僕が小学生の頃のことです。 近所に僕より2つほど年下の男の子がいました。 その子は病弱らしく、同級生と比べても一回りも体が小さくて、 顔色もいつも青白く、体力も少し劣っていたような気がします。 いつか、その子を含め近くの川で泳いでいた日がありました。 水着に着替えて、みんなで準備運動をしている時にふと目に入った彼の体は、 夏の日差しに全く映えない病的な白さをしており、肋骨、鎖骨と様々な箇所が浮いて、 前に見た絵本の死神と重なって見え、子供心に恐怖を感じたのを覚えています。 小一時間程経った頃でしょうか、体も段々冷えてきて、誰が言うでもなく、一人 また一人と川から上がってきたのですが、彼は一向に上がる素振りも見せず、 岸と中州の間くらいを、泳ぐでもなく漂っていました。 僕はとうに上がって様子を見ていましたが、不意に彼が岸に上がってきて、 突然、激しく嘔吐しだしました。 皆、黙ってそれを見ていました。 始め、彼の体が萎んでしまうのではないかというくらい、たくさんの水を 吐き出していました。 それが急に止まって、今度は彼のえずく声だけが響きました。 すると彼の口から白い物が見えたかと思うと一気に、 真っ白なゴムホースがつるんと出てきました。 そのゴムホースは、しばらく苦しそうにもがいていましたがすぐに動かなくなりました。 ゴムホースに見入っていると彼がばったりと倒れ、そのまま救急車で病院に運ばれました。 それから彼の姿を見た人はいません。 |