増上寺と愛宕山界隈
都営地下鉄浅草線大門駅を出ますと、赤く塗られた増上寺の大門が目の前に見えます。手前右側に蕎麦の更科布屋がありますが、この店は寛政三年(1791)創業という東京でも屈指の老舗です。季節ごとの変わり蕎麦も味わえます。この店の角を右に行きますと、左に芝大神宮の大きな鳥居が見えます。この神社は平安時代中期に、伊勢神宮の分霊を祀ったのが始まりという古社で、江戸時代は芝神明と呼ばれて庶民に親しまれました。毎年九月中旬には「だらだら祭り」と呼ぶお祭りが行われ、生姜や甘酒などが境内で売られます。境内での力士と鳶の「め組」との大喧嘩は脚色されて歌舞伎となり「め組の喧嘩」として知られます。
大門にもどり、門をくぐって増上寺を目指します。
三縁山増上寺は明徳四年(1393)開山の浄土宗の大本山です。当初は現在の千代田区麹町あたりにあったものを、徳川家康が上野の寛永寺とともに徳川家の菩提寺として、慶長三年に現在地に移しました。江戸幕府が開かれてからは徳川家の保護のもと大いに栄えて、江戸有数の大寺院となりました。二代将軍秀忠から十四代家茂までの六人の将軍とその正室、側室の墓があり、悲劇の皇女といわれた和宮の墓もあります。
増上寺からゴルフ場方向へ歩くと黒門、さらに進むと旧台徳院(秀忠)霊廟惣門があり、その先に芝東照宮があります。東照宮の背後にそびえる小高い山は都史跡の芝丸山古墳です。緑地帯に入ってみますと一面樹林に覆われ、都心とは思えない静かな道です。
再度増上寺までもどり、今度はプリンスホテルの方へ歩いてみます。地下鉄御成門駅近くには、七代将軍家継霊廟の二天門が建っています。その先で左折、ホテルの背後を通ると、東京タワーです。
東京プリンスホテル横から愛宕通りを行きます。愛宕神社前交差点を過ぎると、左に鳥居と急な石段が見えます。これが愛宕山へ登る男坂です。八十六段の石段は寛永十一年(1634)、三代将軍家光の増上寺参詣の帰路、曲垣平九郎が馬で上下し、手折った梅の花を家光に捧げた話で有名です。
愛宕山の頂上には、愛宕神社が祀られています。江戸の防火の守護神として創建されました。標高二十六メートル、かつては房総半島も見えたそうです。
愛宕神社の隣にNHK放送博物館があります。大正十四年七月十二日、この愛宕山から日本で初のラジオ本放送が始まりました。午前九時半から午後四時半まで開館。入場無料。月曜日と年末年始は休館です。
放送博物館と愛宕神社の間の細い階段を下りますと、愛宕通りと桜田通りを結ぶ車道のトンネル入り口に降ります。すぐ右に栄閑院があり、杉田玄白の墓があります。ここから桜田通りに出ますと、地下鉄神谷町駅はすぐです。
おすすめコース
地下鉄大門駅−−芝大神宮−−大門駅−−大門−−増上寺−−東照宮−−丸山古墳−−増上寺へ戻る−−二天門−−東京タワー−−愛宕神社−−NHK放送博物館−−栄閑院−−神谷町駅

曲垣平九郎手折りの梅 男坂 増上寺と東京タワー
徳川家霊廟 旧台徳院(秀忠)霊廟惣門