母に包まれて



母は太陽だった

だから 私は自家発電をしなくても 母の反射熱で 生きてこられた
そんな気がする

そして陰に陽に ここぞというところで 母はスーパーマンになった

小学校1年生の 学芸会
引っ込み思案だった 私を 担任は 主役の アリ その3 に
大抜擢をした

だけれど 当時から 暗記が苦手だった私は どうしても
大量のセリフが 覚えられなかった

メソメソしながら できない と 母に訴えたのだろう

ある日 私は セリフの無い ミツバチ役に 変更されていた

子を持った今 母が どんなに 情けなかったか 私にはわかる

それでも そんな私を 一つも責めることなく 担任に
申し出 ミツバチの衣装を作ってくれた

それから 年月を重ね
私は 結婚をし 母にもなり 開業も果たした だが その後でも
結局 精神的に 自立はしていなかった

顧問税理士には 数十人のスタッフが 居る
その中で 税理士の資格を持っている人は少ない
月々の監査には 資格の無いスタッフも 手分けをして あたっている

でも 私は 資格 に お金を払っている 意識が高かった為
どうしても 先生自身が 来てくれないと 嫌だった

ところが ある日 ついに 先生は用事があるとかで
資格の無い男性スタッフ だけが やってきた

こうやって なし崩しに スタッフだけに されるのでは
という 不安が 私の中に どんどん膨らんでいった

そして その思いを 母に告げた

母から 税理士を紹介してくれた方に 話が 行き そこから 先生へ

以来 10数年 2度と スタッフだけという状況は無い


そんな母が亡くなった時 私は全世界で 一番愛しているのは
相棒でもなく 息子でもなく 母だった と 感じた

そのまま いっしょに 向こうの世界に行ってもいいかなと
思いながら 母の亡骸の 横に 看護婦さんに 追い出されるまで
横たわっていたっけ

今でも 母が居てくれたら と 思う場面は 多々ある
だけれど 母はもう居ない

居なければ 自分でなんとかするしかない そして なんとかなっていく

母が助けてくれている あの世から
間違いなく 見守ってくれている と 感じる ことを 種火にして

それでも 私は 今 やっと 自家発電をして 生きているのかもしれない