love letter 6
Mikiの受験が終わったころ、
俺は彼女と別れた。
Mikiに心奪われたから?
…いや、それがなくても終わっていた。
毎日聞かされる仕事の愚痴。
毎晩明け方までの電話。
「ねえ何かしゃべってよ」
「私を楽しませてよ」
「私はこんなにつらいんだ」
それに続く長い沈黙。
それが俺を追い詰め
別れを決断させた。
開放されたはずだった…
俺は自由を手に入れたはずだった…
Mikiには高校に入り
新しい彼氏が出来た。
Mikiは俺のことなどまったく気にかけない様子だった。
顔をあわせるたびに、出てくる言葉は
「うちの彼氏が〜」
…Mikiが遠くなる…
…遠くへ行ってしまう…
もう、俺はいらない存在なんだ。
そんな事実が俺を襲う。
Mikiには必要とされていないんだ。
そんな感覚が俺を襲う。
…もう…何も…考えたくなかった。
一番大切なヒトを失った虚無感…
抜け殻のように過ごす毎日。
そして上司に言われた言葉。
「Mikiちゃん、最近全然勉強してないよね。
いつもいつも彼氏のことばかり。
このままだと大学なんていけないし…
これ以上勉強しなかったら塾にいる意味がないんだから
保護者の方に話して、塾をやめてもらおうか…」
Mikiがいなくなる…
Mikiがいなくなる…?
…いやだ。そんなのいやだ。
たとえ俺に笑いかけてくれなくても
たとえもう手の届かないところにいるのだとしても
Mikiに逢えなくなるなんて
Mikiの顔を見ることが出来なくなるなんて
そんなの絶対にいやだ。
Mikiの成績を上げるには…?
大学に合格させるには…?
それがMikiの意思に反していても
そうしなかったら、もう逢えない…
必死だった。心を隠して。
大学入試に必要なもの。
今のMikiは求めていないもの。
決して喜びはしないプレゼント。
参考書。問題集。小テスト。
すべては、Mikiに逢うため。
週一回でもMikiに逢うため。
俺を見る瞳は前とは変わっていても。
彼氏のことしか見ていなかったとしても。
Mikiは…俺をどんな風に見ていたのだろう…
急に受験の話、勉強の話をするようになった俺を…
「裏切り者」
「背徳者」
「偽善者」
きっとMikiの目にはそう映っていたのだろう。
…それでも良かった。
例え…何を犠牲にしても…
…Mikiだけは…Mikiに合う時間だけは…
…譲れない…
いつしか、メールもなくなり
…独りのときが流れた。