夫が鬱になった妻。
 
 本音のところはどうなのだろうか。我が妻はプラス思考なので、仕方ない、なるようにしかならない、とでも思っているのだろうか。
 妻もこの春は大変だったのだ。
 娘を大学に入れ、その諸準備はほとんど妻一人でやってくれた。
 その上、転勤になり、妻自身も環境の激変で大変な状態の春ではあった。精神的にも肉体的にもハードな毎日である。そこへ毎晩、不機嫌な顔で帰って来る私を見てうんざりする気持ちはわかる。
 もとより我が家は共稼ぎなのに家事の分担は皆無に等しい。
 私がやるべき仕事は幾つかだけである。(当然、妻は不満である)それなのに私の鬱の激化以降、私がやるべき仕事を妻がやってしまう事が増えている。私がだらりと横になっていることが多いからだ。勤めから帰って、妻がソファにやっと腰掛けられるのは8時はゆうに過ぎる。私はと言えば、だらりと床かソファに身を横たえている。この上優しい言葉の一つもかけてくれ、なんてとても言える訳がない。妻の方のストレスもかなり高まっているのである。
 気怠さにに満ちた自分に今出来ることは、努めてこちらから話し掛けること。どうにも気分の悪い時は出来ないけれど、比較的、気分がいい時はそうするようにしている。妻の側も
「ああ、今日は気分がいいんだな。」
とそれでこっちの様子をつかめるらしい。
 もとより、
「今日はどう?」
等と尋ねて来るタイプではないのである。

 鬱になったことは確かに辛い。でもそんな夫を抱える妻の側も大変だとは思う。そう思い図るとこれで病を抱える事も大変だけれど妻の思いを考えることにもけっこう、エネルギーが要るのである。