love letter 17
5月。
告白の次の日。
俺はMikiと池袋にいた。
その朝Mikiから電話があったんだ。
「先生、遊びに連れて行って」
…待ち合わせは11時半。今から一時間後。
俺はぎりぎりで駅に着いた。
場所はもちろんホームの一番前。
「いつもの」待ち合わせ場所だ。
周りを見回す。Mikiはまだいない。
ベンチに座ってMikiを待つ。
数分後。
息を切らしてMikiがやってきた。
「…ご…ごめんなさ…い…」
「いいよ別に」
「遅刻だけは絶対にしないつもりだったのに」
「いいって。その代わり罰として
2人でいる間は『先生』ってよんじゃダメだからね」
俺は…何を求めていたのか。
きっと『先生』という言葉を使わないことで
現実から目をそらしたかったんだ。
2人で歩く池袋の街。
くるくる回るようなMikiの表情に見とれていた。
笑って、すねてみせて、うれしそうで、
「幸せ」ってこういうことなんだ、そんなことを考えていた。
特に何があったわけではないのに
2人は歩いていた。目的もなく。
2人でいること、その事実だけが嬉しくて。
「…!…Miki?」
隣にMikiがいない。見失った?
いくら人ごみにまぎれたからってそんな…
何処?何処にいる?
「先生。」
数メートル先にMikiの声。
…やっぱり先生って呼んでる。
怒るよりも先にほっとして、もう離れたくないって思った。
「ったく、危なっかしいなぁ…」
Mikiの手をとり、歩調を早めた。
『手をつなぐ』
それだけの行為で2人が繋がれた気がした。
少しだけ、近づいた気がした。
それからいろいろなお店を2人で回った。
洋服を見て、CDを見て、雑誌を見て…
何をしたわけでもない。何が残ったわけでもない。
俺が求めていたのは、物ではないから。
俺が求めているものは、1つだけだから。
2人がその日、一緒にいた事実。
その事実を胸に二人は帰路についた。
…終わらせない。終わらせたくない。
もう、俺の中で「答」は出ていた。