「秀吉の毛利征伐」
「とっ殿!大変でございまする、外を外をごらんくだされっ!。」
慌てて寝所から起きだし、城壁の外を見た高松城城主 清水宗治は城外一円を
埋め尽くす緑の物体に顔色をなくしてしまった。
数日前から、毛利領に攻め入ってきた羽柴秀吉の軍勢がなにやら画策している
ことは気づいていたが、よもやメロンで城を覆い尽くしてしまうことまでは
見抜けなかったのである。
堀はもちろんその外に広がる野畑にまで見渡す限りの場所がメロンによって
埋め尽くされることになろうと誰が予測できたというのであろうか。
「なんと、水攻めならぬメロン攻めとはっ!、秀吉めが味な真似をっ!」
「いかがいたしましょう、これでは門を開けたとたんにメロンがなだれこみ、
割れたメロンでベタベタになってしまいまする。」
城壁の上では多くの兵がこの光景に、唖然とした表情で、声もなく辺りを
見回している。
「殿、どうでございましょう、メロンはしょせんは果物に過ぎませぬ、
皆で食い尽くして羽柴を悔しがらせてみせましょうぞ。」
だが宗治は悔しそうに家臣の進言に首を振ったのであった。
「千や二千のメロンならそれもよかろう、だが見よこのメロンがいったい
どのぐらいあると言うのだ。
城の兵を総動員しても食い尽くすことかなわぬ・・・。
しかも、この暑さだ、特に下のほうにあるメロンは既に潰れておろう、
腐り始めるのも時間の問題。
なれば、メロンの果汁で城はベタベタになり、蝿や蛆虫にたかられながらの
落城となろう。
口惜しいが、もはやこれまで・・・。」
「とっ殿・・・。」
落城を悟り天を見上げる宗治の周囲で、これまでの篭城で苦楽をともにしてきた
家臣たちが膝をつき落涙するばかりであった。
「光成、美味いか、もぐもぐ。」
「殿、やはり夏はメロンに限りまするな、もぐもぐ。」
<「罪とメロン」
法廷に裁判官の朗々とした声が響いた。
「被告を「メロン責め」7日間の刑に処す。」
被告の男の口許がにわかに緩んだ。
彼の起こした犯罪なら死刑はもとより、よくて無期懲役と覚悟していたのに、
よく判らないが7日間の刑罰ですむことになったのであるから、気を
緩めるなという方が無理な話なのである。
そんな彼に、一個の黒い金属の箱が手渡された。
「ケッ、なんだよこの金庫。
えっ、中にメロンが 入っているって・・・。
あっ、食べごろは今日になってるじゃねえか、おいどうすんだよ、早く食わねえと
食べごろが過ぎちまうじゃねぇかっ!
おい金庫開けろよ、このままじゃメロンがっ、メロンがっ!」
彼の懇願には、誰も耳を貸そうとしない。
「おい、金庫を開けろって言ってんのが判らねぇのかよっ!
なっなぁ、頼むよ、このままじゃメロンが腐っちまう、なっあんたらだって
そんな事になったら耐えられねえだろ。
誰か返事してくれよぉ、 悪かった、俺が悪かった、だから金庫を
開けてくれよぉ、頼むから金庫をっ、金庫を〜〜〜〜!。」
「007 メロンより愛をこめて」
「ふっはっはっはっはっは、ボンドくん、またお会いしましたね。」
「くそっ、だが私にもうメロンは効かないぞ。」
「まぁまぁ、どうかねとりあえずメロンでも食べないかね。」
「もぐもぐ、なかなかに美味だが、私の体力が回復するだけだぞ。」
「ふっふっふっ、引っかかりましたねぇ、ほら口の周りや顎にメロン果汁がついていますよ。」
「はっ、しっしまった、くぅぅ、かっ痒い痒い、メロン果汁がつくと痒みが
出ることを忘れていたぁ〜っ!。
もうだめだ、頼む果汁を拭き取ってくれ、なんでも話す。」
「はっはっはっ、さすがのボンドくんも耐えられなかったようですね。
よし、連れていけ。」
「戦争とメロン」
「もはや かの国の横暴は許せる範疇を超えた、私はここにかの国に対し
「メロン責め」を行うことを宣言する。」
防衛省内は、総理大臣の発言に静まり返ってしまった。
その静けさを破ったのは、誰よりも早くその内容を理解した防衛大臣で
あったのだ。
「まってください総理、それでは周辺諸国はもちろん諸外国からの非難の的になって
しまうではありませんか、ここは首都へのミサイル攻撃に留めるべきです!。」
だが、彼の必死の進言にも、総理の決断が揺らぐことはない。
