9月6日(木)         「おとうさん、たろうのみみおさえてて」、シャンプーで頭をごしごし洗っていた太郎は手桶を持つとそう言った。自分で頭を流すというのだ。立ったまま頭を洗うようになってから3ヶ月(6月10日の項参照)、最初のうちはできれば頭を洗いたくないという風だったが、最近は大分慣れてきたなと思っていたところだった。1回目のお湯はうまく頭にかけることができなかった。「ほら、もっと上まで持ち上げて」。2回目は前髪をぬらす程度。「後ろの方が石鹸ついたままだぞ」。3回目,4回目とだんだん上手にかけることができるようになっていった。

最近はとにかくなんでも自分でやりたがる。歯を磨く、服を着る、靴を履く、玄関や自転車の鍵の開け閉め、料理や掃除の手伝い等々、できそうなことからできそうにないことまで、大人が手伝おうとすると、「あっ、たろうが!」と制止して一人でやろうする。ご飯だってスプーンなんか使わない、ぼろぼろこぼしながら箸で食べる。大人と一緒がいいのだ。お手伝いも積極的にしてくれる、「こんどはたろうになにしてほしいの」。ほとんど邪魔になっていることのほうが多いのだが。

「たろう、てんじんみたい?」、頭を洗い終えて湯船に入った太郎は言った。「てんじんってなんだい」、「さるのてれびにでてくるの。ぶたとかをやっつけたり、いろんなことができるんだよ」「へえっ、てんじんって強いんだ」「たろう、てんじんみたいにつよくなりたいの」そう言いながら、力こぶをつくるように両腕を持ち上げると、裸の小さな胸を張った。

 

9月8日(土)         今日は保育園の運動会。昨年の運動会は私は出張中で参加できなかった。今日は去年の分もがんばるぞ。

 太郎の出番は3回。まず、おゆうぎ。ペンギン組のお友達や先生たちと輪になって音楽に合わせて手を叩いたり、足踏みしたりする、はずのものだ。先生はそうしていた。次は徒競走。太郎を含めた男の子ふたり、女の子ふたりの4人が一緒に走った。太郎はレディーファーストの精神で女の子二人に続いて3位だった。さあいよいよ、サイクリングでヤッホー、だ。親(今回はもちろん私だ)が一緒に参加する競技だ。子供たちはスタート地点から親が待っているところまで3輪車をこいで移動する。親と合流したらまず一緒にフラフープの輪をくぐる。そこから手をつないで走り、途中にある障害物(跳び箱)をのり越えてゴールインするというものだ。前日から太郎には一等賞を取るぞ、と気合を入れていた。太郎によると、かけっこも3輪車も一番速いんだそうだ。出番が近づくと緊張してきた。腰痛防止の腰ベルトを締めなおした。太郎の名前が最初に呼ばれた。これは幸先がいい。我々親子を含めて4組での競争だ。「よーい、どん」。スタートでちょっと出遅れた太郎だが、後半の追い上げはすごかった。そのままの勢いで私に激突してきた。後はお父さんに任せとけ。さあ、フラフープをくぐって、あっ、ちょっとよろけた……。結果は、   惜しくも入賞を逃した。

本当はまだ‘競争する’ということが分かっていないだろうと思っていた。でも知り合いのおばさんに「たろうおそかったの、かてなかったの」ともらしていたという。

 

9月22日(土)       今日はゆうきちゃんとさやかちゃんがうちに遊びにきた。ふたりの母親と太郎の母親は共に駅前のフリーマーケットに出店。その間、私が子供たちの相手役を仰せつかった。そのときの出来事。近所の公園で遊んだ後、家に戻っておやつの時間、子供たちにおせんべいとヤクルトを一本づつあげた。太郎はそれをさっさと平らげると「ヤクルトもうひとつちょうだい」ときた。私がだめだというと、しばらくごねていたがやがてあきらめたようだった。ところが、さあまた遊ぼうか、と皆がテーブルを離れた瞬間、半分ほど残っていたさやかちゃんのヤクルトを取るとあっという間に飲み干してしまった。そのときの太郎の得意げな顔。言う言葉もなく、あ然とするしかなかった。

