ジ ブ ン ノ イ バ ショ



友人の飛鳥と共同で作っているリレー小説です♪
とっても更新回数が多い長編物になりそうです。
どんどん更新して行くのでお楽しみに〜!



街外れの森と町の間、そんなところを、少女は走っていた。
後ろには、たくさんの雑魚共・・人間がいる。皆武器を持ち・・
少女を追い掛けていた。
少女の名は、紫威。種族は人間外三本ツノの鬼・・だ。
何故、追われるか・・それは人間が自分より強いモノを恐れるから。
この世界の、食物連鎖の頂点にいるのは、人外達である。
「追い詰めたぞ!」
町と森とをしきる壁に、鬼の少女を追い詰めた・・が、
「ごめんね、鬼姫、ここで死ぬ訳にはいかないから」
そういうと・・人間には到底できぬ身のこなしで飛び上がり・・
壁の上にいき、森の方向へ消える。
それと同時に雨が・・否、水がふってきた・・その壁の周辺にいた者
だけに。その人間達が・・いきなりフッ・・と消えた
何処かの家の屋根から、蒼い髪をした青年が、無表情のまま少女が消えた方向へ走っていく・・
この日、少女を追っていった者達が行方不明になったのは・・
言うまでもないだろう。
やっと、噛み合ってきた歯車。いつか回り始めるのはいつの日か。

紫威と愚かな人間達が追いかけっこをしていた時。
そことはとても遠く離れた・・・多くの雪女達の住家、水氷山のふもとで
一人の少女が涙を流し、泣きながら歩いていた。
「何で星羅が修行になんて行かなきゃいけないのぉ・・・?」
水色の髪、少し青白い肌・・・それは普通の“人間”にも有り得る物。
だが・・・少女は違った。
「長老様の馬鹿!星羅は立派な雪女になんてなりたくなんかないもんっ」
そして少女は涙で濡れた頬を着ている巫女装束の裾で拭い、
ゆっくりと目を閉じ・・・心を落ち着かせて深呼吸をする。
目を開けた時、少女の顔は先ほどより幾分か大人びたものに変わっていた。
「・・・でも、行かなきゃいけないのよねぇ・・・。私だって一応・・・
雪女という種族のもとに生まれたのだから・・・」
ふぅ、と溜息をつきつつ少女は言う。そして一つ伸びをすると
何処かへと歩き始めた。存在を認めて貰える程の“力”を探して・・・。
少女の名は、雪那。今はまだ、名も力も無き幼い雪女・・・。

今日の天気は…………鈍い太陽。今にも泣きそうな空。
森の中にいるからこそ、多分雨はしのげるが……
そろそろ季節は夏。辺りの河は干上がり始める……
最も、鬼姫達にはあまり関係ないが。
先日、鬼姫・紫威が人間達がとうの昔に居無くなった建物を
宿がわりに野宿をした。その時、少し歩いていて見つけた………………
首の取れた人形。
泥だらけで。
右足にだけ赤い靴を履いてて。
服も着て無くて丸裸で。
蜘蛛の巣まで張っていた………
どうせ、昔にあきた人形を捨てたのだろうが………
何故か鬼姫は、それを「自分と似ている」と思った。
自分と同じく、捨てられ。
一人で誰かをまっているのが。
血だらけになっても一人で。
両足とも裸足で。
何も着ていない丸裸の傷付きやすい心で。
迷いや色々なモノにとらわれて。
…………そんな事があった
今の天気は、完全に隠れた太陽。泣き出してきた空。
………そして、燃えつきた………建物。
いつの日か………いつの日か………仲間達とあえる日を信じ……
自分の居場所を探して………今日も式をつれて旅にでる。

