中心市街地再生の原則
「中心市街地再生の原則」は、「生活街」という理念を実現するための、また、次章の「中心市街地の空間形成の方針」の前提となる「まちづくりの考え方」です。「中心市街地再生の原則」は、大きく、「深谷市全体の空間形成に関すること」と「中心市街地の空間形成に関すること」に分かれています。
1 深谷市全体の空間形成に関すること(中心市街地再生の前提条件として)
1-1 コンパクトな都市形態を目指す
- 都市の農村部への分散的な拡大を抑制することにより、農村部の自然や緑地、農地などを保全する。
- 既成市街地では、建物や都市基盤のストックを活かしながら、修復・改善型あるいは保全型のまちづくりを進め、市街地環境の質を向上させる。
- 既成市街地と農村部を明確に分け、それぞれの特徴に応じて役割分担をし、連携をする。既成市街地は主に居住やその他都市的活動を支える役割、農村部は農業生産や自然・緑地を提供する役割を果たす。
1-2 既成市街地内に密度の高い拠点をつくる
- 既成市街地の中でも特に中心市街地は、居住、商業、業務、行政、文化、福祉など様々な機能が複合し、歩ける範囲で生活できる、密度の高い拠点として再生する。
- 上柴地区は、自動車利用を前提とした商業拠点として位置付ける。
- このように、中心市街地と上柴地区は特徴の異なる拠点とする。
1-3 中心市街地を中心とした公共交通体系を構築する
- 自動車利用を減らし、交通弱者(自動車を運転しない人)の移動手段を確保するために、中心市街地を中心とし、既成市街地内の居住密度が高い地区や農村集落を結ぶ公共交通体系を構築する。具体的には、「くるリン」の充実化(ルート及びダイヤの見直し)を検討する。
- 公共交通の運営は、経営の赤字や黒字といった採算的な視点ではなく、中心市街地の活性化、人々の生活の質や公平さの確保などの視点から行う。
2 中心市街地の空間形成に関すること
2-1 居住、商業、業務、行政、文化、福祉など様々な用途・機能を複合させる
- 中心市街地では、居住、商業、業務、行政、文化、福祉など様々な機能を複合させ、歩ける範囲で都市生活ができるようにする。用途・機能の複合は都市空間の魅力の1つである。
- 中心市街地外居住者にとっても魅力的な場所にする。(商業、業務、行政、文化などの機能は、中心市街地内居住者だけでは成立させることができない。)
- 様々な経済レベルの人々や様々な年齢の人々が同じコミュニティ内に居住できるように様々なタイプの住宅を供給する。
- 特に高齢社会に必要な施設・機能を充実させる。
2-2 低未利用地の有効利用を促進する
- 中心市街地の密度を高め、街並みを形成するために、低未利用地の有効利用(高度利用)を促進する。
- 狭小敷地が集まる密集市街地では、建物の共同建て替えや協調建て替えを促進する。
- 空き地や空き家は新たな資源としてとらえ、中心市街地の新たな就業の場や文化空間、コミュニティの交流の場として位置付けてもよい。
2-3 歩行者、自転車などの歩行者系を優先する街路空間とする
- 街路に応じて、歩車分離あるいは歩車共存の施策を意識的に実施する。(街路によっては自動車を排除する施策を実施してもよい。)
- 街路にベンチを設置したり、歩行者動線沿いに公園・広場を整備したりして、快適な歩行者空間を創出する。
- ユニバーサル・デザインを念頭に置いて街路空間を形成する。
- 一方で、自動車の利便性も損なわないような施策(適切な駐車場配置、料金、情報提供)を実施する。
2-4 公園、河川、寺社などの緑と水をネットワーク化する
- 公園、河川、寺社などの緑と水を散策路やサイクリング・ルートによってネットワーク化し、都市生活の質を向上させる。
2-5 多様な街なか産業を育成する
- 職人的な多様な街なか産業を育成する。
- 中心市街地内居住者が働ける場を創出する。
- 商業の活性化を促進する。
- 街なかガイド、レンタサイクル、情報センターなど、市外からの訪問者への対応を積極的に行う。
2-6 歴史の文脈を読みとり、中心市街地が持っている価値と可能性を引き出す
- 徒歩の時代につくられた街区さえ残されていれば、建物は更新されても街の空間構造は継承される。街の空間構造が残されていれば、歴史を活かしたまちづくりは続けられる。歴史的に残された建物は大切であるが、それを支えている街区割り、町割りも同様に大切に残す価値がある。
- 画一的な区画整理基準を見直して、継承されてきた空間の意味や役割を解読して、コミュニティを壊さない柔軟な手法を適用する。
- 建物の壁面線を道路境界から敷地の中に下げる「セットバック」の手法は、道路空間を拡大する上では効果的だが、街路がかもし出す親密な空間の感覚を失わせることがある。狭い道の価値、歴史的な町割りの価値を改めて見い出す。
- 歴史的資産の保全・活用のための適切な仕組みを構築する。
2-7 空間の美しさを追求する
- 建物のデザイン・ルール(景観・風景条例など)を検討する。
- 公共空間(街路、広場、公園・緑地、水辺など)のデザインを工夫する。
2-8 防災性能の向上
- 密集市街地・老朽市街地を適切な手法により改善・修復し、防災性能を高める。
- 避難経路を確保する。
2-9 ユニバーサル・デザインの促進
- 街路空間、施設、バスのユニバーサル・デザインを促進する。
2-10 まちづくりを進めるための人材育成と組織支援
- まちづくりNPOの支援を行う。
- 中心市街地内の多様な主体を調整・連携する機能を持つ組織を設立する。
- 地域と学校の連携・交流を図る(総合学習など)。
- まちづくり学校(連続講座)を開き、まちづくりの人材・サポーター育成、生涯学習を進める。
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