。
しかし、いくら原作がすばらしくても日本語の翻訳がまずければ、
これほど流れるように読み進むことはできないかもしれません。
このシリーズを翻訳した静山社の社長、松岡佑子は、精魂込めてこれを翻訳し、
日本にもハリーポッターブームをもたらしました。
本の後書きに、彼女はこう書いています。
「ローリングの作品の魅力は、壮大なスケールの構想の中に散りばめられた
繊細なディテールである」。
全くそのとおりです。
だからこそ大人も夢中になるのでしょう。
この本は子供にとっては長すぎるし、とても難解だと言われています。
でも、ゲームばかりして読書など嫌いだった子供達が、それを何度も何度も
読むほどハリーポッターにひきつけられました。
ゲームよりも面白い本を書けば、子供達はちゃんと読むんですね。
私も読書から離れていましたが、1作目を読んで、のめり込みました。
そして城のようにそびえ立つホグワーツ魔法学校を隅々まで想像して
楽しんでいます。
この物語の底に流れている友情、勇気、信頼、正義感、親子の愛など、
現在では薄れがちなものを子供達が汲み取ってくれればと願います。
皆さんもこの秋、ハリーポッターを読んで、子供の頃のようにわくわく
してみませんか?
きっと、ほうきに乗って空を飛びたいと思うようになることでしょう。