「すでに矢は放たれた、全ての責任は私がとる。」
「総理、ご再考を、せめてミカン、いえスイカにしてはいただけませんかっ。
「再考の余地はない、奴らがパイナップルで責めてきたことを忘れるな!。」
これからどのような事態が発生するのか、その前途を想像するだに、彼らの心は
急速に冷えていったのであった。
せめての慰めは、最前線に立つのが自分自身ではないということだけ
だったのである。
「007 メロンフィンガー」
「・・・また、キミかねボンドくん・・・。」
「ふっふっふっ、鉄の意志を持った私にもはやメロンは効かないぞ。」
「なかなかの自信のようだが、この「むちむちぷりんメロン責め」に耐えられるのかね。」
「まさか、そんな事までっ、ぐわぁぁぁぁぁ、クソッ私がこの程度でぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!。
判った、もう止めてくれ、全部話す・・・。」
「ふっはっはっはっ、さすがのボンドくんも耐えられなかったようですねぇ。
よし、連れていけ。
あ〜、おい、もうコイツ捕まえてこなくていいよ。」
「メロン襲来」
我が番組特捜隊は、連絡を絶った探検隊のものと思しきレコーダーを
発見することに成功した。
そこには、探検隊隊員に襲いかかった恐るべき事実が記録されていたのである。
泥にまみれ、半ば土中に埋まっていたレコーダーを見つけることができ、
一部が破損していたとはいえ、それを再生することが可能だったのは、
僥倖であったといっていいだろう。
非科学的なと失笑されるかも知れないが、これを録音した隊員がレコーだーを
守り、我々を導いたと信じてもよいのではないだろうか。
では、早速そのレコーダーに記録されていたものを聞いていただこう。
「この録音を誰かが聞いてくれることを願っている。
奴らに襲われ、探検隊で残っているのは、もはや私だけになってしまった。
この事実を世界に知らせ、奴らを殲滅しないと人類に明日はない・・・。
はっ、この道は・・・、奴らのワナかっ。
ズザザザザザザ〜
くそっ、果物ごときに人間が負けてたまるか!
バキュンっ!バキュンッ! カチャカチャ。
しっしまった、弾が。
来るなっ、来るなぁぁぁぁぁぁぁぁっ!、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
ガサガサガサ、バキバキッ、ガサガサガサガサ」
皆さんはこの録音を聴いて、どのようにお考えになられるだろうか。
もちろんフィクションでもなければドラマの類でもありません。
なにかがあのジャングルで起こっているのです。
今、人類がそれに対処しなければもっと恐ろしいことが起こるような気がして
ならないのです。
「007は二度メロン」
「あの、ボス、ボンドを捕まえちゃったんですけど、どうしましょう・・・。」
「なにっ、もう捕まえるなとあれほど言っただろっ!」
「いえ、あんまりわざとらしく動き回るもんで、つい。」
「 もういいから、放り出しておけ。」
「私もそう思いまして、何度も放り出したのですけど、いつの間にか戻って来ているんです。
今、なんとか帰ってくれるよう説得させていますのですが、ボスに拷問・・・いえ、尋問されるまで
帰らないって動こうとしないもので、どういたしましょう。」
「・・・どういたしましょうって言われてもなぁ・・・、どうすんだよ・・・。」
了
昼食も終わった昼休みのアンニュイな時間、読書に勤しむ私の元に
駆け寄る足音が聞こえてきました。
「愛ちゃん、なに読んでんの。
あっ「メロメロメロン」の今週号 じゃん。」
私の愛読書を奪い取り読み始めたのは学級委員長でもあり親友の舞ちゃんで
あります。
「ふぅん「諜報員ボンド」終わっちゃったんだぁ。
私これ好きだったのに。」
舞ちゃんは親友なのですが、彼女の好みだけはいまだによく判りません。
そして、私の目の前では、さっきから二個のメロンが揺れています。
こんなとき、いつも思ってしまいます。
「メロンなんか大嫌い」と・・・。
でも、ちょっと羨ましかったりもいたします。
「メロメロメロン」 お し ま い