1. 『パンドラの匣(はこ)』 太宰治 新潮文庫
「太宰?あぁ俺嫌い。」って人、多いんじゃないのかなぁ。
度重なる自殺未遂やイメージとしての陰鬱さ、そのあたりが敬遠される理由だろうか?
僕は、いつかはもう忘れてしまったけど、『人間失格』を読んで以来太宰好きですね。
短編も多いし、僕自身は太宰の考えに共感できる部分は多いので。
文章も非常に読みやすいしうまいですね。内容もかなり面白い。もちろんブラックユウモアですけどね。
有名どころで『人間失格』『斜陽』『走れメロス』等ありますが、なんと言っても僕はダントツにこの作品が好きです。
肺を病み「健康道場」という一風変わった結核病棟に入院した主人公ひばりをめぐる、
竹さんとマア坊のいわば恋愛の対立が主題です。
かれこれ50年以上も昔の作品なのに、恋愛小説として少しも古臭くない。
この三角関係でのそれぞれの駆け引きも絶妙ですね。
主人公のひばりが、健康道場で出会う人たちとの関わり合い生きる希望を見出し、
少年から青年へと移行する不安定な心情の中で成長していくさまは非常に希望に溢れたものといえると思います。
それぞれのキャラクターに対し感情移入しやすいため、
常に自分と重ね合わせて読んで相当にもどかしい気持ちになったりもしました。
ひねくれものの主人公ゆえ、終始騙されっ放しな僕でしたが。
太宰の悪いイメージをすべて捨ててこの作品を読めば、他の作品の見方も変わってくるんじゃないのかと思います。
オススメです。