夜は阿波踊りの練習。今日は皆でビデオ鑑賞会だった。夏祭りで自分たちが踊ったものや徳島で撮影してきたビデオだ。いつも一緒に練習している仲間のほかに、祭りで一緒に踊ったり、鳴物を担当したグループの人たちも参加していた(私は出席していない、以下伝聞)。太郎は自分が太鼓を叩いている様子が映っているのを満足げに見ていたが、熱響舞サマー(8月6日参照)の場面になると、「あのおじさんがたろうのまえにたったからみえなくなったんだよね」と周りを気にすることなくしゃべり始めた。母親は慌てて太郎の口をふさいだ。太郎はその手をふりほどくと、さらに大きな声で、「あのかねのおじさんとたいこのおじさんがじゃまになってたろうがうつらないんだよね」。件のおじさんは太郎のすぐ隣に座ってビデオを見ていた。母親は「暗くて表情は分からなかった」とは言いながら、冷や汗をかいて部屋が明るくなる前に太郎を連れて帰ってきた。太郎は、以前そのビデオを見ながらお母さんとおばあちゃんが話していたことを言っただけなのだ。「小さい子がいるのにちょっとは気が利かないものかね」と。子供の前で下手なことをいうと思いがけないところで痛い目に会うという見本のようなものだ。しかし太郎も(うちでビデオを見た)1ヶ月近く前のことをよく覚えていたものだ。

 

9月23日(日)       今朝の出来事。

「おしっこしてきなさい」

(太郎、素直にトイレの方へ行く)

(しばらくして)

「おしっこしてきた......げんかんで」

「玄関のところのトイレでしたのかい」

「げんかんでしたの」

「玄関でおしっこするわけないでしょ、玄関のとこのトイレでしたんでしょ」

「おかあさんのくつにおしっこかけた」

後は知らん。

 

10月8日(月)     最近,太郎はじゃんけんをおぼえた。

「はさみでいしはきれないからグーがかつんだよね、・・・・・」と一丁前に理屈も言う。

だけど、太郎はおじいちゃんとじゃんけんしても勝てない。

一回も勝てない。

太郎はパーしかだせないのだ。

「おじいちゃん、ちょきだしちゃだめ」と泣きべそをかきながら怒り出す。

 

10月13日(土)    太郎を連れて近所にある大学の大学祭に行ってきた。ある廊下にさしかかると「ここでチョコバナナかったよね」という。確かに去年の大学祭のときにその場所でチョコバナナを買ってやった。今年はチョコバナナは売っていなかった。1年前は太郎は2歳と3ヶ月、幼児のころの体験なんてすぐ忘れると思っていたがそうでもないようだ。成長してしまえば忘れるのだろうが幼児期には幼児期で想像していたほど近視眼的でない世界があるようだ。ちょっと驚かされたが、太郎の場合これも食べ物がらみのせいだろうか。

食べ物といえば、会場内をうろついていたサルやトラの着ぐるみ人形を怖がっていた太郎だが、彼らからスタンプをもらって集めるとお菓子をもらえると聞くと、おびえながらもスタンプを押してもらいに行った。しかも怖がっていたのは最初だけで、2つ目のスタンプを押してもらうときには積極的に「スタンプおして」とトラの着ぐるみ人形にまとわりついていた。食い意地は恐怖感をも駆逐する?

 

10月14日(日)    おとうさん(クリックすると大きな絵になります)

おかあさん

「つぎはなにかいてほしい?」「じゃあ、飛行機描いて」「ひこうきはむづかしいね」といいながら描いた

ひこうき(クリックすると解説が見られます)

 

10月16日(火)    今日母親が保育園に太郎を迎えに行くと、保母さんから「太郎君には宿題があるんです」と言われたそうな。何のことかと思っていたら「太郎君は私たちの名前を覚えていないんです」ということだ。太郎の組担当の保母さんはたしか4人。帰宅した私に女房殿は言った、「お友達の名前はみんなフルネームで言えるのにどうしてなのかな」。そして意地悪げに付け加えた、「きっと先生たちには興味がないのね」。 しばらくして何気なく太郎に聞いてみた、「お母さんの名前言ってごらん」、太郎「ひろこ」、「ひろこ?」それは先生の名前だよ。母親はあおざめた、「お母さんの名前だよ、知ってるでしょ」。「^^?%☆$&」 「!!!」 「おかあさんのなまえなんていうの、おせーて、おせーて」。どうやら本当に覚えていないようだった。ちなみにお父さんの名前は?「はひほひ」。

