Muffler(11.29.2001)
満員電車に乗っていて、ふと自分で巻いているマフラーを凝視してみた。もうそんな季節なのだった。
素材が綿なので、よくよく見ると繊維がちょろちょろと突き出している。毛糸のマフラー、といえばあのちょろちょろが誰にでも想像できるだろうか。
ちょうど高分子の講義を取っている昨今で、一体この細いちょろちょろ一本が、実際のところ何個くらいの分子から成っているのだろうか、と普通気にしないことを考え始めた。分子一個あたりの大きさのイメージをつかむなんてまたとない機会、この機にやったろう。と思った。
どこかで誰かが髪の毛一本1ミクロンと言っていたのを思い出した。微妙に違うかもしれないけど、そうだと仮定しないと先に進めない。
この細いちょろちょろは髪の毛の何分の一くらいだろうか。自分の髪の毛の太さを想像し、3秒くらい窓外の景色に見とれていると見せかけて、考えてみた。まさかあのくたびれたスーツを着て吊皮に揺られる会社員、ドア際の四角形安全地帯の男が髪の毛の太さに思いをはせているとは思うまい。で、ともかく1/5くらいかな、と思った。でも煩わしいのは満員電車だけで十分、この後の計算を2秒以内に終わらせるべく1/10くらいとした。つまりこの細いにょろにょろは髪の毛の0.1倍だ。
髪の毛は1ミクロン=1um=1*10-6m、よって細いにょろにょろは1*10-6*0.1=1*10-7m。
ここで1オングストロームという2分子間の距離をあらわしたオングストロームさんの便利なオーダーが1*10-10mだから、これを一分子の大きさと仮定すれば、このにょろにょろ一本あたり(1*10-7)/(1*10-10)=103で1000個だ!
怪しい過程・近似がいくつもある粗い計算ながら、へーえ、この細いにょろにょろ一本に1000個ねえと感心してマフラーを見つめた。のも束の間、下北沢でドドっと乗り込んできた乗客にさらにむぎゅーとなる通勤電車。これぞ都会の朝。