私はメスの秋田犬です。
天国からこんにちは。
私の飼い主はホタルさんです。
私が子犬の時、ホタルさんはなけなしのお金を出して、私を買って
くれました。
それから13年、私は老衰で死に、この天国にやってきたんです。
ホタルさんは途中で目が見えなくなったので、おばあさんになった私の
顔を知りません。
最後の日、私は動物病院のいつもの先生に抱きかかえられて、入院するために
車に向かっていました。
ホタルさんは「待って!」と言って駆け寄り、ハアハアいう私の顔に
おでこをくっつけ、ぎゅっと抱きしめました。
ホタルさんも私も、これでお別れなのだと感じました。
ホタルさんは私の名前を呼び、しばらくそのままでいたけれど、無理矢理
心に蓋をするように私から離れました。
私たちは胸の中でつぶやきました。
ホタルさんは「さよなら」と、私は「ありがとう」と。
犬はただ何も考えずに生きているでしょうか。
ただおなかがすいて食べているだけでしょうか。
いいえ。いろんなことを感じます。
飼い主の愛情も、あるいは捨てられる悲しみも。
でも、いけないことはいけないと教えてくれないと、何をしても許されると
思ってしまうのです。
人間の子供を育てるように愛と忍耐をもって教えてほしいのです。
私たちの仲間に盲導犬になるものがいると聞きました。
盲導犬は一生仕事をさせられてかわいそうだと言う人もいます。
だけど鞭で叩かれて仕事をしているわけではありません。
飼い主とともに出かけ、大好きな飼い主に褒められることは最高の喜び
でしょう。
その一体感がどんなにすばらしいか、私のような平凡な犬には経験できない
ことでした。
ホタルさんの友達の女性も、最近盲導犬と暮らし始めました。
今はまだ四苦八苦の毎日のようです。
彼女と盲導犬のハートがリングのようにつながって輝き始めるまで、
もう少し時間がかかるでしょう。
犬が飼い主の目の代わりをすることは、それくらい根気のいることなのです。
通りすがりの皆さんに、お仕事中の盲導犬には手を出さないようにお願い
するのも、私たちの集中力を妨げないでほしいという願いからです。
どんな場所にでも盲導犬が入れるようになる日がくるのはいつのこと
でしょう。
私はホタルさんと別れた夜に天国へ召されました。
次の日、一度だけホタルさんに会いにいってよいと神様からお許しが
出て、地上へ降りてきました。
ホタルさんは雨上がりの歩道橋の上を、白杖をついて歩いていました。
私は歩道橋のまん中でホタルさんが来るのを待ちました。
ホタルさんはそばを通り過ぎる時、少しの間立ち止まり、ふとほほえみを
漏らしました。
私が挨拶に降りてきたことを感じてくれたのです。
においで私に気づいたのでしょう。
ホタルさんはほほえんだまま、また歩き始めました。
私はずっとホタルさんを見守っていたかったけれど、金色の光の柱が天国から
私を迎えにきたので、そのまま戻りました。
私は次に生まれ変わる時、盲導犬になれるように神様にお願いするつもり
です。
そしてまたホタルさんとめぐり会い、今度は盲導犬とユーザーとして一緒に
歩いていきたいです。
ホタルさん、待っててくださいね。
では最後に、盲導犬訓練所のホームページをご紹介しましょう。