K君の2002年5月の劇場映画評

 

パニック・ルーム

 

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“緻密な計算に裏付けられた完璧な作品。”

閲覧時期・場所 2002年5月 劇場にて 
監督 デビッド・フィンチャー
出演 ジョディ・フォスター/フォレスト・ウィテカー/ドワイト・ヨーカム/ジャレッド・レト/クリステン・スチュワート/パトリック・ボーショー/アン・マグナソン
評価 A
批評 “セブン”“ゲーム”“ファイト・クラブ”で現在最も質が高い挑戦的な作品を供給している巨匠デビッド・フィンチャーの新作。当初この作品はニコール・キッドマン主演で製作されていたが、途中けがで降板。代役にジョディ・フォスターを指名し、脚本を書き換えて完成した。今作はファイト・クラブのようなメッセージ性は皆無で純粋に娯楽作品として作られているが、台詞、演出、映像など全てにおいて非常に緻密で計算し尽くされており、素晴らしい作品である。


KT

 

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“韓国70年代に暗躍するスパイたち+自衛隊員。”

閲覧時期・場所 2002年5月 劇場にて 
監督 阪本順治
出演 佐藤浩市/キム・ガプス/チェ・イルファ/筒井道隆/ヤン・ウニョン/キム・ビョンセ/原田芳雄
評価 B
批評 “顔”の坂本監督が、1973年日本で起こった金大中事件を描いた作品。未だに謎の多いこの事件は、朴政権時代の大統領候補で現在の大統領金大中が白昼何者かに拉致され、5日後にソウルの自宅近くで発見された。三島由紀夫に心酔する自衛官とKCIA(韓国版CIA)が、自らの戦いのために使命を命懸けで果たそうとする。ただし、ここではモラルや自国の利益などは無視してである。この映画は実話を元にしたフィクションであるが、結構真実に近いのではと思わせるものであった。ストーリーも音楽も決して楽しいものでもなく、後味はひどいものだが、緊張感ある第一級のサスペンス作品である。

スパイダー

 

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“スパイダーマンの陰に隠れた秀作サスペンス”

閲覧時期・場所 2002年5月 劇場にて 
監督 リー・タマホリ
出演 モーガン・フリーマン/モニカ・ポッター/マイケル・ウィンコット/ペネロープ・アン・ミラー/ミカ・ブーレム/マイケル・モリアーティ
評価 B
批評 映画“コレクター”と同じアレックス・クロスシリーズのサスペンス。同時期に公開され大ヒット中の“スパイダーマン”の陰に隠れているが、上質のサスペンス映画で面白かった。犯罪心理捜査官が上院議員の小学生の娘が教師に誘拐される事件を解決するのだが、結末が意外な方向にすすみ面白かった。犯人を操るもう一組の犯人という設定は新鮮なのだが、果たしてこんなことが可能なのかという疑問は残った。


アモーレス・ペロス

 

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“タランティーノ風のメキシコ映画”

閲覧時期・場所 2002年5月 劇場にて 
監督 アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
出演 エミリオ・エチェバリア/ガエル・ガルシア・ベルナル/ゴヤ・トレド/アルバロ・ゲレロ
評価 B
批評 メキシコ映画を見るのは、“エル・トポ”以来かも知れない。メキシコは長らく、隣国アメリカの陰に隠れて、映画不毛の地であったが、この映画は随所にタランティーノなどのノワール映画作家の影響があるが、メキシコならではの個性溢れる傑作である。同じ時間に起こる3つの話(一つの交通事故が関連する)が、時間軸を巧みに操作することで、“パルプフィクション”のような絶妙な語り口で展開する。ラテン風のホットな人間関係やかなりかっこいい登場人物、そして情熱を鼓舞する犬たち・・・。オリジナルでかっこいい映画である。個人的にはモデルの話(2話目)は好きではないが。

スパイダーマン

 

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“日本で受けるかは別として娯楽作品としては合格点”

閲覧時期・場所 2002年5月 劇場にて 
監督 サム・ライミ
出演 トビー・マグワイア/ウィレム・デフォー/キルスティン・ダンスト/ジェームズ・フランコ/クリフ・ロバートソン/ローズマリー・ハリス/J・K・シモンズ
評価 B
批評 最近のアメ・コミブームの中での大本命の映画化。アメリカでは公開3日間で1億ドルを突破し“ハリーポッター”を超え史上最高の成績を収めている。監督は“死霊のはらわた”や“シンプル・プラン”の奇才サム・ライミで主演は“サイダーハウス・ルール”や“楽園をください”のトビー・マグワイア、そして敵役にはウィレム・デフォー。この面子だけでも見たいと思わせる映画である。普通のティーンネイジャーが、超人“スパイダーマン”になり、正しいことに力を使うことに目覚めていく様が巧みに描かれている。多少子供っぽい映画ではあるが、まあ楽しく見られる。

アザーズ

 

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“ネタばれしてても楽しめる、よく出来たゴシックホラー”

閲覧時期・場所 2002年5月 劇場にて 
監督 アレハンドロ・アメナーバル
出演 ニコール・キッドマン/フィオヌラ・フラナガン/クリストファー・エクルストン/アラキナ・マン/ジェームズ・ベントレー/エリック・サイクス/エレーン・キャシディ
評価 A
批評 トム・クルーズ主演の“バニラ・スカイ”のオリジナルである“オープン・ユア・アイズ”を撮ったスペイン人アメナーバル監督のハリウッド進出作。トム・クルーズがプロデュースし、元妻(撮影時は妻)のN・キッドマンが主演を張っている。この監督はサスペンス・ホラー系を得意としていて、これまでの映画もかなり想像力溢れる脚本とスリリングな演出で傑作を撮ってきたが、この作品も大変よく出来ている。ただし、“シックス・センス”を見た人には、かなり早い段階でオチが分かってしまう。しかしこの作品がすごいのはオチが分かっていても、全く退屈しないし、タイトルロールから漂う独特の雰囲気は他では味わえない不気味さと美しさを備えている。

 

 

活きる

 

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“中国の庶民の前向きに活きる姿に心打たれる”

閲覧時期・場所 2002年5月 劇場にて 
監督 チャン・イーモウ
出演 コン・リー/グォ・ヨウ/ニウ・ベン/グオ・タオ/ジアン・ウー/ニー・ダーホン/リウ・ティエンチー
評価
批評 “初恋の来た道”で僕の涙腺を破壊したチャン・イーモウが94年に撮った映画でカンヌで審査員特別賞受賞作。主演のグォ・ヨウは主演男優賞受賞。まず、彼の演技が素晴らしい。そして、すさまじく辛い人生(これでもかというぐらいにトラブルばかり起こる)を前向きに生きる庶民の姿がコミカルに描かれており、重くなりがちな“前向きに生きる”というテーマが、さりげなく描かれていてとてもいい感じ。1940年代〜70年くらいの共産党中国の誕生から文革の泥沼の時代をシニカルに描いているのもいい。8年前の作品が、“初恋〜”や“あの子を探して”のヒットで今、日本で見ることが出来、ある意味ラッキー。