音楽の錬金術師

6話



爆弾のようなものは直ぐに大きさを増し赤くなってきた。

爆発までまもなくだろう。

「畜生ッ!!もう間に合わないのかぁ!!」

―――――――!

エドが叫ぶと後方から不思議な旋律が聴こえ始めた。

アルはその音色を聴いたことがあった。

振り返るとニコルがおそらく自分の持ちうる全ての力を込めて練成したであろう巨大な楽器を演奏していた。

「ニコルっ?!」

「何故だッ!!何故動けるッ?!俺はそんな指示を出した覚えは・・・」

バリンは焦りと動揺を隠せない。

心地よいメロディがほぼ密閉されている空間を覆い尽くす。

すると、どうだろうか。

今まで操られて爆弾に近づいていた職人達が意識を取り戻し始めた。

「?!」

バリンはさらに焦りの色を濃くした。

「こ・・・ここは・・・?・・・・うわ!!わぁぁぁああ!!!」

今にも爆発しそうな「モノ」を見て職人達は一斉に出口目掛けて走り出した。

「待ってくれ!!機械鎧が取れてる人たちも連れて行ってくれ!!」

エドは大声で近くを通り過ぎようとしている職人達に頼んだ。

「エドワードさん!!アル!!」

ニコルがエドとアルを呼んだ。楽器は口を使わなくても演奏を続けた。

「ニコルッ!!これは一体どうやって・・・?それにお前平気なのか?!」

「えぇ、まあ一時的にですが意識は戻っています。

それに僕のこの機械鎧の中には赤い石が大量に詰まっています。

少し危険な賭けでしたがこれを逆に利用し、バリンより強力な力で職人達を解放することができました。

多分、今ならエドワードさんより練成力は上でしょう。」

「すごいやニコル!!」

「もう職人達はみんな逃げ出した!!あとはあのおっさんを置いてここを逃げ出すだけだ!!行こうぜニコルッ!!」

「いえ、それはできません。」

ニコルの返答に二人は戸惑った。

「そんなっ!なんで?!ここにいたらこのまま爆発に巻き込まれちゃうよ!!」

アルが問いただすとニコルが答えた。

「今、僕の演奏でバリンの練成を押さえ込み爆発を防いでいますが演奏をやめればバリンは直ぐにアレを爆発させる気でしょう。」

「だったら俺があのおっさんをブッ倒してきてやるよッ!!」

エドが息巻いたが直ぐにニコルに静止された。

「無駄です。何か衝撃を与えればその瞬間に爆発してしまうでしょう。さぁ二人とも速く僕を残して上に逃げてください。」

「そんなッ!!そんなことできる訳ないだろ!!お前を見殺しになん・・・」

エドがそう言っている途中でなにか大きなものに持ち上げられた。

「アルっ!!」

アルは無言でエドを持ち上げた。

「・・・・・・。

例え、操られていたとはいえ沢山の人に傷を負わせてきたことは事実です。

だから僕はほんの少しでも皆さんの役に立ちたいんです。」

ニコルがそう言うとアルが優しく呟いた

「・・・うん。わかってるよ。」

そういうとアルはまだなにか叫んでいるエドを抱えたまま階段に向かって走り始めた。

「・・・・・・・ありがとう。」

ニコルはポツりと言葉を吐くと演奏に力を入れ始めた。