++さようならの記憶++


二人の彼女が手を振っていた。

会社の一部署が閉鎖になり、新しい職場を見つけたワタシは、
一足先に退職することになった。最後の日にたくさんのお花とプレゼントを
いただいた。途中まで一緒の地下鉄に乗っている同期の彼女は荷物を半分
持ってくれた。ワタシは別の電車に乗り換えるので、駅の改札で
さよならをした。彼女はやわらかな顔をして、手を振っていた・・・。

それから数年、別の彼女も駅で手を振っていた。
彼女の実家に遊びに行った帰りだ。ピアノを仕事にしていた彼女と
6年のつき合いになるが、その日初めてピアノを弾くところを見た。
昔の写真も見せてくれた。当時の彼氏に「妹みたい」と話してくれていた。

その後、二人には2度と会えなくなってしまった。

同僚の彼女は生前わたしの事を気にかけてくれていた事を、当時の上司から聞いた。
ピアノを弾く彼女は一緒にコンサートに行く予定にしていて、打ち合わせの為
実家に電話をしたところ、事実を知った。

ワタシは会話の内容をわりと覚えている方だ。もちろん彼女たちとの会話も
ところどころ覚えている。生前、彼女たちの描いた未来予想図が今でも
頭に焼き付いて離れない・・・。