セロハンテープ愛好家
セロハンテープがあんなに流行したのには訳があった。
その粘着性が便利だとか、手軽さがよいだとか、この時にはそんなこと関係なかった。
理由はひとつ。
セロハンテープの粘着面には、メチルアンフェタミンが含有されていたのだ。
メチルアンフェタミン。。。
その物質が含有されていたのは、製作者の故意であったかわからないが、含有されていたことに代わりは無かった。
その使用方法はいたって簡単だ。
ただ人体の皮膚に粘着面を接着していればよいのだ。
だから男は、左の手首に、セロハンテープを巻きつけていたのだ。
男は、完全なるセロハンテープ愛好家(Cellophane tape lover)であった。
そしてその日も男は、いつもと変わらない平凡で非凡な日常を感じていた。
そのときだった。
家の外で新聞配達の少年が転んだのであった。
男の手首とセロハンテープの間には鮮血がにじんできたのだ。
男は必至に血を止めようとするが、セロハンテープが邪魔をする。
そして男は出血多量の夢を見て、生きたまま死んだことと感知するところである。