A型肝炎−経口感染するウイルス性肝炎
A型肝炎とはウイルス性肝炎の一種で、B型肝炎と並び、当地で生活をする人は知っておいた方がよい病気です。B型肝炎が血液や体液を通じて感染し慢性化することがあるのに対し、A型の場合は経口感染で、慢性化することはなく、また、一度かかると抗体ができて二度とかかりません。
感染経路
A型肝炎ウイルスに汚染された水や食べ物,特に魚介類の生食によって感染します。世界的にみて、上下水の整備されていない地域、衛生状態の悪い地域に多くみられます。日本では,春先が発生のピークで、これは生がきがよく食される季節であるためと言われていますが、最近では海外旅行中に感染し、帰国後に発病するケースも増えています。シンガポールでは近年、感染者数は大幅に減少しましたが、近隣諸国の事情は異なりますので、出張や旅行が多い方や居住される方は、依然注意が必要です。
症状
約2〜4週間の潜伏期をおいて発熱、下痢、全身倦怠感、食欲不振、黄疸、褐色の尿などの症状が現れます。特徴的なのは黄疸で、風邪でしんどいと思っていたらやがて眼球の白目の部分が黄色くなって来てあわてたなどというケースもあります。また、血液検査を行なうと、GOTやGPTなどの肝機能値がかなりの高値を示します。
治療
長期間の安静が必要で、多くの場合入院加療となります。体調不良を我慢して仕事などを続けると重症に陥ることがありますので、絶対に無理をしてはいけません。通常回復までには1〜2ヶ月要します。
予防接種
近年、A型肝炎ワクチンが実用化され、日本やシンガポールでも接種できるようになっています。接種は合計2回行われ、その間隔は6ヶ月が目安ですが、必ずしも厳密である必要はなく、多少過ぎてしまっても構いません。
予防接種をしたこともないのに抗体が出来ている人が時折いますが、これは過去にA型肝炎にかかったことがあるためです。A型肝炎は子供のうちにかかると症状が比較的軽くてすむので、感染してもそれと気づかないのでしょう。この様なケースは大体50歳以上の日本人に比較的多く みられますが、それは第二次大戦前後の衛生環境の中でA型肝炎にかかった人が多いためと考えられています。
なお、A型肝炎にかかって獲得された抗体は一生存続しますが、一方、予防接種で出来た抗体は数年で消失すると言われています。しかし、それでも3年から5年で離星される方にとっては十分と言えるでしょう。
胃腸炎
夏は、細菌やウイルスなどで胃腸炎が起こりやすい季節でもあります。胃腸の病気の多くはウイルスが原因であり予防が困難ですが、通常は症状に限りがあり、2〜3日で治ってしまいます。下痢・吐き気・嘔吐も軽く、ロモティル(Lomotil)・イモディアム(Imodium)・ペプトビズモル(Peptobismol)といった一般市販薬も効果的です。
BR>旅行者が細菌による胃腸炎を起こすことは珍しくありません。症状は軽く、薬を飲むことで大体治ってしまいます。ところが、最近、当院ではもっと深刻な下痢症状の患者さんが増えています。シゲラ菌・サルモネラ菌・カンピロバクターなどの病原性バクテリアに感染した場合などがそうで、ここ二ヶ月の間に火が充分に通っていないチキンを食べてカンピロバクターにやられた患者さんが何人かいました。また、シゲラ菌で赤痢にかかった方もいます。水分補給の点滴と抗生物質の投薬を受けることで回復しますが、病原性の細菌は熱に弱いため、正しく準備・調理された食事を摂ることが大切です。
汚染された井戸水や食物の中に見られる、アメーバ・鞭毛虫などの原生動物も病原体であり、中南米への旅行者がしばしば感染します。これらの病気は、単純な胃腸炎と比べて治療が難しく、様々な症状を引き起こし、時には深刻かつ生命を脅かすものになります。
いずれにせよ、高熱や出血を伴ったり2日以上続く下痢の場合は、直ちに医者の診察が必要です。