細い階段を上がったところに、その場所はあった。
種類はわからないけれど、何かの精油の香りがほんのり漂っている。
想像していたよりもそこは明るく、それほど怪しげな雰囲気もなかった。
物腰の柔らかな女性に奥の部屋で待つように勧められ、それにしたがってついて行くと、そこには何人かの女性達が談笑している場があった。
みなさんこの占いの先生に予約が取れずにキャンセル待ちをしている方達なのだそうだ。
ふと、部屋に重低音が流れていることに気がつく。
聞き取りにくいが、何となく気持ちの落ち着く音だ。
コーヒーをいただきながら、順番を待つ・・・。
「やまねさん」
私の名が呼ばれた。
最初に名前と年齢、住所を書くように言われ、とりあえず書く。(ふぅん、住所を書くならだいたいの地理が見当付くから、海に出てしまうことなしに神社のある方向を言うことくらいは・・・出来なくもないんでないかな?)
「お願いします」とそれらを示した紙を渡す。
突然「まずあなたは冷え性を治しなさい」と言われた。
・・・・。確かにやまねは重度の冷え性である。
さらに「あなたは冷え性のせいで、本来持っている女性らしさが100とするなら30くらいしか出せていない。物事が上手く行かないのも全部、冷え性のせいですよ」と続く。
確かにやまねは女性的な外見とは裏腹に、驚かれる程度には女らしくない。
「冷え性さえ治せば、あなたは理想的な女性になれますよ。あなたを奥さんに出来た男性は本当に幸せ者になれる。」
「ただ、冷え性が良くない。今まで恋愛って上手く行ったことないでしょう。ああ、やっぱり。冷え性を治さないと無理ですよ。あなた自身に男性とおつき合いをする準備が出来ていないと言うことですからね。」
「冷え性を治せば問題はすべて解決するでしょう。」
「え?仕事ですか?ああ、人を癒やす系の仕事が向いているでしょうね。ただし、冷え性が治ってからです」
えーーー・・・、冷え性って、そんなに人生に係わってくる重大事なのでしょうか・・・・(汗)
やまねががさつなのも、アルコール依存症なのも、女らしくないのも、朝寝坊が治らないのも、感情で大暴走の末自爆するのも、みーーーーーんな冷え性のせいだって言うんですか???
でもって、冷え性が治ればそういうの、ぜーーーんぶ解決しちゃうんですか????
よし!そこまで言われたら本気で冷え性治しちゃうもんね。
嘘だったら泣いちゃうからなーーー!!
などと心で思いながらの帰宅。
でも実は「冷え性を治せば理想的な女性になれるなんて、思ったよりも道は険しくないぞ」なんてほくそ笑んでました。
しかも中途半端な良いこと言われたモンで、気分は上々、占いを疑う気持ちなんで全然なしに、そう思ってしまいました。
ところが・・・・・。
「え?やまねも冷え性って言われたの?私もなのー!冷え性を治したら彼と上手く行くって言われてね・・・・」
紹介してくれた友人にお礼をかねて電話してみたら、そんなことをのたまわれた。
考えてみれば日本人女性の半数以上は冷え性だもんね。
しかもさほど寒くもない日に、しっかりジャケットを着込んでいるやまねを見れば、冷え性って言葉は・・・出ないことはないんだろうなぁ・・・・。
まぁ、いいや。
冷え性を治せば理想的な女性になれるという言葉に騙されてみましょう。
それが占いの効果だってやまねは思っている訳なのだし。
冷え性を治して、幸せになれたらまた報告します。
一応、占いが当たったってコトになるんだと思うから・・・・。