「ガッコウ」という名の楽園
ふと思う。ガッコウってなんて楽なところなんだろう。
僕は、不思議なことに、今置かれている立場の幸福を、そのときは最大限に感じることができないという
悲しい習性を持っているように思う。
トモダチにはよく言う、「もう一度あの頃からやり直せたら、きっとすごく楽しいんだろうね」・・・確かにそうかもしれない。
でも、やり直しがきいてしまうような人生なんて、案外薄っぺらくてつまらないものなのかもしれない。
高校生たちを見ていると、中途半端に生きていたあの頃の自分がダブってどうしてもいたたまれない気持ちになる。
卒業レポートを書かせてみると、しばらくは「書くことないよ〜」と行って手が進まない生徒がほとんどだ。
数日経過し、進行状況を見てみると、思ったより進んでいて正直驚いた。高校三年生なりに、頑張ったこと、楽しかったこと、
辛かったこと、将来のこと、一生懸命だったことが綴られていた。
僕がふと、横から声をかけると、「やだセンセイ、恥ずかしいから見ないでよ」と言いつつも
目をキラキラさせながらかまってほしいというサインを出す。そして「受験、辛かったのか?」と言うと、
そのとき感じたこと、これからのこと、将来の夢を、照れくさそうに、そして熱く語ってくれた。
その顔を見たとき、心の底から応援してあげたくなった。たかだか10歳しか違わないけど、まがいなりにも長く生きてきた
自分の経験を伝えて、よりよく生きていってもらいたいと本気で思った。
あの頃の自分にも、こうしていろいろなこと、考えた時期があったのだろうか。何かに一生懸命になったことってあったのだろうか。
ただ一つ言えることは、間違いなく僕も、高校生だった、「ガッコウ」という名の楽園に身を置いていた、という事実である。