モンスターNO.−07「新半捕られ物帳
」
(MAT隊長報告)
3年前の秋のこと。
例によって土浦兄@”一緒に行動するだけで周囲を破産させる男”が大阪にやってきた。
同期の披露宴が会社も近所であったので、着替え場所として彼にもうちの事務所を
使ってもらったのだ。
披露宴は無事終了し本来なら2次会が始まるんだけれど、今回は都合で2次会は後日、
ってことで、夕方前の中途半端な時間にヒマになってしまった。
しばらくは同期何人かで喫茶店で話していたものの、遠方のヤツからどんどん帰って
いき、最後には土浦兄とオイラ、2人だけになってしまった。
ちなみにコイツも、十分遠方なんだけどね・・・。
飲み屋があくまで時間があるので、彼はパチンコで、オイラはせっかく会社にいる
から残務整理で時間をつぶすことにした。
しばらくしてヤツと合流し居酒屋へ。
「(パチンコが)全然出ないから、ぐるっと散歩してきたのよ。そしたらさっ」
と、散歩の後にしてはエラく目を輝かせながらヤツは切り出した。
「・・・例のビルに変わった店が入ってたよ。」
「へぇ〜、どんなの?」
例のビルっていうのは、西中島南方駅から少し離れたところに建っている、1Fを
除いて2Fから7Fまで、すべて風俗店がはいっている嬉しい建物のこと。
この当時、オイラもこの街にきたばっかりだったから、土浦兄が出張でやってきた時
あるいは単独でいろいろ開拓に注力していて、その一環でこのビル3Fの偽イメクラ
「乙女の×り」を先日調査したところだったのだ。
土「あのさ、実は前から興味あったんだけど、人工オ×コってどんなふうになってる
んだろ。」
隊長「人工オ×コォ??」
土「性転換で作るやつさ。」
隊長「う〜ん、どうなんだろうなぁ。人間のメスさばきでどこまで作れるモノなのか、確かに興味はあるな。。。」
土「だろだろ?それがさ、拝めるかもしれんのよ、あそこで。実はコレにもちゃんと載ってる」
ヤツはおもむろにダイスポのお馴染みのページを出して広げた。
「ニューハーフ●園:完全性転換など各タイプ在籍してます!」
隊長「ニューハーフ、って要はオトコじゃないか!」
土「性転換してんだから同じだろ?どうだい、たまにはこういった指向も・・・」
隊長「むぅ。オトコってのを頭から切り離しさえすれば・・おもろいかも。。。」
土「人生、冒険はつきものよ。リスクを負ってこそ、はじめて手に入れられるモノだってあるんだ。」
隊長「オケツに入れずんばわからない、とも言うしなぁ。」
土「別に入れんでもいいでしょ。ま、入れたいならそういうコースもあるんじゃないか?」
隊長「入れたかないやい!」
土「てことで、この後はココでいいね。」
隊長「うむ。まぁ、行ってみるか。しかし・・・それにつけてもオヌシは変態よのう。」
土「いえいえお代官様ほどでは・・・」
一同「ふぇっふぇっふぇっ」
そして、特殊なトコロだからいつもより酒は飲んどこう、ということになって
バーボンのロックを2杯空け、目的のビルに向かったのである。
(つづく)
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さて、そんなこんなのやり取りの後、例のビル横のエレベーター前に立つ。
3F「乙女の×り」4F「た×子っち」と(偽)イメクラが続き、5Fの個室
ビデオルームの上にそれはあった。
「ニューハーフ●園」
エレベーターに入り、お互い0.5秒ほど見つめ合った後、肯き6Fのボタンを
押す。
エレベーターが、開いた。
店の間取りは3Fとそっくり、決して広いとはいえないスペースだけに、この形状
しか取りようがないのであろう。
奥のカウンターに腰が低くてポニーテールの三国連太郎が座っていて、説明を受ける。
料金は30分11000、60分18000位だったと思う。
カウンターの前に、8人ほどの女の子?の写真が貼ってある。なんとそこには、えらく可愛い
コ(ヤツ)が写っているではないか!赤いワンピースを着て色白ポッチャリ・・・
これが本当に元オトコなのか!!
