春の贈り物
凍てつく風に温もりを贈るように
乾いた大地を照らす日差しに わずかに春の面影が見えた
寒さを忘れさせるようなやわらかな光の中で
小枝の先につき始めた新芽のように 彼女が微笑った
彼女の笑顔はいつも この冬の寒空をうるおす陽の光のように
冷えきった僕の心を温めてくれた
でも 今日の彼女は違った
優しく微笑むその瞳の中には
いつもはないはずの 涙の色が光っていた
悲しみの泉のように 僕を見つめる潤んだ眼差しは
それでもなお 暖かな温もりを与えてくれた
僕は何か言わなくてはと思い 懸命に頭の中を駆けめぐったけれど
適当な言葉は何も浮かばなかった
ただ 正体の分からない暗いものが
僕の姿を覆いつくしてゆく気がした
心の中に見えた一筋の光が消えた時
彼女の姿も 僕の視界から消えた
あとには何も残らなかった
冷たい風が 心の暗闇を吹き抜けていった
冷やされた胸の中では さっき彼女が言った言葉だけが
何度も何度も 絶えることなく繰り返しこだましていた
ただ一言
「さよなら」の言葉だけが ―――
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<由莉香コメント>
言うまでもなく、別れの詩です。
タイトルと内容にちょっと違和感があるかな・・・?
でも、暖かな春の日差しのように温かい彼女への想いを表現したので、
なんとなくこんなタイトルになりました。
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