ギミックデリックの森
ここはギミックデリックの森です。ギミックデリックの森には常にメトロノームのカチッカチという音が響いていました。
ギミックデリックの森は、色々な、罠で、いっぱいです。そのどれもが、軽いいたずらで、その罠にかかった人も(もちろん動物だって)、恥ずかしそうにクスクスと笑ってしまうのでした。だから、世界中の変わった物好きの人たちや動物たちが集まってくるのでした。
ギミックデリックの森の罠は、もちろん自然に出来上がったものではありません。全ての罠はデリックが作ったものなのです。
デリックは罠を作るのが大好きな人でした。だからデリックにはあだ名がありました。ギミックというあだ名でした。
ギミック・デリックは、小学校の先生でした。いつも生徒たちをニコニコさせては、授業なんて半分ほっぽり出していました。
しかしある日、デリックの行き過ぎたギミックによって、一人の少女の右足がもげてしまいました。少女は泣き叫びました。デリックはただオロオロし、そのうち、泣き声を聞きつけた教頭先生によってその場はひとまず、落ち着きました。
デリックはその日以来学校には来なくなりました。少女のもげた足をもって。遠い遠い場所まで、デリックは走りました。そしてある森にたどり着きました。そこがギミックデリックの森だったのです。そこでデリックは狂ったように、森をギミックでいっぱいにしていきました。
ギミックだらけの楽しい森に、世界中の奇人変人リスサルネズミ、その他もろもろのたくさんの人たちが、ギミックデリックの森に集まってきました。
時は流れ・・・デリックは年老いて、おじいさんになりました。森は楽しいままでした。そして罠作り名人のおじいさんは冷たく動かなくなりました。新しいギミックを作っている途中で動かなくなっていましたが、デリックの顔からはさみしい気持ちは微塵も感じられませんでした。
デリックのいなくなった森には、ひとつだけ誰も知らなかったギミックが存在しました。それは木の葉に隠れていて、誰にも気づかれませんでした。しかし、ある日、デリックの動かなくなった日から2年後見つかることになりました。木の葉にもぐって冬眠しようとしていたリスによってそれは見つかったのです。
それは木で出来た少女でした。その少女と握手すると少女はニコニコと笑いました。しかし不思議なことにその少女の右足は生身のものでした。
森のみんなは次々と少女と握手していきました。最後の一人が握手したとき、少女の右足はぱたりと倒れ、そして美しい音色のオルゴールが流れ始めました。そのリズムは森に響いていたメトロノームの音と重なり、森と少女の足は、ついに一体になることが出来たのでした。
ギミック・デリックの冬はこれからです。