2章〜悲惨な再開〜

ガタガタガタガタ…
「きゃっー!!!」
 一人の少女が敵に追われている。どうやら逃げているようだ。
「いやぁー!」
 その少女はつまづき転倒し今まさに敵に襲われようとしている。
「だれかぁー!たすけてぇー!もうだめぇー!」
「グギャー!」
 そのとき一つの光の矢が少女の横を通り敵を貫いた。
「大丈夫?怪我ないー?」
 私は優しく声をかける。
「あ、はい。大丈夫です。ありがとうございました。」
「よかった。無理しちゃだめだよー!」
「はい、気をつけます。あのお名前を…」
「おーい、ショコラ!早くいくぞー。」
「ちょっとまってよー!ごめんね、先急ぐから、それじゃ」
「はい、本当にありがとうでした。」
 私は軽く手を振って少女も手を振っていた。そう私はショコラ。あの事件から1年未だにひまは見つかっていない。それでも私はひまをずっと探している。ひまに見てほしいの…成長した私を…もうひまがいなくたってこんなに成長してるんだよっていうところを…。
 ドテッ!
「きゃー」
「またかい…いつになっても直らないね、おっちょこは…。」
「うるさい!おっちょこじゃない!たまにはこんなこともあるの!」
「はいはい。」
 このうるさいハンターの名前は「高嶋 洸次」通称しま。しまとは同じギルドに所属していて最近はずっと一緒にひまを探してたりするのです。一応私の師匠でもある。一応ね…。あくまで私の師匠はただ一人なの。
そして今日もギルドでの調査部隊としてアルデバランに来ている。
「まーそれはさておき、さっさとやるぞー。」
「うん、やっちゃおー。」
 今日の調査はアルデバラン時計塔の敵調査。ここにも最近敵が増えつづけているとこのことで敵の数や種類などを調査だ。がんばるぞー。
「ダブルストレイフィング!」
「ブリッツビート!」
 パンクという時計に住みつくカビのモンスターを次々に倒して前に進んでいく。階段を上っていって3Fについた。その瞬間私ははっした…。しまのほうを見ると同じような表情をしている。そう、上った瞬間に待ち伏せていたのだ…アラームという時計のモンスター。それが10…いや、20近くいたの。でも今の私たちならこのくらいならいけると思って…。
「ブリッツビート!カカオお願い!」
 カカオというのは私の鷹の名前。私は鷹を自在操る素敵なハンター目指してるの。鷹がアラームに連続攻撃を仕掛け次々に敵を倒していく。
「アローシャワー!」
 しまは無数の矢を放ち敵が接近してくるのを防いでいる。さすがに上手いね…。このへんは素直に見習わないとね。そう思いながら戦ってるうちにすでに敵は全滅していた。
「ふう、よくやったねーさすが私!」
「はいはい、すごいすごい」
「ぷんぷん…。」
 そんな会話をしているときだった。ドサっという音とともにしまが倒れてきた。気を失っている。
「しまー!」
 しまの後ろにはまだアラームが3匹、4匹といたのであった、しまは気絶している。私はパニックになってしまい何をしたらいいかわからなくなってしまった。
「あうあう…。」
 ガシャガシャ…敵がどんどん近づいてくる。グギャーという声とともに襲いかかってきた。私は応戦するもパニックを起こしているため何をしているのかわからない。そして敵の攻撃を食らい倒れてしまった。
「あっ…もうだめ…。ひまぁー」
 私はもう意識を保っていられなかった…。もう意識が無くなりそうになったそのときだった。白い光の柱が現れ私としまを守っていた。そして敵が次々に倒れていく。私は薄れ行く意識の中で見たのは驚きの光景だった。
「ひ…ま…?」
「大丈夫ですか…?」
 私は意識を失ってしまった。