「暑いぃ・・・」
山を降りてからもう何日経ったのか・・・。
数日か、数週間か・・・。覚えてはいない。
何も考えず、ただ目の前の道を歩きつづけていた。
雪那が辿りついたのは山とは全然違う所。
『夏』という季節が存在する所だった。
暑さに慣れていないせいか、暑さで眩暈がし、
頭がくらくらすることもしばしばあったが・・・
それでも雪那は歩き続けていた。
幸い、少し先には街がある。
しかも結構賑わっている街だと地図には書いてあった。
だが・・・あと一歩も歩けない程に疲労が溜まっていた。
今度こそ立ち止まらねば、このまま倒れてしまうかもしれない。
そう思った雪那は道を少し外れ、木陰へと歩いて行った。
「休憩〜・・・お腹がすきました〜・・・」
考えてみればここ数日、何も飲み食いせず歩いて来たのだ。
自分の根性に感心しつつ雪那は服の袖から握り飯を取り出す。
木の葉で丁寧に包まれたその握り飯は、山を降りる時とは
見違えるほど・・・ぐちゃぐちゃに潰れていた。
長い間歩き続けたせいか、と考えつつ軽く手で形を整えると、
ぱくんっと勢い良く齧り付いた。
口の中に食塩の塩からさとご飯のほのかな甘味がふわぁ、と広がった。
「美味しい・・・」
寂しげにそう呟き、再び握り飯に齧りついた。
少し前までは家族と共に食卓を囲めるのが“当たり前”だと思っていた。
しかし・・・
「実際、一人になると・・・とても寂しい感じがしますね・・・」
誰に言うわけでもなく、ぽつりと呟く。
初めて知った孤独は、自分が憧れていた格好の良い物ではなく・・・、
残された者へ悲しみを、去った者へは孤独を与えただけだった。
その感情を振り払うかのように雪那は残りの握り飯も全て食べた。
水筒の水も飲んで、心を落ちつけた。
そして・・・また、道の上を歩き始める。
目指すは先に見える街・・・其処に、“仲間”がいる事を望みつつ
雪那は歩みを進めて行った。

季節は夏。気温は40°をいつも越え………
これでいつも弱い物達が倒れます。冬も冬で-30°にいくぐらいで。
干上がった河、そこではねる可哀相な魚達。
わき水の泉、それを取り合う人間……そこは動物達の物なのに。
……そんな苛酷な日々を涼しく、いくらかすごしやすい森を歩いている
紫威達。そろそろ森を抜けて、ある街にでる。以外と賑わっているらしい。
そんな場所に、行ってもいいのだろうか。
ぴたり……と止まり、ふと……そんな疑問を朱鬼達に言ってみた。
かえってきた言葉は
「もしかしたら、そこが俺達の居場所かもしれないだろう?」
「違ったら、食料などをそろえて、さっさと街からでればいいのでしょ
う?」
……前者は朱鬼、後者は蒼鬼。
そんな言葉に頷き、また足をすすめる。……近くの木陰を通り過ぎる。
……何かの偶然で、死角に雪女の少女がいたのに……紫威達は
気がついただろうか?

そして、そんなこんなで数分後・・・雪那は街へと辿りついていた。
「ふぇ・・・。凄いいっぱい人がいる・・・」
周りには沢山の人、人、人。・・・所々に犬や猫などの動物も紛れこんでは
いるが、雪那が今までに見た事の無いほどの数の人間達がそこにいる、とい
う事に変わりは無かった。
自分を囲んでいた優しい者たちはいない。ここでは自分は独りだ・・・。
そう思い知らされるような少し冷たい雰囲気がそこにはあった。
「あの・・・どうかしたの?」
考え込み、呆然としていた雪那に声をかけたのは幾分か年上に見える・・・
金髪の女性。
「ここまで沢山の人を見たのは初めてで〜、ちょっと驚いたんです〜」
女性に敵意を感じなかった雪那は微笑し答えた。
「・・・あら、そう・・・。こっちに知り合いでもいるの?」
「いぇ、いません・・・えと、旅の途中で立ち寄っただけなんです〜」
「旅?」
碧色の美しい瞳をきょとんとさせて女性は聞き返す。
雪那はこくん、とうなずいた。
「はい〜・・・ちょっと理由ありなんです〜・・・」
「そう・・・。ねぇ、貴方・・・名前何て言うの?」
少し考え込む調子で女性は問う。慌てて雪那は言った。
「え?あ、えと、セツナ!雪那です」
「雪那、ね。あたしはカリス!カリス・エアクロウトって言うのよ。
ねぇ、うちに来ない?旅ってどんな感じだったのか、教えて欲しいわ!」
そう言って女性・・・カリスはにこっと笑った。つられて雪那もにこっと笑
みをつくる。
「ありがとうございます〜。これから宿を見つけようと思ってたんです♪」
「よかった!それじゃ、案内するわ。ついてきて」
そしてカリスは雪那の手をとり街の中を歩き出す。
もう秋は近いのか・・・そう思える程涼しげな風が少し・・・そう、少
しだけ辺りを取り巻いた。

