The night before your birthday
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楊ぜんは明日の準備の為にひとり夜遅くまで起きていた。 どれだけ明日の為に頭を使っただろうか?どれだけ走り回っただろうか? しかし、それも全てはこの世で最も尊敬する人のため・・・ そんなことを考えながら寝ようとしたその時、遠くの方で叫び声が聞こえた。 「あの声は・・・四不象?!まさか師叔に何かあったのか?!」 楊ぜんは考テン犬を出すと、すぐさま外に出た。 叫び声だけを頼りにして・・・・ 楊ぜんは暗闇の中に浮かび上がった四不象の姿をなんとか見つけ出した。 同時になにか見てはいけないものを見た気もした。 「何をやっているんだい四不象・・・・」 「あぁ、楊ぜんさん!!ちょうどよかったっス!はまって抜け出せないんすよ!」 そう、谷の間に落ちたならまだしもはさまっているのだ。 なんともまたマヌケな姿である。 考テン犬が四不象の腕をぱくんとつかむと、ぐいぐいとひっぱったおかげで なんとか四不象は助かった。 「楊ぜんさん!!それだけじゃないんすよ!ご主人が下の枝につかまってるっすよ! あの枝が折れたらおしまいっす!!」 「師叔が?!四不象!!君はとりあえず元始天尊さまのところへ行ってくれ! その間に僕が助け出す!」 「ラジャーっす!!」 四不象はいきおいよく飛んでいった。その姿を見届けると楊ぜんは谷をのぞきこんだ。 「おぉ、楊ぜん。悪いな、こんなことになってしまって。。。」 枝になんとかつかまっている太公望の姿がよく見えた。 しかし、そこまで深いところにいるわけではなく、なんとか手が届きそうな距離であった。 楊ぜんは考テン犬を降りると、右手をすっと谷へと入れる。 「師叔!つかまってください。このまま僕がひっぱりあげます!」 「そうしたいのは山々なのだが、お主まで落ちるわけにはいかん!」 「かまいませんよ。この僕が封神されるはずなんてありませんから。」 「相変わらず変な自信だのう。。。」 太公望は持っていた枝かを離すと楊ぜんの手にうつった。 「くっ・・・・」 さすがに楊ぜんも苦しそうであった。 まぁ、この細腕一本で人間ひとりを支えるのがどれだけ大変なことか・・・ (くそっ・・・肩が外れそうだ・・・。両手を使うか・・・?いや、それは僕を支えることができない・・・ やはりこのままなんとか頑張るしか・・・!!) 苦しそうな楊ぜんを見て太公望は叫んだ。 「もうよい!!このままではお主の腕がどうなるとも限らん!!腕だけではすまぬぞ?!」 手を離そうとする太公望に気付くと、楊ぜんはその腕でしっかりと太公望の腕を握る。 「僕の腕よりあなたの命ですよ。ちゃんとつかんでて下さいね・・・・」 「ならぬ!!わしの命などどうでもよい!!」 この太公望の一言に楊ゼンはひどく反応を示した。 「どうでもよくなんかないんですよっ!!もう僕は・・・僕の目の前でだれも封神させはしない!!」 そう叫ぶ楊ぜんの目にはかすかに光るものがあった。 月の光でてらされていたので太公望にはよく見えた。 誰のことを思い出して涙を流しているのか太公望にはすぐにわかったので あえてこれ以上は言わず、楊ぜんの腕をしっかりとにぎった。 「さぁ、ひっぱりますよ師叔!」 何度よろけたかわからないが、どうにか楊ぜんの腕が無事なうちに太公望は上にあがることができた。 「腕は大丈夫か楊ゼン?」 「ええ、こんなのどうってこと・・・・あっ!!」 楊ぜんは空に浮かぶ月を見て急に叫んだ。 「な、何事だ楊ゼン!!」 「月が・・・もう西に傾いてますよ。。。」 「だからどうした!月が傾くのがそんなにめずらしいのか?」 「違いますよ・・・まったく。もう日付けが変わったなんて・・・。 計画がむちゃくちゃですよ。。。とりあえずは一番最初に言わせてもらいましょう。」 「??」 「師叔、誕生日おめでとうございます。」 「おぉ、今日はわしの誕生日であったか!!すっかり忘れておったわ。」 「本当は豪華なパーティをする予定だったんですよ。 桃も大量に用意しておいたのに・・・・はぁ。」 「なに?!大量の桃だと?!楊ぜん!!すぐに帰るぞ!!」 「・・・・す、師叔・・・・」 楊ぜんはあきれながらも桃を喜んでくれている太公望を見て微笑を浮かべた。 「じゃぁ、帰ってパーティを始めましょうか、師叔・・・・」 by 水浅葱 |