B - 6 LETSの歴史
 LETSのはじまり
ここで、LETSがどのようにして生まれたのか、そして、どのように世界各地で利用されているのか、紹介しましょう。
 
LETSは、1983年に、カナダのバンクーバー島にある人口約5万人のコモックス・ヴァレーで始まりました。コモックス・ヴァレーでは、1980年代に、経済的基盤であった基地の移動と木材加工所の閉鎖が起ったために、地域経済における資金循環が悪化し、財・サービスが流通しない状況となったのです。 このような事態に対し、LETS の創始者であるマイケル・リントンは、国民通貨に依存せず、モノとサービスの流通を図るために、 オーウェンの労働交換証券を参考に、現在のLETS システムの原型を設計したのです。ちなみに、コモックス・ヴァレーでは、 基本単位をグリーンドルとよび、カナダドルとの交換比率を1対1と定めているそうです。

 LETSの広がり
1985年、G7に対抗してワシントンで行われたThe other Economic Summit で、リントンによってLETSが紹介され、世界各国に導入されるきっかけとなりました。現在では、リントンによれば、世界各地に2,000以上のLETSがあるそうです。そのシステムと目的は、各地域によって少しずつ違います。オリジナルであるリントンのLETSは、地域経済の活性化を目的としたものであったのに対し、欧州各国での導入は、コミュニティの再構築を目的としたものが多いそうです。
 
現在、コモックス・ヴァレーのLETSには450の口座が存在し、 総取引量は、1ヶ月あたり2,000〜3,000グリーンドルです。なお、もっとも活発であった80年代半ばには、600口座、 年間取引量は、30万グリーンドルに達しました。現在では、ICカードを利用したLETSシステムの構築を開始しているそうです。
 
ニュージーランド・オーストラリアでは、LETSを政府機関が積極的に支援しています。オーストラリアでは、州政府の支援を受け、ブルーマウンテン地域のLETSに対し、システム構築のため6万オーストラリアドルの助成が行われています。また、ニュージーランドでは、内務省ほか公的機関が積極的に支援を行い、支援額は14万5千ニュージーランドドルにのぼります。最大規模のオークランドLETSでは、2,000人が参加し、その取引額は年間100万グリーンドルに達するまでに発展しているそうです。
 
イギリスは、LETSが、最も普及している国です。イギリスのLETSは、1990年6月に、ウエストウィルシャーで始まりました。1991年にLETSの全国大会が開催され、全国組織LETS LINK UKが、LETSの情報交換と普及のため設立されました。現在では、約500のLETSに、約5万人が参加しています。地域によって規模の大小があり、マンチェスターLETSでは、参加者が700人、ロンドンのブリックストンLETS、北部ロンドンLETSは200人程度です。なかでも、最も活発なマンチェスターLETSでは、LETS go Manchester というプロジェクトを行い、LETSの普及に努めています。
表1 各国でのLETSタイプ地域通貨の運営状況
国名 LETSの数 国名 LETSの数
英国 500 アイルランド 20
アルゼンチン 400 オーストリア 19
フランス 225 スイス 14
アメリカ 110 ノルウェー 7
ドイツ 90 デンマーク 2
ニュージーランド 70 メキシコ 1
ベルギー 29 オーストラリア 170以上?
カナダ 27 スペイン 不明
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