今は、夜。月はでていなく……あたりの外灯だけがたよりだ。
まだ、夏は始まったばかり……なのに、秋のような風がふくのは、
何故だろう……
そう思いつつ、紫威達は、街の表通りから少しはずれた、スラム街に
足を進めている……目的は野宿する為とあんな大量の人間がいるのに、
耐えられなかったらしい。
……鬼姫の、最初にみて、そだった風景も、こんな感じだったな……
懐かしさと、もどかしさを思い出しつつ…切れかけて、点滅している
外灯に腰をおろす。
朱鬼と蒼鬼は、寝てしまったのだが……何故か眼がさえる。
外灯が消え、あたりには、何かの物音だけ。
夜目のきく紫威には関係の無い事だが
ふらりと気晴らしに夜風にあたろうと立ち上がり、少し歩く……
スラム街……貧民窟……廃ビルの森……
そう歩いていくうちに……
「ねえ、何してんの?」
と後ろから声をかけられた……イマまで、そんな気配はなかったのに。
そう思い、後ろを向くと、いたのは…黒い背広……?というのだろうか
それを着た、黒髪の若い男がいた。
闇にうかぶ、金色の狂眼…………それで背が高い事はわかったが。
「別に……散歩だ。」
睨むように、存在してはならない、紫色の獣の眼で同じく、
存在しない、金色の眼をみる。……
大抵の弱いモノは、これで逃げてしまう。
「そう……いやね、ちょっと知り合いかな〜……と思って声かけた
 だけだよ……」
「なら、用はなかろう……」
そう言い、鬼姫は、元いた場所へ小走りに戻っていく……
「……へえ、鬼(シ)の姫様か……
 どおりで、あんな眼してると思ったら……
 どうなるか、楽しみだな♪」
楽しそうな笑みを浮かべ……金色の眼が消え……闇にとける。
……まだまだ、夏は当分、終りそうにも無い……

「うわぁ・・・これが家・・・」
カリスに導かれて数分。雪那は一軒の家の前に立っていた。
赤い屋根に白い壁、庭には沢山の花々が咲き乱れ・・・、
雪那は無意識のうちに感嘆の声をあげていた。
そんな雪那をくすくすと笑いながら愉しげにカリスは聞いた。
「あら、そんなに珍しい物でもないと思うんだけど?」
「ううん!」
頭を振り、雪那は言った。蒼い眼を細め、にこっと微笑する。
「私、こんなに立派な家見たの、初めてだよ〜」
「ふぅん・・・」
カリスはフッと思った。
(このコの眼とこの言葉・・・もしかして・・・)
まさかね、と呟きカリスも頭を振った。
「カリス・・・さん?どうかしました〜?」
そんなカリスを見、心配したように雪那は軽く首をかしげた。
「いいぇ、何でもないわっ!入りましょう」
「・・・あ、はい・・・」
それでも雪那の表情は晴れない。一度浮かんでしまった疑問は
誤魔化してしまうともう解決にはならない・・・。
もう一度聞こうと思い、雪那は口を開いた。
だが声は出なかった。何て言えば良いのか、わからなかった。
何でもないと言われ、それ以上詮索してはしつこいと
思われるかもしれない・・・。
どんどん膨らんでいく不安を振り払うように一度深呼吸をし・・・、
それから雪那はカリスの家へと足を踏み入れた。
・・・そう、それが自分の“傷”になるとは思いもせず・・・