<燃えないゴミ>2001/04/14
燃えないゴミ。
燃やしてはいけないゴミの総称です。
燃えないゴミと書いてあるごみ箱よおく見ますよね。昔は燃やすゴミとそうでないゴミ
を分けるために燃えるゴミ・燃えないゴミ、としたんでしょう。公害、環境ホルモン
どうの、と騒がれる前の話のはずです。何を燃やしたって構わないからどんどん燃やして
かさを減らそう、という意識が見え隠れする言葉です。そりゃあ
かさばる粗大ゴミよりも灰の方が取り扱いが簡単だあ。
ところが科学技術の発展とともに燃やすと非常にマズイものが出てきてしまいましたね。
塩化ビニル系とかプラスチック、とにかく元素記号Clというやつです。
Clを炭化水素化合物に混ぜて使うと安くて軽くて超丈夫という理想的な材料が作れてしまいます。
化学式から
おぼろげに想像するにあたり、単なるCl側鎖なしの炭素化合物(最近見る燃やしても大丈夫です
的スーパーの袋とか)より丈夫なはずです。
都民の皆さんにとっては当たり前かと思いますが、
彼らは燃えないゴミとして処理しなくてはなりません。ビニールの買い物袋とかプラスチックラップ
とか、燃えるゴミとして捨ててはならないのです。
初めにハッキリさせときますが、彼らは燃えます。
それでも「燃えないゴミ」と呼ぶのは「燃やしてはならないゴミ」だからです。
燃やしてしまうとどうなるかというと、ご存知のように、
このCl君のうちうまく処理されなかった一部が
悪さを始めてしまうわけです。
不完全燃焼したプラスチックからは環境ホルモンたるダイオキシンが出てきます。うちの近所は
ゴミ焼却場があるせいなのか、土壌のダイオキシン濃度が高めなんだとか。あと、焼却炉の内部に
張り付いた彼らは炉の寿命を著しく減らすそう。というわけで「燃やしちゃいけないゴミ」って
わけです。
そんな彼らが世間を賑わした結果、東京都某所の家の近所では、「燃えるゴミの日」に
そういうプラスチック風の容器なんかがちょっと入ったゴミ袋は
もう持っていってくれません。
真面目なゴミ回収車作業員の妥当な判断ともいえるでしょう。
彼らには無知で善良な市民に、プラスチックを燃やしたら環境ホルモンが出て危ないじゃないか、
と警告してやる必要があるってわけです。
ところで一方、スーパーとかで最近使われだした「燃やしても有毒ガスが発生しません」と謳う袋を
ご存知でしょうか。彼らはポリエチレンを代表とした、Cl君が入っていない燃やしてもOK
な素材です。炭素化合物オンリーからなる彼らは燃やしたところで二酸化炭素と水にしかなりません。
元凶Cl君がはいっていないから何も困ったことは起きないわけです。
彼らはCl系に比べて脆い、という欠点があります。しかしながら一見しても区別がつかないほど
そっくりです。よほどの専門家でも見分けるのは難しいでしょう。
さりとて、見分けるのは絶対不可能か、というとそうでもありません。
JISマークという強い味方がいるからです。
PETとかPPとか、素材によってリサイクルナンバーがつけられています。PETは1、とかそんな
感じで。
素材の名前さえ分かってしまえば簡単。あとはその素材にCl君が入っているかどうか
を知っていさえすれば、きっと誰にでも見分けがつきますね。
以上を踏まえて、仮に東京都で化学をある程度かじった人間が、
環境問題を真摯に受け止めプラスチックから燃やしてもいい
一見プラスチックみたいだけど実は燃やしても無害なゴミ、をわざわざ選り分けて、
燃えるゴミの日に捨てていたとしたらどうなるでしょう。
さて困りましたね、そもそも見たって見分けがつかないから「どっちも燃えないゴミに」としてしまった
公衆衛生、「環境に対するより正しい態度」をとった勤勉な市民に対して
「ルール違反」のレッテルを貼って「燃えないゴミが入ってるぞ!」と言うしかないわけです。
やれやれやれやれ、ってなもんです。
やれやれやれやれ。
そんなわけで今日も私は、ポリエチレン包装を
燃えないごみ箱へ捨てます。