  トーストの焼ける匂い。ベーコンの香ばしい匂い。紅茶の甘い匂い。懐かしい匂いがする。そうあの時が戻ってきたようなそんな感じの匂い。私はこの瞬間はっとして飛び起きた。やっぱりひまだったんだ。そう思う気持ちで一杯でドアを開けていい匂いのする方向へ走った。ここが何処なのかわからなかったけどそんなことはどうでもいい、早く…早く…、そんな気持ちで一杯で。ここだ、そう思って私は勢いよくドアを開けた。
「あ、目覚めたんですね。よかった心配したんですよー。よかったら朝食ご一緒どうですか?」
「…。」
 いいたいこと一杯あったのに言葉がでてこない…。でもやっぱりひまだ…。私の大好きなひまだった。間違いない。私は涙が止められないくらの涙がでてきてひまに抱きついた。
「ひまぁぁ…」
 私はそれ以上言葉にならずにひまに抱きついて泣いていた。ずっと泣いていた私だったが何かがおかしい…。ひまが何もいってくれない。こんなときならちゃんと私をなだめてくれるのになんで…私は少し冷静に考えてみた。少し考えるとひまがしゃべってきた。
「えっと…どちら様でしょうか?私はあなたとお知り合いでしたか?」
「え…?」
 私は意味がわからなかった、そしてまた混乱した。何をひまは言ってるの?何が起きてるの?わからないよ。「あ、大丈夫ですか…?」
 私はショックのあまりまた倒れてしまった。

 ひまはなんで私をわかってくれないの?もう私のことなんで忘れちゃったの?何がなんだかわからないよ…。もうだめ…。私今までなんの為に…。私はそんなことを考えながら半放心状態で考えていた。私達が保護されたこの場所は港町アルベルタにある小さな教会。私は倒れたあとこの教会の教主の方の話を聞くとひまは、アルベルタの外で血だらけで倒れており保護し治療したそうな。そのあと話をすると名前以外何も覚えていない記憶喪失だったそうな。ぎりぎりの戦闘をして瀕死の状態でなんとか生き延びたので精神的、肉体的にすべてを使いきった体なので記憶が飛ぶこともあるそうです。生きていてよかったと思う。でもでも…。私はまた泣き出してしまった。会えて嬉しいそれだけでもいいはずなのに…記憶がなくても私のことは覚えていてほしかったそっちの思いのほうが強いのかもしれない。そんなとき扉を叩く音がした。
「ショコラ、起きてるか?」
「うん…。」
「入るぞー。」
「うん…。」
 しまだった。今は誰にも会いたくなかったけど断る理由も見つからず入れてしまった。
「ひまは残念だったな…」
「…。」
「でも、酷いよな…ショコラのことあんなに言ってたのに忘れるなんて俺なら絶対に…」
 何を言ってるのこの人は…。私は意味がわからず答えた。
「何が言いたいのよ?馬鹿にしにきたわけ?どうせ私はひまに忘れられちゃうような存在だよ…。」
「もうひまなんていいよ、俺がこれからは…。」
「いいよ、もうわけわかんない!出てって!」
 私は枕を投げつけてしまを追い出した。いったいなんなの?私は余計わけわからなくなってしまった。これからどうしよう…。そんなことばかり考えながら泣きつづけた…。

「どうですか?今日はスープを頑張って作ってみたのですが…。お口に合いますか?」
「うん、すごくおいしい。やっぱりひまは料理すごい上手だね♪前から私によく作ってくれてたんだよ〜。」
「そうなんですか…。すみません。思い出せなくて…。」
「いえ、そんな気にしないでください。大丈夫ですよそのうち思い出しますよ頑張りましょう!」
 昨日あれから私は前にひまに言われた言葉を思い出していた。
「なんでも前向きに考えて頑張るんだよー?頑張ることが大事!日々勉強よ!」
 ひまはよくこんなことを言っていた。諦めちゃいけない。頑張る私はそう決めたの。もう迷わない。とにかく頑張る。頑張ればなんとかなるさ!
「ショコラ昨日はごめん。俺どうかしてたわ」
「あー別にいいよ。気にしてないから。」
 しまが何か気まずそうにいってきたけど私はそれどころではなかったので気にしていなかった。というより意味がわからなかった。
「ごちそうさまでした。今日もすごくおいしかったのだ。また作ってくだせー♪」
「それはよかったです。またいつでも食べてください。」
「あ、何かお手伝いすることあるー?色々お世話になったから何かあればお手伝いするよー」
「それじゃーお手伝いしてもらおうかなー?」
「どうぞどうぞ、なんでも言ってー。」
「結構危険なとこなんですが大丈夫よね、お二人強そうですし。」
「うん、大丈夫大丈夫。」
「では、GHにある輝く草をとってきたいのですが…それから作る薬草が切れてしまいまして…。」
「あーそんなの楽勝じゃん。でも、どれかわからないから一緒にきてくださいな。」
「はい、わかりました。お供させていただきます。」
「では、早速出発ですのー!いっくぞー!」
 私達3人は記憶を失ったひまとしまと私でGHに向かった。

