おれさまコラム:少年老い易く学成り難し
またもバカ、もとい変わり者がイラクでおつかまりあそばしたそうで。高校在学中に「ボクサーになる」と中退、その後ニュージーランドでワーホリ、そこからさらに自分探しの旅に出る、ときた。戦時下のイスラムの国に短パンでのこのこ行った挙句につかまって、まだ生きていたいんだってさ。そりゃかまわんが、君の場合生きるための努力がちと足りないんじゃないのか、ってはなしだ。
よそ者に対して警戒したり排除したりする働きは、程度の差こそあれ集団を維持するための健康な機能だと思う。差別や偏見を助長する気は毛頭ないが、これが全くない社会というのは免疫のない生物みたいなもんで、危険極まりないんじゃないか。部外者はなじむ努力=パワーと時間を大量に使って初めて集団へのアクセスを得るというのがまっとうな考え方だと思う。
ましてや今回は戦時下のイスラムの国。外部の人間に対して過敏になることぐらい容易に想像がつくだろう。しかも当の本人は自国を破壊した連合軍(軍という言葉が不適切ならば、占領統治機構でもかまわない)の人間である。そこへ下調べもなく、ボディーガードもつけず、ホテルも決めず、タブーであるナマ足をむきだして異人種が行っちまんたんだ。安全だと信じる要素がなにかあったんだろうか?
安全に生きるための努力、というのは普通に生活しているとなかなか意識しづらいかもしれない。でも外国に行こう、ってときはそれなりの配慮が必要だ。服装、行動はもちろんのこと、口に入れるものの安全性や国の行事がよそ者に与える影響まで考える必要がある。たとえば生水を飲んで屋台でメシを食うのはそれなりのリスクを伴うし、反日デモがうねっている大通りに日本人が突っ立ってたら石を投げられるぐらいは覚悟しなければ。彼の場合、まさに飛んで火にいる夏の虫だったといわざるを得ない。しかも物見遊山で。
粗末にした命の結末が「人質をとった、自衛隊を撤退させろ」の要求だ。あいかわらず一部の人たちは「そうだ、そうだ」と同調しているが、ちょっと待ってほしい。これを政治干渉といわずなんというのだろうか?これからの日本は人質とられて政策変更を求められたらそれに応じていくんだろうか?中国が人質をとって、ガス掘らせろ、といってきたら?韓国が竹島をよこせ、といってきたら?北朝鮮が米おくれ、といってきたら?すべてに応じていくのだとしたら、この国の主権者は国民ではなく人質を取った犯罪者ということになる。もっとも彼の生存努力欠如が、国の主権を脅かしているなど、彼は露ほどにも思っていないだろうが。
大変残念なことに、遺体で発見されたそうである。ご冥福を心からお祈りする。これを機にこれ以上アホがイラクを目指さないことをあわせて祈る。