時計草はがんじがらめに咲いてをりうさぎのゐない不思議の国に

半袖の季節にあれば腕なども遠い地平を焼くやうに剃る

方眼紙のルーズリーフはなにものか軟禁したる扉のやうな

うはべばかりと気づいてしまへばもう言へず鎖骨の下で止まつてしまふ

米をとぐ母の背中を絶壁と思ひてゐたり長きにわたり

白い空に電線が鳴く今しばしあなたのゐない世界へ行かう

大いなる水のめぐりの途上にてひとたび死にて横たはる魚

ぬるま湯につかりたるまま冷えてゆく世界の蓋に光射すまで