「やっぱりここはいつ来ても不気味ですね。」
「もう私は慣れちゃったけどね。」
 と強がったもののここにはいい思い出はない。油断するとすぐにやられるような敵だらけだし…。GHは嫌い、なるべくならもう来たくないところかもしれない。
「えーと、あるかなーそんなに滅多にあるものではないのですぐ見つかるといいんですが…。」
 うろちょろするひま。私としまは敵がもしきたらすぐに撃退できる体勢をとっている。たまにくる敵を一瞬のうちに亡骸にしていく私達を見てひまが言う。
「お二人は本当にお強いですねー。すごく頼りになりますよ。」
「そんなことないよー照れるからやめてよぉ。」
 私はひまに誉められたって思うと何故か嬉しくなってしまった。しかし…
「どかっ!」
「きゃぁ〜」
「またかよ…」
またやっちゃいました…。ひまの前なのに恥ずかしい。ひまはくすくすと笑っている。私が転んでる間にひまが小走りで少し前のほうまで走っていってしゃがみこんでこちらを向いて何かを言っている。どうやら見つかったようです。
「あーありました、よかったすぐ見つかりましたよー!」
 ひまが嬉しそうに答える。しかし私は一瞬はっとしたあとすぐに体を起こしすぐに戦闘態勢に入り弓を構えた。見てはいけないものを見てしまった。深淵の騎士、ここの敵はまだおとなしいところなのだがこの深淵の騎士が1匹だけ門番としてうろうろしている。運悪くその門番に会ってしまったのだ。しかもひまを狙っている。ひまは気づいていない、間に合う…?しかし私より早くしまの行動のほうが早かった。
「チャージアロー!」
 衝撃をまとった矢が深淵の騎士の前進を阻み後退させている。私も続いて矢を放ち応戦する。ひまは私達の行動に気づき振り向くと深淵の騎士を見て硬直してしまった。
「あ…ああ…。」
「早く逃げて!」
 ひまは恐怖に震えてそこから動けていない。深淵は確実にひまを狙い前進してくる。私の矢でも後退を阻める程度にすぎず少しづつひまに近づきつつある。
「ひま、頑張って早く。」
 しかしひまはやはり動けなかった。そして目の前まで深淵の騎士は槍を振りかざした。
「いやぁぁー!」
「ひまぁー!」
 私はもうだめだと思った。しかししまがひまを救いだしていた。そしてひまを抱えたしまは一瞬のうちに安全なところにひまを置き、すぐに戦闘態勢に移る。しかし深淵の騎士は目の前にいない、何処…。一瞬見失った私達2人。すると先に発見した私は背筋が凍った。
「しま、後ろー!」
 私はすぐに叫んだがしまが振り返ると槍を振り回し始めた。
「ぐあぁぁぁ」
「しまぁーひまぁー」
 しまは深淵の騎士のブランディッシュスピアという範囲に爆風を出しながら攻撃する技をまともに受けてしまい瀕死の状態…。ひまは爆風に吹き飛ばされ気を失っている。もう私だけで深淵の騎士を倒すしかない。しかし深淵の騎士は固い鎧に覆われており矢はほとんどはじかれてしまう。カカオだけが頼りだよ!
「頼んだよカカオ!ブリッツビート!」
 私はカカオを華麗に操って敵にダメージを当てていく。
「カカオ頑張ってー!」
 深淵の騎士も大分ダメージを受けている。今だ!
「アローシャワー!」
 無数の光の矢で敵に大ダメージを与える。これに耐え切れずに深淵の騎士は倒れた。
「やったぁ…。」  私はそう思うとすぐにしまの元に向かった。
「しま大丈夫…?」
「…。」
 しまから反応がない。どうなら相当のダメージなようだ。すぐに手当てしないと。そう思い私はひまの方へ向かおうとした。すると後ろから物音がした、振り返るとぼろぼろの深淵の騎士が私に向かって剣を振りかざしてきた。反応の遅れた私はその剣を確実には避けきれずに吹き飛ばされた。
「きゃぁー…」
 一撃で私の自由は奪われ深淵の騎士の追撃がくる。もうだめと思った…。
「ひま…ごめんね…。私まだまだ全然一人じゃだめだったね。」
 一人ごとのような感じで私は最後の言葉と思い口にしたその言葉…。そして深淵の騎士が剣を振りかざし私めがけて斬りつけてきた。何故私はやられてないんだろう、意識はある。体は動かないけど…。何故?と目をあけて見てみると光の壁に私は守られていた。セーフティウォールだ。相当鍛錬を積んだプリーストではなければこれは使えないはず。そして私は目の前の光景を見て驚いた。
「ひま…?」
「しょこら、ごめんね。」
 目の前にはひまがいた。さきほどの弱々しい感じではなく昔そのものの頼りがいのある感じに戻ったひまの姿だった。嬉しさのあまり言葉にならない。
「ホーリーライト!」
 聖なる光が深淵の騎士を貫いた。深淵の騎士は今度こそ倒れた。
「しょこら大丈夫?ごめんね心配かけて」
「ひまぁぁぁ」
 私のほうに寄ってきたひまに私は抱きついた。
「しょこら強くなったねー。頑張ったんだねー。」
「ひまのばかばかばかー!もう何処にもいっちゃだめだよー。」
「よしよし、わかったからとりあえず今は休みなさい。」
「うん、疲れちゃった。お休みなさい。」
 私は安心しきって倒れた。

