平成13年9月20日

  母なる大地の会主催

    第1回<いのちフォーラム>
〜 いのち・生かされて・輝いて 〜

 私たちは、今、21世紀という、新しい時代を迎えました。文明の発展と経済の成長によって輝かしい第一歩を踏み出しました。しかしその発展とはうらはらに、人間のエゴの追求のあまり、地球の環境は破壊され、社会秩序が力を失い、人間がもっとも大切にしなければならない、生命の尊厳と、いのちといのちの愛のつながりが弱まり、子供の生命までが危機的状況に追いやられています。

 こうした問題は、政治や社会機関の対応にあることはいうをまたないことでありますが、同時に一人ひとりの問題であります。むしろ、一人ひとりの責任と連帯によって、社会をつくり変えていかなければならないのではないでしょうか。

 勿論、微力な私たちではありますが、愛の実践者が集い合い<いのちフォーラム>と題して、愛の実践と連帯を提唱する機会といたしたく開催するものです。

 この度は、愛生園発信として、まず歴史的にも、一人の人間としても、強制隔離政策の苦しみの中で生き抜き、又、その絶望から<いのちの尊さ>を見出された、愛生園のハンセン病の方達を中心に、人間解放の喜びと<いのちの証言者>としてのスポットをあて、学ばせて頂きたいと願いをいたしました。

 又、今日社会問題になっています、家庭崩壊から犠牲者となった青少年の生き直しのために一身を捧げている、坂岡嘉代子さんの指導による<和太鼓はぐるま>の心の響きを聞かせて頂き、尚、自分の娘である身障者を通して、アジアにボランティア活動(国際エンゼル協会)を展開している、川村百合子さんの愛の体験を報告して頂くことにしました。

 どうぞ、心をともにし、一人ひとりの決意から、21世紀の良心を生み出したく切望するものであります。ご参集の上、ご高導ください。

<母なる大地の会代表 石川洋>


 愛生園発信「いのちフォーラム」 のご報告

  
  
●テーマ [いのちへの提言  いのちの響き]

   
日時:平成13年11月23日(勤労感謝の日)
         
場所 :  長島・愛生会館 (愛生園内の会館)

* 発起人・石川 洋先生(「母なる大地の会」代表)
* 愛生園・ 田端 明先生(「母なる大地の会」代表役員)
* 川村百合子先生((財)国際エンゼル協会代表理事)
* 坂岡嘉代子先生(和太鼓はぐるまの家代表)

      






愛生園発信・第1回『 いのちフォーラム 』〜エンゼル協会・加藤圭二
        [ いのち・生かされて・輝いて ]
       あふれるいのちの躍動に明日への希望 
 瀬戸内海に浮かぶ小島、ハンセン病の国立療養施設「長島愛生園」で去る11月23日、"いのち・生かされて・輝いて"をテーマに「いのちフォーラム」が開催されました。日本各地から訪れた多くの方々の真剣なまなざしの中、第1部では石川洋氏、田端明氏、川村百合子さんら3名の提言者による、真実に生きるとはどういうことなのかを考えさせられる重みのある話に聴衆は引き込まれました。そして2部では魂の奥底を揺さぶられるような「和太鼓はぐるま」の和太鼓の演奏に、満員の会場はまさに言葉を失ってしまうほどの大きな感動に包まれました。

 第1部の石川洋氏のお話で、『踏んでいるものは踏まれている者の気持ちはわからない』という言葉が深く心に残りました。これまでハンセン病患者の方々を踏み続けていたのはいったい誰だったのでしょうか?厚生省の役人や差別を肯定する一部の人々でしょうか?そこには誰かのせいにしてしまおうとしている責任逃れの醜い私の心が見えます。本当のところ、私もずっとその方たちのことを踏み続けていたのだと思います。本当に変わらなければならないのは私自身の中にある差別や偏見の心、そして自分は関係ないという無責任な心なのだと気づきました。
 
 また愛生園の田端明氏は「人生には3つの坂があるということを話されました。
登り坂、下り坂、そしてまさかの坂が人生にはあります。私も何度かまさかの坂を体験しました。ハンセン病を発病し、21才で愛生園へやって来てまもなく失明しました。しかし生きる苦悩の中でもがきながら歎異抄と出会い、また多くの方々との出会いによって救われて行きました。今82才になりますが、40年前に石川先生がこの愛生園に初めて来られて以来、そのご縁がずっとこれまで続いているのです。本当にありがたいことです。」

 想像を絶する苦しみの中で、生きる希望を見出された田端先生のお話を聞かせていただき、生きるとはいったいどういうことなのか、自分のいのちも人のいのちも粗末にしてしまいがちな現代の風潮に対して、警笛を鳴らしておられるような気がします。田端先生のお話を聞き、改めて人はどんな大きな苦難がやってきても生きなければならないのだと思いました。
 
 そして国際エンゼル協会の川村百合子さんのお話へと続きました。「私は障害を持つ娘を持ったおかげでいろんなことがわかりました。人生は一度限りではなく、何度も生まれ変わってくり返しくり返し魂を磨いていかなければならないことを知りました。
そして人間の根源にある差別や偏見、一人一人の心にある差別の心が消えない限り、また人間は愚かな戦争をくり返すのではないでしょうか」
現代は何が正義で悪なのかわかりにくい複雑な時代です。先進国の人間は途上国の人々の気持ちがわからない。私たち日本人も先進国の驕りがあるだろうと思います。」
 これから奉仕の生き方を実践していくにはどうしたらよいのか私も真剣に考えて行きたいと思います。 

 第2部では「和太鼓はぐるま」の子どもたちが素晴らしい和太鼓の演奏を聞かせてくれました。かつては非行や引きこもり、家庭内暴力に苦しんでいた15名ほどの少年たちが共同生活を営み、生き直しの一環として本格的な和太鼓を取り入れ、今では全国各地更に海外にまで慰問講演を行なっているのです。その一糸乱れず体全体で太鼓を叩く姿、真剣そのもの命がけとも言える彼らの表情、爆発するエネルギーを目一杯に溢れさせ観る者聞く者を強烈に引き込んでいきます。私は演奏の最初の一音を聞いて、他の和太鼓演奏とは何かが決定的に違うと思いました。 鳥肌が立つような、ずしんと深く鋭く心に響いてくる若いいのちが炸裂する音の嵐。苦しみ悲しみを生きる希望へと昇華させた、彼らの音にはそんな、人に勇気を与えるいのちの躍動がありました。

 そして曲の合間に、はぐるまの家代表の坂岡嘉代子さんが様々な不幸を背負う子どもたちのことを語られました。幼少期から続いた虐待のために、人を信じることができず放火をくり返す少年の話、悩み苦しみもがきながらも這い上がってゆこうとする子どもたちの話を聞いていると、私の心にも熱いものが込み上げてきます。
 いのちの鼓動を激しく繰り出す彼らの太鼓の一音一音に「生きろ!生きろ!」と自らを励ます熱いメッセージが込められているようでした。
[生きるとは][愛するとは][人間とは?]そんな奥深い命題を考えさせる感動の1日でした。
               

               NPO法人 国際エンゼル協会   加藤圭二

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