(これは、取り合いになるな・・・)
そう思ったのも束の間、夢はすぐに打ち砕かれた。
「あ、そのコは今日非番なんですよ、すいません。左の4人は今日居ますんで、
そっから選んでください」
・・・悔しがりながらも、まだよく見ていなかった左の4人に目を移す。と・・・。
怪物ばっかりと思ったでしょ。でも、そうは簡単にいかないんですよ、このハナシは。
4人のうち2人はいかにも「ニューハーフよ”〜ん”」っていう感じ。
ショーパブでもお笑い系を担当させられてそうな外見。
あとの2人は、さっきの色白ほどではないけど、まぁまぁ、って感じ。土浦兄の意見を
聞いてみると、その2人ならどっちでも良い、という。
てことで、オイラは有賀さつき似の「し●●ちゃん」にしようと決めた。上目遣いでアンニュイな
表情を浮かべちゃったりしている。
が。
三国に希望を言う前によくよくその写真を見てみると、源氏名の下にテプラが貼ってあって
ナニゴトか書いてある。
「タマ・サオ付き」「タマ抜きサオ付き」「完全性転換」
・・・・・え?、サオ・・・付きぃ?
・・・・付いちゃってるの、か・・・。
これによると「し●●ちゃん」は「タマ抜きサオ付き」らしい。・・・それは、困る。
大体なんだよ、タマ抜きサオ付きって。そんなもんタマだけ無いからってどーした
っちゅうねん。
サオなんてもんが付いてる限り、タマが有ろうが無かろうがダメダメヨー。
憤りを覚えながら他を見ると、完全性転換が一人だけいた!助かった!
でも、それは4人のなかで、サイアクの顔をしている・・・。日出郎の不気味さと
筋っぽさ、
カルーセル麻紀の粘着っぽさを併せ持つ、まさにモノノケ野郎。
オマエが性転換なんかしてどーする!
ここで我ら2人は人生の岐路に立った。こいつと岐路に立つのはこれが5回目くらいではあるのだが。
さて、ここでオイラはどうしたでしょうか。
1。モノノケ野郎に行き、当初の目的を完遂する。
2。有賀さつき(尻尾付)に行き、当初の目的は無視する。だが魑魅魍魎。
毎度のことながら、ここから後戻りする、という選択肢は我々には無い。
我々MATにとって、後退ほど屈辱的なことはないのだから。
(つづく)
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岐路。
・・・・やっぱさぁ、モノノケは無理っすよ・・・・。
カルーセル日出郎、写真からして目ェ血走ってるし。
で、結局オイラが有賀さつき、ツレがもう一人マトモな方にすることにした。
だが、すぐにって訳じゃないみたいで結構な待ち時間がかかるとのこと。
・・・なんだ、流行ってんだ・・・。(少しの苛立ちと安堵)
1回店を出て、近所の喫茶店で時間をつぶす。店は空いていたから、あ〜でもない
こ〜でもないと意見交換をする。なんか話してないと落ち着かない。
一番の問題は、「目障りなモノからどう意識を遠ざけるのか」という最大の問題。
とりあえず顔はマトモだしシリコンは入れてんだし、要はそこだけ見なかったことにする、
が妥協案として採用された。
オイラは万引き対策の警備員。派手な身なりの女子高生が口紅盗るの決しては許すまいが、
生活苦からさんまの蒲焼缶をそっとポケットに仕舞うおじいちゃんは、一寸目をつぶっていよう。
(意味不明ですね、はい。承知しております)
そろそろ時間になった。ところが困ったことに、この待ち時間の所為で余計に飲んだはず
の酒が、すっかり醒めてしまったのだ。
喫茶店を出、店に向かって歩くも妙に寡黙になった2人。
今回、短いけどキリがいいんでこの辺で。
(つづく)
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かなり間延びしてしまったけど、夢心地に浸っている間(※注)についでながら少々進めておきます。
我々はエレベーターに乗り込み、再度受付へ。
今度はそのまま待合室に通され、番号札を持って「そのとき」を待つこととなった。
待合室には先客が一人。青いジャンバーを着た、林郁夫似の冴えないオッサンである。
風俗へ行って待合室で他の客が気になるなんて、初風呂以来ではなかろうか。
見ず知らずの人間が混じっているため、我々はあんまり話しもできず、置いてあった週刊実話
を手にとって広げては見るものの、目は活字を追っていない。
しばらくすると、カーテンの向こうから
「じゅう”い”ち”ばん”のかだぁ”〜」という、地の底から湧きあがるようななんとも
おぞましい呼び声が!
