事故概要。

…………2000年4月9日午前1時55分 事故発生

 

 歩道を歩いていた2人の学生が、後ろから来た白い乗用車にはねられて、死亡した。

現場は見通しのよい直線道路で、車は高さ約20センチの段差がある歩道に猛スピードで乗り上げ、

橋のらんかんをもぎとる勢いで2人に激突。ほぼ即死状態であった。

2人は前途まばゆいばかりの19才。念願の大学に入学したばかりだった。

 容疑者のとび職の男性(30才、起訴済)は無免許で飲酒のうえ無車検の車を乗用。

友人から個人的に買った車である。

 

…………加害者取り調べ

 

 警察署の調べによれば、容疑者は8日の午前11時頃より知人の結婚披露宴にて飲酒。

その後、カラオケを楽しみキャバクラに立ち寄った帰途で事故を起こした。

事故当時の血中アルコール濃度は、道交法における酒気帯びと飲酒の境界線レベルである。

披露宴からは12時間以上経っており、ハンドルを握る数十分から数時間前まで酒を飲んでいたと考えられる。

 

 容疑者は8年前にひき逃げ事故を犯し、免許取り消し処分になっていた。

しかし、その後も無免許のまま運転を続ける。過去の処分は容疑者の更正の助けにならなかったのか?

今回の事故の直前に、容疑者は駅前交番で行われていた検問に気づき、

Uターンしてヘッドライトを消して逃走し、パトカーの追跡を振り切った。

自分がルールに反する危険行為を行っている認識があってこそ、逃走したと推測される。

男の罪は、運転操作の誤りという単なる過失ではなく、人を殺す可能性を大きく孕む行為を進んで行う、

あきらかに犯意ある「殺人行為」である…。

 

…………警察署での事情聴取

 

 亡くなった19才の学生の母、鈴木共子さんは警察署での事故状況説明の場で、この事件は業務上過失致死罪が適用されると聞いた。

飲酒、無免許運転で2人を死亡させた罰は、窃盗や詐欺の最高刑(懲役10年)より少ない5年という。

 

…………「飲酒運転で2人死亡させた加害者に、それは軽すぎないか?」

 

なぜ今まで業務上過失致死傷の量刑が改正されなかったのだろう?

『それなら刑法を変えればいいんですね』

『そうは言っても簡単には…』

と、署員は目を丸くして続けた。

『これから先、刑法が変わっても、この事件の求刑には適用されませんよ』

 鈴木さんにとって、それは問題ではない。

(おかしいことは変えなくては。そうだ変えよう)

 警察署で、交通事故を起こす加害者には再犯が多いと聞いた。刑の軽さが再犯の片棒をかついでいるのではないか?

 彼女の言動を常識外れの無謀行為と言う人もいる。

強い、偉いとほめる方もいる。悲しく悔しいのは当たり前なのに…。

刑法が改正されても過去の判決に追徴されることはないのだから。

生きていれば彼らがなしえた大きな「仕事」を彼らに替わってかたちにしたいという気持ちなのである。

(文責/Chiho.Kobayashi)

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