ゾンビと乞食
昔むかしあるところに、ゾンビと乞食がいました。
乞食は街に物乞いに行き、ゾンビはお天道様が出ているうちは
外に出られないので、家の窓を閉めて寝ていました。
まず、なぜ二人が一緒に暮らしているかをお話しましょう。
九年前のある日、乞食は慌てていたためにもらいが少なく、
仕方がないから山でムカデでも捕って食べようと考え、その夜山に上りました。
そこにゾンビが待ち構えていて、「わっ」と驚かしましたが、乞食は
「なんだゾンビか。ゾンビじゃ煮ても焼いても喰えん。」
と、少しも驚きませんでした。
ゾンビは乞食の度胸に感心して、家に泊めてやることにしたのです。
それ以来ずっと一緒なのです。
話を戻しましょう。乞食は物乞いから帰ってきました。
今日の収穫は二つのモモでした。
乞食はゾンビに一個やろうと言いましたが、ゾンビは自分は消化器官が腐っているから要らんと答えました。
乞食が内心ウハウハで一個目にかぶりついたその時です。
モモの主成分であるモモタリンと、一ヶ月以上歯を磨いていない人間の息に含まれる
クッサイジャーが化学反応を起こして爆発し、乞食は致命傷を負いました。
そして、消え入りそうな声で「み、水を・・・」と言いました。
ゾンビは大急ぎでバケツを持って外に駆け出しました。
一歩出たところで、自分は昼に外へ出られないことに気付いたのです。
お天道様がぽかぽかとゾンビを照らし、ゾンビは溶けて死にました。
まもなく乞食も息絶えました。
二人の家には、もうひとつのモモがぽつんと転がっていました。
THE END
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