コリャまずい!
慌てて自分のカードを見ると、12番であった。
横を見ると、土浦兄がドナドナ子牛のような目でこっちを見ている。彼の手には「11」のいう
カードが握られていた。
5秒後、彼は覚悟を決め、カーテンの奥へ消えていった。
ひとまず危機は脱したものの、不安は募るばかり・・・。
その、3分後。
「12番のかたぁ〜」
一瞬ホッとした。さっきよりは随分と普通の声だったから。でも、心地よい声かっていうと
そうではなく、テープで女性の声を遅回しにしたような、なんか不自然な声・・・。
でも、土浦兄はアレでも覚悟決めたんだ、行かねば。
そして、林郁夫を待合室に残し、私はカーテンを開けた。
すると、そこには!
写真で見たとおりの顔が、あった。
ただし、予想より15cmくらい上に・・・。
178cmだ、そうだ。
逆三角形の背中だった。
お腹は6つに割れていた。
喉仏もこれでもか、ってほど突き出していた。
スポーツマンだ。
※注:夢心地に浸っている間=
この章執筆の直前、隊長はとあるセクキャバで凄くいいコに遭遇し、
ウハウハだったのである
(つづく)
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まえがき
ハヤイ隊員が完結してしまった今、隊長としてかなりのプレッシャーを感じて
おります。
ですので、ここで思い切って完結させますが、約束が一つ。
この報告書を読んでから、決して脱退などしないでくださいまし。
それだけは切に願う、悲しき隊長であります。
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そのスポーツマンは高いとも低いともいえぬ声で、一番奥の個室に案内してくれた。
刹那ドアは閉じられ、3畳くらいのスペースに2人きりとなる。
「じゃあ、まずシャワー浴びに行きますね〜」
といわれる。その言葉は脱いで準備してください、との意味でもあるのだが、常ならば「脱いで
くださいネッ。」と脳味噌には翻訳されているのに、
「サァ、パーッとお脱ぎなせい!サァサァ!」
と聞こえてしまう、ど〜しても・・・。
一応、腰にオレンジのタオルを巻いて準備は整い、やってきてしまいましたシャワータイム。
部屋を出ようとすると、スポさんが「ちょっとまって。」と軽く制し、扉を三分開きの状態で
「シャワァ通りまぁ〜すぅ。」とフロントに一声。
これも珍しいことではない。シャワー共用の店ならば、客同士が廊下で鉢合わせしないための
配慮である。ただ、その声は去年ミナミの冗談酒場(有名なNHショーパブ)で聞いた、
「ジントニックお願いしまぁ〜すぅ。」と全く同じトーンであった。
そんなことを考えているとシャワールームに着いてしまった。
オイラもタオルを脱ぎ、スポさんも自分のタオルを「じょわっ!」と取る。
そして、、現れたのは・・・・。
「あ、あれ?」(^^;
なんと、愚息そっくりのヤツだったのだ。
改めて見比べてみても、その情けなさ含め、ウリ二つ。
生き別れ兄弟、涙の再会の瞬間であった。
と、感激に浸ってる時ではない。
スポさん(親)は、ボディーシャンプーを手に取り、せっせとお仕事をこなし始めた。
ここで断っておくが、ここはお風呂屋さんではない。だからシャワーでのお仕事というのは
あくまで首から下を洗浄することであり、セガレを励ます行為は、あくまで個室のなかでの
お仕事なのである。
特に何事もなくシャワーは終わった。あの狭いシャワー室で見下ろされてることと、双子の
弟との再会を除けば。
そして、再び「通りまぁ〜すぅ」のオネエ言葉とともに、今日の怪獣対決のステージ、
奥の3畳部屋に戻っていった。
(つづく)
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部屋に戻り、タオルを巻いたままタバコを一服。
スポさんも「デン」と座って一服。
この時になって、最早開き直ったと言おうか、かなり落ち着いてきていて色んな世間話を
はじめる。でも、どうしても気になるのはその表情。話すときの癖なのか、目が合うと
瞬間的に顔を作るのだ。178cmのガッチリスポーツマンが、そう、斉藤由貴のような
表情を・・・。げええ。
そして、タバコはとうとう、根元まできてしまった。
改めて覚悟を決めた。
いわれるがまま、横になった。
いつもなら付けっぱなしのメガネも外した。
念を入れ、しっかりと目をつぶった。
・・・・・。
・・・・・。
すげえヤだ。
悔しくさえも、ある。
しかし・・・・・・・・・・・うますぎる。
なんだろうこれは。ポイントが同じだからってことなのか??
