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時計の針はもう真夜中を指していた頃。 書き上げた葉書数枚を持って暖められた部屋から出ると、 家の中だというのにとても寒かった。 「寒い〜〜〜。」 真っ暗な家の中。独り言と分かっていても口に出さずにはいられない寒さ。 ポストに葉書を出す為にと言っても、家からポストまで3歩の距離。 コートすら羽織ることなく表へ出た。 戸外は当然家の中以上にものすごく寒くて、冷たい風に体中が震える。 さっき書き上げたばかりの葉書に、2,3滴の小さな水の粒が当たる。 『雨降ってたんだ・・・。』 心の中で、何気なく呟いた。 『コート着てくれば良かった。』 葉書が濡れてダメにならないように体で葉書を庇いながら、 家からポストまで徒歩3歩。 葉書を無事ポストに投函して、家の中へ引き返そうと振り向いたその瞬間。 顔にコトンとぶつかった水の雫は、雨にしてはあまりにも固過ぎて・・・ 見上げた私の目に、電信柱の明かりに照らされた雪が見えた・・・ 寒くて寒くて・・・一刻も早く家の中へ戻ろうと思っていたのに 立ち止まってしまった 見上げたまま目を逸らす事が出来なかった 静かに静かに・・・降りしきる、雪。 『寒いと思ったら・・・雨じゃなくて、雪だったんだ・・・。』 心の中で呟く声は、静寂の中でこだまする。 声にならない・・・叫び。 雪は・・・静かに私の元へ降りて来た。 気付かずに通り過ぎてしまいそうな私に・・・ たった一言の、挨拶をする為に。 |