浪人日記4 〜人生における価値観

 

2003.6.6

あさっては最後の模試だ。特にこれといった対策はなく楽観的に構えている。

要は本番で確実に取れればいい、そのための踏み台なのだから、と。

問題集はすでに数回こなし、基本的なところはだいぶ力が付いてきたのではないかと思う。

しかしレヴェルの問題だとは思うが、何だこれは、と思うようなものも多い。

自分自身の志望県レヴェルはある程度把握済みだが、そこまで突っ込んだ知識を問われるのであろうかと疑心暗鬼になってしまう。

心のどこかでは「きっとどうにかなるだろう」といういい意味での脱力感があり、無駄な緊張を強いられることなく平静な気分を保っていられる。

ところがこの情報化の時代、自分のチャレンジしようとしていることについての情報は腐るほど転がっている。

もちろん、知りたくもない紛れもない事実だって。知りたくもない・・・正確に言えば知っているが敢えて考えたくない事実、それは合格の可能性。

現実厳しいことは百も承知ではあるが、ネットワークを介して、活字で、しかも実体験をもとに書き込まれたスレッドを見るたび不安で仕方なくなる。

もしかしたら何年かかってもだめなのか?そんな言いようのない不安が。

試験が終わるまでは教採関係のスレッドはしばらく封印しておこう。

そして今後、そんなものを見る必要がない環境にいられるためにも、あと少しの辛抱だ。

 

 

2003.6.16

梅雨の鬱陶しさから気分はどうも晴れない。カウントダウン開始から、もうすでに4日。

自己啓発的に、日々の生活をストイックに送ろうという意思だけは何とか強固に貫いている。

受験票も郵送され、名実ともに試験日までのカウントダウンが始まったといっていいだろう。

前にも思った「時間」という概念について。

自分だけがゆっくりと噛み締めるように消化している時間を、他の労働者たちはどう感じながら過ごしているのだろう。

自分自身が働いているとき、毎日の忙しさからゆっくりそんなことを考えている余裕がない、というより、余裕はあったものの、

そんな概念自体何か辛気臭くて、まともに考えようとも思わなかった、というのが本音だろう。

しばらく音信不通の友は、この77日間をどんな風に過ごしてきたのだろう。

何か変わったこととかあったかな、元気でいるのかな。

きっと日常の中のヒトコマを演じている諸君にとって、この時間というのは僕自身が想像しているよりも

ずっとずっと早く過ぎ去っていっているものなのだろうと察する。人間はみんな同じだけ歳をとる。

僕のように、じっくり噛み締めながら老いていくのと、知らず知らずうちに老いていくのと、どちらが幸せなのかなんてわからないけど。

でも僕は言いたい、一回くらいは、立ち止まってみるのもいいかもよ、、、って。

 

 

2003.6.30

さあ、いよいよです。なんかカウントダウン始まってから時間過ぎるの早いなぁ。

前回の日記では散々時間がゆっくり過ぎるだとか偉そうなこと言ってたのに。

一喜一憂の毎日。不安がったり自信満々になったり、我ながら忙しい。

精神が安定しないときは決まって例年の倍率とにらめっこ。いくら見たところで取らぬ狸の皮算用、

それを眺めているだけで受かるワケないので、封印してしまおう。

封印といえば、この3ヶ月いろいろなものを封印してきたような気がする。

ストイックに理想を追い求めて、それでも時には誘惑に負けてしまって。夢を叶えられる人っていうのは、

きっと戦える人なんだなと痛感した。夢見るきっかけになった何か感動的なエピソードがあるわけでもない、

インパクトのある気の利いた志望動機だって当然あるわけがない。ありきたりな人生の中で、少しずつ培われてきた自分自身と真剣に向き合って、

正直にぶつかっていい結果を出すしかない。でもきっと何とかなるはず。

それだけ自分自身がまんざらでもないってことがわかっただけ、この期間は今思えばかけがえのない大切な時間に

なりえたんじゃないかと胸を張って言えるような気がする。今はもうまとめの段階へ突入している。

浪人した当初から比較して、格段に学力が向上したことは明らかで、そんな内発的な純粋なモチヴェイション維持で悔いを残さないように

できるところまでやってみようと思う。

自分の力をもっと信じられるように。時期的にもそろそろいろいろなことに対して規制を厳しくかけなくちゃいけない。

このパソコンだって例外ではない。次に浪人日記をタイプするのはいつになるのやら。

試験日当日より前には一回立ち上げて、そのときの心境を吐露したいとは思っているけど。

でなくちゃ、この3ヶ月間、ペースダウンはしたものの少しずつやってきた意味が薄れてしまいそうな気がする。

何年か経ってこれを振り返って、そのときの自分がどう感じるかを、今から想像して楽しい気分になるのも悪くない。

 

 

2003.7.11

浪人してから102日目。いよいよ今日という日がやってきた。そして明日は教採当日。

その日のために会社を辞め、地道にコツコツと勉学を重ねてきた。

その成果は明日、ようやく発揮される。

この102日間は、常に自分との戦いでもあった。

挫けそうな時、やる気が起こらない時、そんな自分を奮い立たせることは簡単なことではなかった。

浪人当初から比較すると格段に知力学力はアップしていることは実感としてわかる。

ただ心のどこかに、その瞬間瞬間でサボってしまった自分への罪悪感、、、いや不安感と

言ったほうがニュアンス的には正しいのかもしれない、そんなものがあった。

この102日間、常にフル稼働だったかといえば、それは「ノー」である。

ついついなぁなぁになったり、集中を欠いたり、貴重な時間をくだらないことに割いたりしたことは多々あった。

不思議と勉強していた時間よりも、そちらのほうの時間のほうが印象に残っているために余計にそう思うのだろう。

ただしかし、ここまできた以上はそんなことを言ったところで何も始まるわけではない。

他のライヴァルたちがどうあろうと、自分がやってきたことを存分に発揮すれば、

一次試験通過は決して困難なことではないと自分自身が一番よくわかっている。

自信は努力から、7月に入ってからはいろいろなことを我慢して良くやってきたと思う。

くだらない皮算用や不透明な利害関係に怯えることに耐えて、本当に頑張れたと思う。

将来、教員となって教壇に立っている自分を何回も思い描き、夢を抱きながら進んでいけたと思う。

そのことを振り返って今、僕は本当にこの道を選択してよかったと、心の底からそう思えた。

この先正直どう転ぶかはわからない、でも僕自身にとって、この102日間という時間は、本当にかけがえのない時間だった、

そして僕は、その長いようで短い時間の中で、一回りも二回りも、人間的に成長できた、そう、胸を張って言える。

 

ずっと応援してきてくれた人達みんなのためにも、僕が教師になることを心から楽しみにしている人のためにも、

全力投球で明日は試験に臨みます。僕を支えてくれたすべての人に、心の底から、感謝の意を表して。

 

 

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