なんか、全てがどうでもよくなってきたその瞬間、一瞬間が開いたかと思うと、耳元で・・・
「入れてあげようか?」「それとも、入れる?」
一瞬で、引いた。セガレも、引いた。
「い、いやいやっ、こっこれで十分っす!」(意味不明)
「あ、そう・・・」
・・どうやら、最大の危機は脱したらしい。カラータイマーも青に戻った。(なんのこっちゃ)
だが、間髪入れず次の危機が!!!
スポさんは体勢を入れ替え、いわゆるコインロッカー・ベイビーズ状態(※注)になってしまったのだ!
だが愚息は、相変わらずのポイント全てお見通し攻撃の前に理性も忘れ、完全に復活してしまった。
そんな状態のさなか、生き別れの双子弟はなんと目の前に!
と、スポさん、なぜか急に腰を振る。
当然、弟くんは目の前で狂喜乱舞をはじめた。
さらに失礼なことに、顔面にビンタを食らわされることまである。
ただ不思議なことに、さっきの一言のときのように、つうこんのいちげき、にはなっていない。
これが血のつながり、血は水より濃い、ってやつなのだろうか。(嘘)
なにかが崩れ落ちる音がした。
次の瞬間、わたしはこの暴れものの弟のことを全て、許した。甘んじて享受したのだ。
そして、精神的にもほにゃららも、すべーて解き放たれちゃった。
※注:コインロッカーベイビーズ状態(こいんろっかーべいびーずじょうたい)=
相似型の数字2つを反転してできる状態。限りなく透明に近いブルー状態、トパーズ状態、
どこ行ったんだエヌヘ・ラバンダ状態と同義語。
(つづく)
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解き放たれて、店を出た。
エレベータを降りて外へ出ると、待っていた土浦兄と出会った。
と、瞬間的に、解き放たれた自分はどこかへ消え、常識に縛られた自分が戻った。
(お、おれはなんつうエライことを・・・)
ずーーーーーーん、と重いものがのしかかってきた。
土浦兄の表情を伺うと、なんだか今にも死にそうな顔をしている。
2人、無言で歩き始める。
信号待ちの時、土浦兄がぼそっと呟いた。
「冒険、って・・・限度があるよな。」
「・・・・あぁ。」
バーに入り、一番奥でほとんど照明も届かないボックスに腰を下ろした。
土浦兄「・・・・で、どうだったんだよ・・・・。」
ゆっくりと、ぼそぼそと話した。全て、正直に。
見下したような目で見られるかな、と思っていた。
思えば、彼とはずっと一緒に戦ってきた。でも、今回ばかりはチトやりすきた。
罵声を浴びせられようが、無言で逃げられようが、ただ受け入れるしかなかった。
でも、彼は何故か、情けなさそうながらもうらやましそうな表情を浮べた。
20分かけて彼の話を聞いた。
それで、ほんの少しではあるが、救われた気分になった。
わたしが、目を瞑って「どうでもいいや」状態に陥ってるとき、彼も同じ心持ちだったそうだ。
わたしの場合次の瞬間、「言葉」によって一瞬我にかえることができた。
だが、彼は次の瞬間、「激痛を伴う違和感」によって現実に引き戻された。
問答無用だったらしい。
なにか塗られている感触を察知した時に気づくべきだった、と語る彼は、涙目だった。
教訓:冒険はほどほどに。
オケツに入られずんばまだマシ(らしい)
完
危険度:★★★★★