2つの補遺(2002.02.07)
先日の集中の相関のお話で、「信じん」というフィードバックを頂戴した。持つべきものは友、いい機会なのでフォローさせてもらおう。
実はあれを書いた後、たまたま似たような記述を別の本に見つけた。寺田寅彦さんという一世代昔の物理学者の随筆集だ。蓄音機の将来像を描いた、蓄音機についてのお話の中である。まことに勝手ながら自分語に直して引かせて頂くと、
「人間が雑踏の中で話が出来るのも、集中してるから」
結構タイムリーに自分の考えを他の人の頭に見、かなりびっくりしてしまった。何十年も昔に・・・。
つまり、駅とかで異なった波形をもつ波がノイズとしてガンガン飛び交っている中でも人間は話が出来る。それは、「相手の声の波形を常に把握し、無意識のうちに注意を払いつづけていて、そして期待している」から、特定の波だけ拾い上げることが出来るということだ。
もう一つ、自分の部屋で音楽を聞いているとき、同じ現象に気が付いた。例えばボーカルとギターとベースとドラム、ついでにトランペットやホイッスルが響きあっているときでも、ギターだけの音だけを拾い上げていくことが出来る。例えばそういう音楽に自分でギターで適当に合わせるとき、ベースの音をことさら拾いつづけて出来るだけハーモニーになるようにこちらを合わせる。あるいは合わせているように見せかける。
昔は自分がこれを出来なかったことを思い出した。中学生になるかならないかの頃、兄にギターを触らせてもらいながら音楽を聞いていたとき、兄に「音楽を聴くときはちゃんとどれがどの音か意識して聞かないとだめ」と言われた。どれがどの音・・・このボンボンいっているのがベースで、唸りを上げているのはギター。ファンファン言っているのはもしかしたらキーボード。一つ一つ分離してそれぞれの奏者がどんな音を奏でているのかチェイスできるようになりなさい、ということだったのだと思うけど。
そういった作業がまったく出来なかった。共感していただける人もいるんじゃないかと思うけど、ギターの音、といってもどれがどれだか全然わからない。今になって思うのは、これは例えばギターの波形に慣れてない、あるいは知らないせいで、期待のしようがないからではなかったか。期待できればその楽器が次に鳴らす音を予想して追っていき、くっきりと浮かび上がらせることが出来る。
もう一つ、「スクラッチカードと伝達系」のお話ででフォローしなくてはいけない・・・計算間違いしてました、すいません。
g=9.8を移行するところで割るべきところをかけてしまって、答えはそこから約100倍に。最後にルートがあるから約10倍に。だから認知にかかる時間は2秒ではなく約0.2秒ということになりました。全部時間を0.1倍してください。これならまあうなずける結果。
あの数式がとっつきにくい、という人のためにですが、高校の物理の教科書は物体が落ちるのにかかる時間と落ちる距離を
y=1/2 gt2
と暗記させているはずです。これにぶち込めばおっけー。
それでも微分方程式から行く利点は・・・基本も知らないのに意味不明の公式を振り回しても仕方ないと思うのです。自分で何をやってるか分からないけど答えは出る、っていうのは非常に危険な状況で、自分で応用・発展しようと思いたくても思えないのでは。例えば空気抵抗を考慮しようと思えば、ニュートンの方程式の力のほうに-kVだの-kv2だのを付け加えればかなり現実に近いモデルが得られたものと記憶します。あとは記憶の負担が減らせる。
詰め込み教育はどうかねえ・・・といつのまにか世の教育を儚むおじいさんになってみました。
先日野球をやっている友達Cと話していてポット出たのだけれど、マウンドからキャッチャーミットまでは約18メートルらしい。140キロのボールが到達するのに何秒だろう。
18 / (140*1000/60/60) = 0.46秒!
思わずにんまりしてしまう結果ですね。上の結果から認知からスイング開始に0.2秒かかるとして、相手が投げてからまあ0.2秒くらいしたら「振ろう」と思って振り始めてないと間に合わないんだ。空間に定規を当てた割には非常に現実にマッチした計算結果を得られていた模様、しめしめ。