ついでに最近の保育園の連絡ノートから

10/14(母親から)省略(本当は着ぐるみの人形が怖いくせに、怖くないと強がりを言う太郎の話)

10/15(保母から)今日はうしさんを見に行ってきました。皆で見ていると太郎君、なぜか後ろにさがってきていて...。「どうしたの?」と聞いても神妙な顔で...きっと怖かったんでしょうね!!でもそんなことは一言も言わずに後ずさりでした。

10/15(母親から)「うしさん見たの?」 「ウン」 「怖かった?」 「いいや こわくないよ」 「エーッ、ほんと?」 「ウン、 でもくさかった」 と言ってました。

10/16(保母から)今日はたけのこ公園に行ってきました。今日はシーソーはお休みということにしたのですが、どうしても納得できないたろうくん。「そんなのどこに書いてんのさー!」とブツブツ文句を言いつづけ...。「そんなにやりたいならシーソーやるかい?」と聞くと、「いや、別にやりたくないんだ」と言って滑り台などしていたたろうくんでした。

 

10月17日(水)    「おかあさーん」,我が家のプリンスの朝の第一声である.階段の上から母親を呼ぶ.普段は階段の昇り降りなどなんでもないことだが,朝だけは一人で降りてこようとしない.ここで私が行こうものなら大声で泣き叫ぶ,「おとうさんじゃない,あっちいって」. 1階の部屋に連れてくるとそのまま母親にまとわりついて離れようとしない.朝支度をしている母親にしがみついて「だっこしてー」.朝ごはんもなかなか食べようとしない.ジュースが欲しいだのお菓子が食べたいだのとごねまくる.着替えるときも一筋縄ではいかない.このパンツはいやだ,あっちのふくがいい,と注文というよりもいちゃもんをつける.ちょっといい服を着せようとすると,「ほめられる」から着るのが嫌だという.今朝もそんなことがくりかえされたらしい.

保育園へ向かう途中,「どうしてこのふくきせたの?このふくだとほめられちゃう」と何度もしつこく母親に文句を言った.「じゃあ先生にほめないでくださいって頼んであげるから」ということで,玄関でお出迎えをしてくれている先生に事情を話してほめないように頼んだらしい.太郎に「これでいいかい?」ときくと「へやのなかのせんせいにも」頼めという.ということで組担当の先生たちにも同じように頼んだのだという.ご苦労様です.

 

10月30日(火)    太郎は最近、性に目覚めた?。

おしっこするときは立ってするようになった。やっと自宅の洋式便所に届くようになったのだ。出先でも女便所には入ろうとしないらしい。かといって何もかも手際よく一人でできるわけではないから、お母さんやおばあちゃんは困ってしまうという。

温泉に行っても「たろうはおちんちんがついてるからおとこのおふろにはいるんだよ」と、最近はもっぱら男湯だ。女湯に入れるなんて今のうちしかないんだぞ、とも思うが逆の見方をすれば、そんなことは考えない幼い純心さゆえに女風呂に入ることも許されるのであろう。実は私も純心なのだが、誰も認めてくれようとしないのは残念だ。

ここ数日、太郎の母親は風邪をひいて体調が悪い。そこで夜は、太郎は私と一緒に母親とは別の部屋で寝ることにした。夜中に目を覚ました太郎は布団を抜け出して母親の寝ている部屋に行こうとしていた。その気配に目を覚ました私は、「おかあさんは病気でしんどいんだから邪魔をしないでここで寝てなさい」というと、素直に戻ってきた。そして布団の中で「うっ、うっ、うっ」と泣きべそをかいていた。身体だけでなく、心も成長してきてるのかな。がんばれ男の子。

 

 

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