音楽の錬金術師
1話
「全然わかんねぇーな・・クソ。」
エドワードがいたずらに言葉を吐き出した。
「そう怒らないで兄さん」
アルフォンスが兄をなだめた。
エルリック兄弟は現在、大佐の命令で「酒の街 イリミステップ」に来ていた。
この街は地酒が有名な場所で観光名所として賑わっていた・・・が、
最近、地元住民や観光客の腕や足を丸ごと切ってしまう
という通り魔事件が約100件ほど発生し街は干からびていた。
国家錬金術師であるエドはこの街に犯人捜査にきていたのである。
既にこの街にきてから一週間が経過していた。
手がかりはほとんど無し。
エドはしびれを切らしていた。
「すいませーん!エドワードさん!!」
若い男が入って来た。
彼の名前はニコル・トーファン。
エドとアルが泊まっている宿の「お抱え演奏者」である。
彼は錬金術で様々なものから特異な楽器を作り出し、
宿の酒場で「酒の肴」として演奏をしている。
演奏時以外は宿の手伝いをしている。
「っんだよニコル!!」
成果があがらないエドはキツい返事をした。
アルは呆れ顔で兄のフォローをしようとしたが、二コルの第2声に遮られた。
「3番街の外れで・・出ました例の通り魔です!!」
「!!」
エドとアルは3番街目掛けて飛び出した。
3番街の外れ・・事件現場は目を覆いたくなるような有り様だった。
中年くらいの男が右手、右足を切断されていた。
犯人は既に逃げた様子だった。
エドはすぐに男に近寄った。
「大丈夫かアンタ?」
「い痛ぇよ・俺・・身体どう・・なってる・・・?」
そういうと男は気絶した。
「どけ小僧!!」
うしろから男の声がした。
男の名前はバリン・ヴォーゴリアス
イリミステップで機械鎧整備士をしている。
今回の事件の犠牲者にほぼタダで機械鎧を取り付けている。
エドとアルは速やかに場をあけた。このようなことは初めてではなさそうだ。
「こいつはひでぇ・・・。」
バリンは軽く応急処置を済ませるとアルにケガをしている男を背負うように指示し、
アルとともに自分の仕事場へ向かった。
「兄さんすぐに戻るから何か証拠をさがしておいて!!」
「あぁ分かった・・・。」
エドは返事をしながらもいまだに犯人の手がかりすらつかめない自分に不甲斐なさを感じていた。
「エドワードさ〜ん!!」
振り向くとニコルがやってきていた。
犯人は?と、尋ねてくるニコルにエドは逃げられた・・・と答えた。
「そうですか・・・。」
ニコルには落ち込む【訳】があった。
この事件の最初の被害者はニコルだった。
犯人に襲われたとき、ニコルは必死の反撃をし
あと1っ歩のところで逃してしまったのである。
右腕が無くなったにも関わらず反撃してくるニコルに犯人はかなり驚いたようである。
それに腹を立てた犯人がこの街に狙いをつけたのではないか?
という考えがニコルの中をグルグル廻っていた。
「とりあえずこの辺りを調べてみるからさ。ニコルも手伝ってくれよ。」
「あ、はい・・・。」
「大丈夫だよ!!俺が絶対捕まえてやるって!」
エドはニコルに心配をさせまいと言葉をかけた・・が、
それは自分を奮い立たせる言葉でもあった・・・・。