 ひまが記憶戻ったんだー。よかったぁー。これからは私達ずっと一緒だよね。そんな夢にも似たような夢を見て私は急いで起きようとし、ベットから転げ落ちた。
「きゃぁぁ、いたーいぃー。」
 ベットから落ちて痛かったがそんなことを気にしてはいられなかった。やっとひまが戻ってきた。そう思うといてもたってもいられず飛び起き私はドアを次から次へと開けていった。
「ひまどこー?」
 バタンっバタンっバタンっ…次々と扉を開けていったがひまの姿はない…。もうあとは大広間だけ…。最後の希望を胸にそこへいくがやはりいない…。何処かいったのかなー?そう思った私は自分のことを考えてみた。髪はバサバサだしちゃんと着替えてもいない…。ちゃんとした格好でひまに会わなくちゃと思った私はとりあえず部屋に戻ることにした。

 部屋に戻って髪を直し私の服が綺麗にたたまれている服を手にとると1枚の紙切れがひらひらっと落ちた。なんだろうって思った私がその文章を見ると私は愕然とした。私は慌てて部屋からまた飛び出て色々とこを探し回った。それは朝から深夜までずっと…。
「ひまなんで…?なんでまたいなくなっちゃうの…。」
 深夜に部屋に戻った私はベットに倒れこみまた泣き出してしまった。



1枚の手紙からまた絶望に落とされてしまったショコラ。手紙の内容はこうだった…。

「しょこらへ
  成長できたしょこらを見れて私は感激です。もうしょこらは私がいなくても平気だよね?もう私はしょこらのとこにいられなくなっちゃったよ。あんなに成長したしょこらを見たらね。またこれからも頑張って成長してください。それじゃ、さようなら元気でね。」

 ひまはこのような手紙を残してショコラの元から去っていった。ひまにずっといてもらいたかったショコラはショックを受けまた泣きつづける日々が続くのであろうか…。ひまは本当にショコラの元から去ったのだろうか…。行き違いの2人がまた出会う日は訪れるのだろうか…?この先どんなことが起こるのだろうか誰にもわからない…。ただ時間だけがむなしく経過していくのであった…。




2003/10/01