湖の鬼神・ドルガー
あるところに、正直なきこりがおりました。
ある日きこりは手を滑らせて、愛用の斧を湖に落としてしまいました。
きこりが途方に暮れていると、なんと湖の中から、
無数の手を持った男が地鳴りと共に現れました。
「おれは湖の鬼神・ドルガーだ。坊ずが落としたのは、この金の斧か、銀の斧か。」
きこりは大変びびりながら、どちらでもないと答えました。
「左様か。ではこの鉄の斧か、そうでなければ銅か。青銅か?赤銅か?硫酸銅か?
あるいはアルミの斧か。これは軽くて振りやすいけどね。
さもなくば、いま流行りのチタン製か。ちなみにいぶし銀は流行らねえぞ。
読めたぞ、超合金だな?違うのか。
このメタリックな斧か?ところでこれ何でできてんのかなあ。」
きこりはげんなりして、何だかどうでもよくなりました。
「もう斧いりません。さようなら。」
と言って帰ってしまいました。湖の鬼神・ドルガーは、何か悪いことをした気がして、
空いている手で尻を掻きながら、湖の中に沈んでいきました。
THE END
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