夜這い
第六話「アフロと俺」
「見ろタク、すごい映像をゲッツすることができたぜ」
ユウヤのビデオカメラの画面でフラッシュする俺の姿が映ってる。
「ぶははははははは!マジで電気が流れると髪の毛アフロになるんだな?ドリフの世界だけかと思ってたわ」
結局、塀の上に電流が流れていて、俺はその電流をもろに全身で受け止めて気絶、
ユウヤの撮影を一身に受けることになった挙句そのまま家に搬送されたってオチだ。
「こりゃいいな!お前があそこに侵入しようとする度に、俺はお前の輝かしい青春の一ページを目の当たりにすることができるじゃねえか」
「ユウヤ…殺すぞ…」
プルプルしている俺の肩をユウヤはポンポンと叩く。
「まぁ落ち着け、電流が流れてたなんて知らなかったし鈎縄だって鉄の部分がむき出しだったもんだから仕方ないわな」
「…でも何かが起こるだろうとは思ってたんだろ?」
「そりゃ、まぁ、当然だろ。じゃなかったらつまらん」
…敢えて何も言うまい。
「一応鈎縄は電気が流れないように改良しておいたけど、どうするよ。リベンジするか?」
「リベンジってお前、今からか?」
当然といわんばかに頷くユウヤ。時計はもう5時を指してるぞ、気づけユウヤ。
「ユウヤの期待に沿えなくて悪いが、今から行ってまた意識ぶっ飛んだりしたら俺は学校に行けなくなる」
「…お前…学校を心配するような真面目な人間だったか?」
本気で心配そうな表情をするユウヤ。待て、俺はそんな不真面目に見えるのか。
「無理するのはよそうぜ、タク。そんなアフロ頭で真面目ぶっても笑えるだけだ」
「だあぁぁぁ!学校までにこの頭直んのか!?」
「大丈夫、けっこうイケてるよ、その頭」
「お前のあからさまな嘘にはもう慣れた。とりあえず俺はシャワーに行くぞ」
「ん、そっか。まぁ、今日はタクの功労を称えてジュースの一杯でも奢るから楽しみにしとき」
…こいつはまだ部屋に居座るのだろうかと思いながら俺はシャワーを浴びに行った。
「いやお前アホだろ」
俺は風呂場の扉から少しだけ覗いているカメラのレンズを覆う。
「いやまじで、お前は何だ、何なんだ」
なんでこいつは俺の裸体を撮ろうとしてるんだ。
「コアな連中に売れるはずだから」
この精神は、たぶんあれだ。水鉄砲を手に入れた子供がどこかれ構わず発射してしまうあの精神だ。
「お前、何でもいいからビデオカメラ使いたいだけだろ」
「…そうとも言う」
「…割るぞ?」
「…帰る」
「帰れ」